IT戦略会議による提言から数々の関連プロジェクトの予算化、全国的な実証実験の展開と、IPv6をめぐる日本政府関連の動きについての話題は尽きない。だが本当に、IPv6はこんなに騒がれるほど価値を持っているのだろうか? 本稿ではまず、IPv6に関してよくなされる誤解をクリアにするところから始めたい。 IPv6をめぐる誤解と実像 政府が金を出して支援すると宣言すれば、注目されるのは当然だ。しかし、「IPv6はインターネットを根本から変える革命的な技術である」というのは誤解だ。 IPv6は下層レイヤの話だから、インターネットを変えるとしたら根本というか、基盤的な部分を変えることになるのは間違いない。そんな冗談はさておき、現在のインターネットを支えているIPv4と、本稿のテーマであるIPv6との間には「革命的」といえるほどの違いは存在しない。革命よりも改革に近い。それに、アプリケーションレベルの話で