1 シュッツ、あるいはプロトEMについて(続) 2;シュッツとプロトEM 本書中盤の構成は;4章でプロトEM論(=シュッツ論)を、デリダのディコンストラクションの発想をベースに展開。で、ディコンストラクション以後どうするか?という問題に、5章でウィトゲンシュタインの拡張、「分析後」としての「治療」をもって答える――という感じだろうか。 4章の議論、プロトEMを理解するには「結論」内の以下の部分をまず読むのがいいと思う。 p363 ポスト分析的エスノメソドロジーは,分析への要請と,科学的理論化の態度に対する「無反省的な」メンバーの自然的態度というシュッツ的対照をアイロニー的に認識することから始まった. このアイロニーというのは,前科学的な生活世界における秩序の内生的産出を探求しようとする「ラディカルな」試みが,いかにして,社会科学の特権を主張するもう1つの試みになったのかを認識することを指し