年末年始に何となく手元の岸信介に関する本を幾つか*1眺めていたら、この人は基本的に、一般に思われているような単なる権力志向の右翼政治家ではなく、所与の前提下で最適な政治解決策を求める、という、ある意味非常に学校秀才的な合理的行動を取る人だったのではないか、という気がしてきた。ただしその際、目的至上主義に走る余りルールを枉げることも辞さず、というスタンスが色々問題を呼んだように思われる。 以下、そうした観点から彼の行動を簡単にまとめてみる。 満州 満州国が建国されたという前提下で、最適な経済の仕組みを策定 「出来栄えの巧拙は別として、ともかく満州国の産業開発は私の描いた作品である」という有名な台詞にあるように、官僚の枠を超えて自由に腕を振るった 戦時経済 戦時経済という前提下で、最適な経済の仕組みを策定 場合によっては上司たる小林一三大臣との衝突も辞さず 本人もその時は官僚としての振る舞いを
このブログでも何回も書いてきたように新古典派(米国の主流派)の経済学は、いくつかの非現実的な公準(仮定、前提)にもとづいています。 ケインズが『一般理論』(1936年)で問題としたように、①規模に関する収穫逓減(ただし最終的にケインズは、これに妥協しました)、②労働者側の労働時間の限界負効用の逓増、③セイ法則(供給はそれ自らの需要を創り出す)、④ミクロ→マクロの因果関係(逆を認めない)、⑤その他、などがそれです。 多くの場合、この学問的批判に対して新古典派は黙りを決め込むことが多いのですが、時として反論することもあります。その一つを取り上げましょう。 あるときマネタリストのミルトン・フリードマンが苦し紛れに次のように言ったことがあります。つまり、物理学でも、アインシュタインの言っていることは現実離れしているではないか、と書いたのです。確かに、素人ながら、アインシュタインの物理学(特殊相対性
日本では、1997年以降、従業員の給与総額(貨幣額)が絶対的に減少してきた。もちろん、それとともに一人あたりの給与額も低下している。 このように書くと、不景気なのだからしょうがない、という人がいるかもしれない。確かにそうかもしれない。しかし、次の2つのグラフを見て欲しい。これらは2つとも財務省の「法人企業統計」から作成したものである。れっきとした政府の公式統計である。
新古典派の労働市場論が現実離れした理論であることは、先に示した。それは失業をなくすために実質賃金の引下げを求める。そして、実質賃金の引下げは、結局、(簡単のために物価が一定とすると)貨幣賃金の引下げを伴わなければならない。しかし、そのような貨幣賃金の引下げは、新古典派の想定に反して、むしろ失業を拡大する。 しかし、たとえ新古典派の雇用理論が間違っているとしても、個別産業や個別企業がより低い賃金を求めていることは事実である。市場競争の条件の下で、価格や賃金率に関して、他の産業や企業がまったく等しい状態にとどまるならば、当該産業・企業の賃金引下げと価格引下げの行動は、その企業の販売量を増やし、当該産業・企業を利するからである。とはいえ、一社だけ、一産業だけがそのような利益を得ることはありえない。すべての企業が他のすべての企業に対して競争関係にあるからである。 このような分裂、すなわち個別産業の
多くの普通の人は知らないと思うが、実は、経済学(ただし主流派、新古典派の経済学)では、多くのよからざる事柄が労働者の責任とされており、しかもその考え方が政治家(ただし多くは保守的な政治家)によって採用されている。この見解は現実離れした前提に依拠しており、それゆえ現実離れいているが、<巨大企業にとっては>薬にもならないが、毒にもならないので放置・許容されている。 そのような見解の一つは、インフレ(物価水準の上昇)を労働者の責任とするNAIRU(インフレを加速しない失業率)の理論でる。この理論では、インフレを加速しないように一定以上の失業率があるできであるといい、高失業率を認めるどころか、むしろ求める。この思想は例えばFRBバーナンキ議長も保持しており、日本も参加している仲良クラブのOECDの統計にもその数値が掲載されている。 もう一つは、労働保護立法などで労働者保護を行うと実質賃金が<均衡水
出典)Groningen University, the Centre for growth and Development, Economic Growth dataより作成。失業者については、一部、Ameco online databaseを利用。 ここでは、イギリスとフランスを素材として、かつ雇用率の変化の側から説明しよう。上図で、雇用率(ε)の変化率(対前年度比)は、実線の折線で示されている。プラスが雇用率の上昇を、マイナスが雇用率の低下を示す。 前回示したように、雇用率は産出量の増加関数である。この図でも産出量の増加率が高い年には、雇用率も好転していることが示されている。 しかし、産出量が唯一つ雇用率を決定する要因ではない。労働生産性(ρ)も大きく影響する。しかも、それ自体としては(つまり労働生産性の上昇がそれ以上の産出量の増加をもたらさない場合には)マイナス要因である。この労働
資本主義経済(企業が労働者を雇用する企業家経済)では、失業が存在します。 なぜ失業が存在するのでしょうか? それは、企業の雇いたい人数(労働需要)が企業に雇われたいと思う人数(労働供給)より少ないからです。いま前者をN、後者をLとすると、失業者 UNE は、次の式で示されます。 UNE=LーN そこでマクロ的には(社会全体では)、失業は、LとNの両方を説明することによって完全に説明されることになります。 とはいえ、L(労働供給)を説明するのは、非常に難しいことです。それはまず人口に関係していますが、人口がどのように決定されるかを正確に説明できる人(経済学者)はいないでしょう。人は生まれてから少なくとも15年ほどたたなければ、労働力になることができません。また例えば15〜25歳の人口にしても、すべてが労働を希望するわけではありません。中等教育や高等教育を受ける人もいれば、疾病・障害で働くこと
BYODが注目されている背景には、従来のパソコンに近い機能を備えるスマートフォンやタブレット端末が一般化してきたことがある。また、こうした端末を使ってオフィスの自席以外の場所でも、同じように仕事ができる環境が整ってきた。
ITpro読者の皆様、2014年もよろしくお願いします。「年初から馬鹿とは何事か」などと思われたかもしれませんが、前向きな話を書くつもりです。次の段落から文末を通常の「である」に戻します。 2013年の末、「Javaの技術者を日本で募集したが見つけられなかった」という話を知り合いの社長から聞き、首をひねった。ソフト開発事業を手掛ける企業の多くは、新入社員に開発言語としてJavaを教えている。Javaを使える人なら沢山いるはずだ。 条件を聞くと、あるプロジェクトのために一定期間だけ参加してもらう仕事であった。対価はかなり高く、腕に自信のあるフリーランスの技術者が応募するには、恰好の案件と思われた。 ただし勤務地は上海であった。「海外勤務に二の足を踏んだのでは」とその社長に聞いたところ、「勤務地よりも仕事の内容が敬遠されたのではないか」という答えが返ってきた。 仕事の内容は、その企業が内製して
ここ数年、マイルドインフレ高度成長をしてきたハズの韓国の惨状を見れば、景気回復したからって、歪んだ分配が修正されるなんて事が無いのが分かる。成長と分配は、直接は関係しないんだ。
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