いまの医療レベルを維持し、将来、安心できる高齢化社会をつくろうとするのであれば、足踏みしている場合ではない。社会保障をめぐる政治状況は、こう言い表すこともできよう。 年金、医療、介護の財源が見込めなくなったここ数年、制度をパッチワークのように手直しし、現役世代など余裕のありそうなところに負担を求め、それでも穴があいた場合は「埋蔵金」でしのいできた。 このまま若年層が減ると、高齢者を支える財政的な仕組みも持たなくなる。子育てなど少子化対策を急がなくてはならない。八方ふさがりなのである。 菅直人首相は「消費税を含む税制と社会保障の一体改革」に強い決意を示した。6月までに政府案を策定、税率の引き上げ幅まで明記したいという。「消費税を社会保障目的税に」が持論の与謝野馨氏を経済財政担当相に起用するなど布陣も整え、与野党協議を呼び掛けている。 自民党は昨年の参院選で「消費税を10%とし、社会保
このままでは政権は立ち行かなくなる。そんな危機感の表れだろう。年明け以降、菅直人首相が従来より一歩踏み込んだ発言をし、自らのリーダーシップをアピールする場面が目立ってきた。 何も決められない、何も動かない今の政治状況を打開するためには、まず首相自身が何をしたいのかをはっきりさせることから始めるほかないと私たちは再三指摘してきた。その意味で消費税率引き上げを含む税制・社会保障の一体改革と環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加を政権の重要課題とする考えを明確にした点は歓迎したい。 首相は昨夏の参院選で消費税増税に、昨秋にはTPP参加に言及したが、いずれも民主党内の反発などを受けて早々に腰砕けになった。今回、首相はいずれも「6月をめどに方向性を出す」と一定の期限を示し、特に社会保障改革については「政治的な生命を懸けてやる覚悟で臨みたい」とも語った。 ともに国民の痛みを伴う一方、日本の将来
菅直人首相は4日午前の年頭記者会見で、近く政治資金規正法違反の罪で強制起訴される見通しの小沢一郎元民主党代表について、「起訴が行われた時には、政治家としての出処進退を明らかにして、裁判に専念されるならそうされるべきだ」と述べ、議員辞職も視野に小沢氏自身が決断すべきだとの認識を示した。 消費増税については「いま社会保障のあり方と、それに必要な財源を消費税を含む税制改革を議論しなければならない。財源問題を含めた超党派の議論を開始したい」と述べ、自民、公明両党をはじめ野党に超党派の議論を呼びかけると同時に、今年6月をめどに消費増税に一定の結論を出したいとの意向を示した。 参院で問責決議を受けた仙谷由人官房長官の処遇を含む内閣改造・党役員人事の時期については「強力な態勢をつくりたい。そうした姿勢をもって、具体的な問題はさらに熟慮していきたい」として、明言を避けた。
参院選勝利の余勢を駆り、今年度中に消費増税を含めた税制改正案をまとめる――そんな菅直人首相の戦略が頓挫した。与党が過半数を大きく割り込み、首相が呼びかける超党派の議論は当面、始められそうにない。民主党内からも「消費税が敗因」との不満が噴出しており、政府・民主党内の議論も当面、封印を余儀なくされそうだ。 首相が、参院選を前にあえて掲げた消費増税。6月17日の党のマニフェスト発表会見で、超党派の議論を呼びかけて「自民党が提案している10%を参考にしたい」と表明。21日には「公約と受け取って頂いて構わない」と踏み込んだ。「首相交代のエネルギーを利用して勝負に出る」(党役員の一人)狙いだったが、完全に裏目に出た。 首相は12日未明の記者会見で「消費税の議論そのものが否定されたとは思っていない。超党派での議論については自民党の谷垣総裁も前向きな姿勢を示して頂いている。ぜひ、私も協議の場の呼びかけをし
⇒時事ドットコム:仙谷官房長官、消費増税なら衆院解散=玄葉氏、雇用創出にも充当 仙谷由人官房長官は18日午前の閣議後の記者会見で、菅直人首相が消費税率の10%への引き上げに言及したことについて「実施するときは、首相は国民に信を問うことになるのではないか」と述べ、税率引き上げを争点とした衆院解散・総選挙を行うとの見通しを明らかにした。 首相も17日の記者会見で「大きな税制改正を行う場合、実施する前に、国民に信を問うことは本来あるべき道筋だ」としていた。 仙谷長官は消費税引き上げについて「日本の財政、経済、社会保障のシステムを立て直すためには議論は避けて通れない」と強調。7月11日投開票の参院選でも「大いなる議論、争点化がなされればいい」と述べ、「当面10%」と公約した自民党も含め、各党と議論を深める意向を示した。 一方、民主党の玄葉光一郎政調会長は会見で、地方の取り分を除き、医療、介護など社
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