朝日新聞社が被災地自治体の首長に実施したアンケート。岩手県内では被災状況によってまちづくりや防災対策の考え方に違いが生じる、南北の差が垣間見えた。 今後のまちづくりで、津波で被災した地域で住宅の再建を認めるか――。この問いに多くの自治体が「住宅は基本的に高台に移転する」(陸前高田市)と高台移転や土地をかさ上げする方針を打ち出した。 問題は住宅地や商業地などをどの範囲まで移転させるか。県北部の自治体では「すべてもとの場所で再建」(洋野町)、「一部の住宅だけを集団移転」(野田村)と小規模の移転にとどめる見通し。壊滅的な被害を受けた県南部の自治体では苦悩がうかがえる。 大船渡市は建築制限をかけることも想定し「(建築基準法の)災害危険区域は基本的に解除しないだろう」。一方、陸前高田市は「被災区域のすべてを使わない訳にはいかない」。平野部の大半が浸水した大槌町の悩みは深い。「集団移転だけでは対応でき
東日本大震災は、みちのくの蔵元に深刻な打撃を与えた。若き杜氏(とう・じ)の努力で全国銘柄「伯楽星(はく・らく・せい)」を育て上げながら、酒蔵の取り壊しを余儀なくされる「新澤(にい・ざわ)醸造店」(大崎市)も、その一つ。今月、その蔵で「最後の酒造り」が始まった。 「酒米の出来がいいので、よい年になると思っていたんです」。新澤巖夫専務(36)は振り返る。酒造りが終盤に差し掛かった3月11日、強い揺れが蔵を襲った。土ぼこりが立ち、多くの瓶が割れる音がした。 被害は4万本の瓶にとどまらなかった。1873(明治6)年の創業から酒を生み出し続けてきた蔵5棟が全て傾き、全壊と判定され、取り壊しを決めた。 5代目の新澤さんは2000年、25歳で県内最年少の杜氏になった。当時は2億円の借金を抱えて経営難に直面しており、「よそから雇うお金がなかった」という。最後にきちんとした酒を残そう――。究極の食中酒
内閣官房参与(国際交流担当)で劇作家の平田オリザさんが4日、鳥取市内で開かれた日韓併合100年を振り返るシンポジウムで講演した。 平田さんは学生時代に韓国へ留学した経験があり、併合前夜のソウル(当時は漢城)で暮らす日本人一家を描いた演劇「ソウル市民」を手がけたことでも知られる。 平田さんは日本による韓国の植民地支配について「政治家や軍人だけでなく、日露戦争に勝利して日本が世界の一等国になったという日本国民の潜在的な意識の帰結だったのではないか」と分析。また「生物も社会も多様性があることが強さにつながる」と話し、自らの文化を活性化させるためにも多文化・共生社会構築が重要になることを訴えた。 講演の後、在日外国人の人権問題に詳しい田中宏・一橋大学名誉教授や在日の弁護士らを交えたパネルディスカッションがあった。参政権付与を巡っては、日本に帰化すれば得られるとして反対する意見もあるが、田中名誉教授
宮沢賢治が名付け、作品にも登場する花巻市内の「イギリス海岸」は、賢治の命日の21日、降雨により北上川の水位が下がらず姿を現さなかった。 国交省北上川ダム統合管理事務所と県が協力し、上流の五つのダムの放流は20日夜から絞り込まれた。ところが、水位は降雨の影響で思ったようには下がらず、作戦は失敗。花巻市出身で栃木県の伊藤君男さん(50)は「賢治の原風景に触れることができる数少ない場所。毎年、帰省すると訪れます。見えなくて残念」と話した。地元の「ドーバーファーム市民の会」の佐藤重治さん(71)は「作戦の成否は天候次第。また来年、楽しみにします」と語った。
同和地区の住民を対象にした自治体の住宅新築資金等貸付事業で、未返済額が県内全体で約20億円にのぼることがわかった。すべてが滞納ではないが、債権が3億5千万円余と最も多い板野町は「強制執行に踏み切る時期が来るかもしれない」としており、今後、滞納者への対応が問題化しそうだ。 (花房吾早子、三輪さち子) この事業は1960年代後半〜90年代後半、全国的に実施された。同和地区住民の生活環境改善を目的に、低金利で住宅の新築や改修費を貸し付けた。償還期間は最長で25年。 県内では現在の19市町が事業を行い、4386件で計177億7773万円を貸し付けた。うち19億9760万円が未返済だ(08年度末現在)。ただし、返済中で、滞納ではない額も含んでいる。 板野町の未返済額は3億5316万円。市民オンブズマン「とくしま見守り隊」板野支部の西川恵二代表は25日、町が強制執行の手続きをせず「違法に財産管
