当初、日本での公開は難しいと言われていた、映画『オッペンハイマー』がついに29日公開となった。原爆投下後の広島や長崎の惨状が描かれていないことに加え、アメリカ公開後に原爆を揶揄するファンアートの投稿がアメリカのSNSで過熱したことが、日本で大きな物議を醸したからだ。 本作を見て、「オッペンハイマーという人物の壮絶な人生、その背景にあるアメリカ史には引き込まれたものの、描かれる原子爆弾の被害の現実感のなさから、『遠くの日本という重要ではない国に起きたこと』として語られている印象をどうしても受けてしまいました」と語るのは、著書『ソーシャルジャスティス 小児精神科医、社会を診る』(文春新書)が話題のハーバード大学医学部准教授で小児精神科医の内田舞さん。 アメリカに住んでいると、原爆に対する意識が日本とは大きく異なると感じる場面が多々あるという。 実際、2015年の米国世論調査機関「ピュー・リサー