1.良いデモクラシーの評価基準 シャピロは民主主義(デモクラシー)の良し悪しを評価する基準として「不当な支配をどれだけか減らせるか」という基準を提示します。ここでいう「不当な支配」とは、自分の意思に反した拘束を強いられる状態です。たとえば、学校の先生が生徒に宿題を与えるような命令関係は形式的にみれば支配といえるかもしれませんが、生徒に退学する自由がある以上は、不当な支配とはいえません。 しかし僕はこの「不当な支配の最小化」の基準はあいまいすぎると考えます。真に支配を無くしたいのならば、デモクラシー(多数決)は必要ないはずです。結局、多数決で決めるということは、多数派が少数派を従わせることを認容することでしかありません。だから、すべての個人が自分に利すると思ったことだけに合意する、契約ベースの社会こそが、不当な支配の最小化の行き着く先となるはずです。 とはいえ、この社会では国家は何もしないの