■東北大名誉教授が発言 県主催の国営諫早湾干拓事業の地域説明会が20日、諫早市であり、江刺洋司・東北大名誉教授(環境生物学)が講演した。この中で、有明海のノリ養殖に使う酸処理剤に対する国の規制を批判する際、家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)への宮崎県の対応を引き合いに出し、「宮崎牛のブランドを守ろうとして甘くなった」という趣旨の発言をした。 江刺氏は講演で、有明海異変の主な原因はノリ養殖に使う酸処理剤であり、干拓事業は無関係と主張。養殖業者に酸処理剤の禁止を徹底し切れなかったことなどが汚染を招き、漁獲量の激減につながったとして水産庁の対応を批判した。その際、口蹄疫問題に触れ、「(宮崎県の例は)ブランド名を守らんがための人災」「霜降りのブランド宮崎牛にしようとして口蹄疫を発生させたのが、(宮崎県の)知事さん」と発言した。 説明会後、江刺氏は朝日新聞の取材に対し、「韓国で口蹄疫が発生した
∞鮭川・木の根坂で全量購入3年 《最上の会社》ブランド強化/《生産者》安定収入 小さな山村集落の地域おこしを、旬のワラビの一括購入で応援する――最上町志茂の山菜加工会社イワショク(岩本裕一社長、資本金1200万円)が、鮭川村曲川の木の根坂地区で採れたワラビを全量買い取る契約を結んで3年目を迎えた。地元は市況に左右されない安定収入を喜び、会社は「木の根坂」ブランドでイメージアップ。そんな一挙両得を実現した取り組みだ。(三浦亘) ∞地区の物語詰めてPR 戸数11、住民約50人の同地区は、廃校になった学校の校舎を交流拠点に活用したり、住民総出で「山菜まつり」や「新そばまつり」を催したりと、地域おこしに力を入れている。昨年は朝日新聞・森林文化協会の「にほんの里100選」に選ばれ、農林水産省の「豊かなむらづくり全国表彰」の最高賞も獲得した。 その熱心さに、イワショク常務の渡部智也さん(49
自民党宮崎市支部で政治資金100万円以上が使途不明になり、同支部は今年3月、2008年の政治資金収支報告書に記載された翌年への繰越金を約100万円減額する訂正をしたことが分かった。白木潤・同支部幹事長(41)は朝日新聞の取材に対し、減額のつじつまを合わせるために、政治資金パーティーの事業費を実際よりも約100万円多く支出していたことにして、県選管に訂正を届け出たことを明らかにした。「架空経費」の計上ともいえる処理で、総務省は「虚偽の報告であれば、政治資金規正法違反になる」と指摘している。(神澤和敬) 同支部が県選管に出した08年の同報告書では当初、翌年への繰越額が約276万円とされていたが、今年3月、約107万円減額訂正され、約169万円になった。この訂正に伴い、約246万だった「政治資金パーティー開催事業費」が今年3月、4月に2度訂正され、約107万円増の約353万円となった。 訂正
阿久根市の市職員労働組合(190人)事務所の使用をめぐる問題は12日、昨年に続いて再び法廷に持ち込まれる事態に発展した。市側を提訴した市職労は4月から市役所の近くの事務所に仮移転しているが、竹原信一市長が事務所使用を認めないのは違法だとして市庁舎内への復帰を求めている。 組合事務所の使用許可をめぐる裁判は今回で2度目になる。1度目は竹原市長が昨年5月に出直し市長選で再選した後、昨年度分の使用許可を取り消したため市職労が起こした裁判。鹿児島地裁は昨年10月、「市職労から必要な聴聞をしていない」と市側の手続き上の不備を理由に市職労側の訴えを全面的に認める判決を出し、市職労は年度末の3月末まで事務所を使った。 ところが、事務所使用は年度ごとの更新が必要なため、市職労は新年度分の使用許可を申請したが、竹原市長は認めなかった。前回判決は一度許可していながら年度途中に覆した竹原市長の「手続きの不備
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