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ブックマーク / satoshi.blogs.com (26)

  • Life is beautiful: エンジニアにも分かる「アベノミクス」

    (理科系の友人が多い)Facebook の方で「アベノミクスの正体を誰か解説してくれ」という話題が盛り上がっていたので、私なりに「エンジニア向け」の解説をしてみる。まずは基礎知識から。 1. 経済学数学・物理学との違い 経済学が相手にしているのは「人間の行動」であり、数学・物理学のように、基的な「定理」を積み上げて現象を予測することが不可能だ。基的には「経験則」に基づいて人々の行動を「予測」するしかない点が、学問として物理学とは大きく違う。 2. 景気にかかる「正のフィードバック」 経済学が対象とするものの一つに「景気」がある。景気の尺度には、GNP、物価、株価、失業率など色々とあるが、常に「正のフィードバック」がかかる性質を持っており、これが色々な問題を引き起こす。 「不動産価格」が一番分かりやすい例だが、不動産の価格は、より多くの人が「将来は不動産の価格が上がる」と思うとそれを先

  • エンジニアから見た原発

    典型的な「理科系少年」として育った私にとっては、原子力発電は宇宙旅行人工知能とならぶ「人類の英知を集めた科学技術の結晶」であり、あこがれでもあった。ブルーバックスの相対性理論に関するはすべて読んだし、アインシュタインの書いた e=mc2 という式は私にとってはまさに「人類の英知」を象徴するシンボルであった。高校時代の前半までは、自分は物理学者になると確信していたぐらいだ。ひょんなきっかけからコンピューターの世界に足を踏み入れ、ソフトウェア・エンジニアとしての道を歩むことになったが、科学技術全般に対する情熱は今でも持っている。 そんな私なので、今までは当然のように「原子力発電」の支持者であった。資源の乏しい日にとって「石油が不要で、二酸化炭素を放出しないクリーンな原子力発電」こそ日にふさわしい発電方法であると信じていたし、自動車・エレクトロニクスに続く輸出産業としての原子力に期待もし

  • iPadアプリ作成日記:書き心地重視のneu.Notesリリース!

    先日予告した「書き心地重視の『手書きメモ』アプリ」、ようやくiTunesストアに並んだのでここで発表させていただく。名前は neu.Notes("neu"はドイツ語で「新しい」という意味)。読み方は「ノイ・ノーツ」。日頃のちょっとしたメモや、ミーティングや授業のノートを取る時に便利な様に、使い勝手と書き心地を最重視して作ったアプリ。無料なので、iPadをお持ちの方は、ぜひともお試しいただきたい(iTunesストア上のneu.Notesへのリンク)。 これを作るきっかけを与えてくれたのは、Adobe Idea。最初に見た時には「やられた」と思った。簡単なメモを取るには十分な機能があるし、何よりもベクター・データのままIllustratorに渡せるという部分がすばらしい。描いた線をなめらかにしてくれる機能もなかなかしゃれている。これで私にとっての「メモアプリ」の座は決まりだと思った。 しかし、

  • iPadに最適化したPDFファイルの作り方

    iPad向けにPDF/マンガリーダーCloudReadersを発表してから、いままで直に付き合いがなかった出版業界の人たちからちょくちょくコンタクトをいただくようになった。その中で良くある質問の一つが、「iPad向けに最適化したPDFファイルの作り方」。そこで今日は、そのあたりのノウハウをまとめて書いてみる。 まもなく日でも発売されようとしているiPadは色々な意味で画期的なデバイスだが、あくまで位置づけはモバイル・コンピューターであり、パソコンではない。画面も大きく、CPUも高速になったとは言え、搭載するメモリ(RAM)の量はiPhone 3GSと同じだ。 そのため、メモリがふんだんにあるパソコン用に作ったPDFファイルを読もうとすると、メモリ不足でアプリが落ちたり、極端に遅くなったりしてしまう。アプリを作る側もいろいろと対応はしてはいるが(参照)、やはり快適にiPad上でPDFファル

  • iPadアプリ作成日誌: PDF関連APIのバグについて

    以前にもここで少し触れたiPhone OSのPDF関連APIのバグについての詳しい情報が知りたいという連絡がTwitter経由で入ったが、140文字制限でするのもなんなので、具体的にバグレポートを書いてみる。 iPhone OS 上でPDFファイルを表示する場合、まずは CGPDFDocumentCreateWithURL でドキュメントを開く必要がある。CloudReadersの場合はこんな感じだ。 NSURL* url = [NSURL fileURLWithPath:path]; CGPDFDocumentRef doc = CGPDFDocumentCreateWithURL((CFURLRef)url); count = CGPDFDocumentGetNumberOfPages(doc); 特定のページを表示(=描画)する際には、CGPDFDocumentGetPage でペー

  • 「なぜAppleはiPadにFlashを載せるべきではない」のか

    気がついた人も多いと思うが、iPadのアナウンスメントであっさりと無視されたのがAdobeのFlash。私は意図的(=「Flashなんか重要じゃない」というメッセージ)と読んだが、皆さんはどうだろうか。 iPhoneがFlashをサポートしていないことに対するAdobeを含めたさまざまな方面からの批判を考えれば、「the best way to experience the web (最高のウェブ環境)」を売り文句のiPadが、これだけ広く使われているFlashをサポートしないというのはおかしな話だ。 不思議に思う人も多いかもしれないが、自分をAppleの経営陣の立場に置いて良く考えてみれば答えは明確になる。 Appleという会社は、昔からさまざまなクリエーターたち(アーティスト、ミュージシャン、ウェブ・デザイナー、etc.)を魅力的で便利なパソコンやツールで味方につけ、彼らの作品を消費者

  • iPadのインパクト、私の予想8

    iPadの米国でのローンチまで10日となったわけだが、色々と思うことがあるので書いてみる。 予測1:4月3日のローンチは成功する これは99.9%確実である。この手のデバイスのローンチには、(1)開発者に魅力的なプラットフォームを提供してアプリを作らせ、(2)ブロガーの興味をそそって発売前からせっせとブログエントリーを書かせ、(3)アーリーアダプターの心をくすぐって注文予約させれば良いのだが、まさにその戦略に100%ハマっている私がここにいる(笑)。 先日のエントリーで書いた様に、開発者としては、iPad用のクラウド棚付きeBookリーダー「Cloud Readers」をすでにAppleに審査のために提出済みである。ブロガーとしてはこのエントリーも含めてiPadに関しては何度も書いて来ているし、当然アーリーアダプターとしてiPadはオンラインで注文してある。Appleから表彰状をもらいた

  • Life is beautiful: とある家電メーカーでの会話:クラウドテレビ編

    ある日の家電メーカーでの会話。まずは副社長室での会話から。 技術部長:副社長、来年度の予算の件はどうなりましたか 副社長:大丈夫だと言っただろう。台湾中国からの追い上げは相変わらず激しいが、テレビは家電ビジネスの要だ、経営陣としてもここだけは手を抜けない。来年も君たちにがんばってもらわなければならない。 技術部長:もちろんです。そのあたりは現場のエンジニアたちも強く感じてると思います。ちなみに、メールに書いてあった「戦略の変更」って何ですか? 副社長:そのことなんだが、経営会議でも持ち上がったんだが、台湾勢と戦うには、我が社にしかできない「差別化要因」が必要だ。価格競争では彼らにかなわない、消費者にとって目に見える価値を提供して、台湾製品よりも3割・4割増の値段でも喜んで買ってもらえるテレビを作らなければならない。私は、キーワードは「クラウド」だと思っている。 技術部長:え?「ク、クラ

    Life is beautiful: とある家電メーカーでの会話:クラウドテレビ編
  • 常に地に足をつけて仕事をするということ

    こちら(北米)で仕事をする場合、一番の褒め言葉は「あいつはAccountableだ」という言葉。辞書には、Accountableには「責任のある」などの訳語が乗っているが、仕事の場面で使う場合は「安心して仕事をまかせておける」という意味。 プログラミングにしろ他の仕事にしろ、何をしていてもさまざまな「予想外の問題」が生じるもの。そういう問題への対処も含めた上で、「あの人に仕事をまかせておけば安心」と思ってもらうには、さまざまなところに予防線を張り、常に「地に足をつけた」状態で、着実に仕事を進めて行くことが何よりも大切。

  • Life is beautiful: Google Chromeに関してひとこと

    今回Googleが発表したウェブ・ブラウザー、Google Chromeは、ひと言で言えば、「安定度・安全度を高めるために、それぞれのタブを別プロセスで走らせるタブ・ブラウザー」である。 95年にIE3.0を設計した時には、タブのコンセプトも存在せず、セキュリティの問題もそれほど強く意識していなかったので、ウィンドウごとに1スレッドを割り当てたマルチ・スレッドを選択した訳だが、ここまでウェブ・アプリケーションが重要になってくると、マルチ・プロセスに移行するのは当然。特定のページ上でのJavaScriptの挙動がおかしくなったからと言って、ブラウザーすべてが落ちてしまう今までの設計が異常。 一つのウィンドウ下で管理させるそれぞれのタブにプロセスを割り当てる、一般的に一つのウィンドウに一つのプロセスやスレッドを割り当てる通常のGUIアプリケーションとは異なるが、ユーザー・モデルとリソース管理は

  • プラットフォームを選ぶということ

    この業界で仕事をしていると、しばしば迫られるのが「どのプラットフォームに向けて商品開発をして行くのか」という決断。会社としての経営判断の場合もあれば、個人のスキルアップやキャリアパスのための判断の場合もあるが、いずれにしろ限られたリソース・時間をいかに有効に使うか、という点ではとても大切。 パソコン用のソフトウェアであれば、「Windows向けに作るのかMac向けに作るのか」というOSレベルでの選択肢もあるし、「Windows Vista独自の機能を使って差別化を図るのか、それともWindows XPでもちゃんと動くように作ってまずは大きな市場をとりに行くのか」というOSのバージョンレベルでの選択肢もある。もちろん「そもそも特定のOS向けのアプリを作るべきか、それとも、すべてウェブ・アプリケーションとして作るか」というアーキテクチャ・レベルでの選択肢もある。 「少なくともここ数ヶ月はiPh

  • Born to code

    大まかな設計図をあたまに浮かべ、おもむろにコードを書き始める 下回りの部品から順番に、丁寧に積み上げて行く それでも必ず後から下回りの設計に気にわない部分が出てくるので、 苦しくてもそこは躊躇せずに壊しては作り直す そうして行くうちに、だんだんと下の方から設計がしっかりしたものになってくる 踏み固められた地面が固くなるように、少しづつ強固なプラットフォームが作られて行く 「今日はここまで実現しよう」と決めたら死にものぐるいでそこまで走る でも頭が回らなくなってきたら早く寝る そうやって愛しい我が子を育てる様にコードを一行一行書いていく 何百万人、何千万人もの人に使ってもらえる日を夢見ながら プログラミングという楽しみがある時代に生まれて来ることができた幸せを噛み締めながら

  • Life is beautiful: 「へんな会社」と「出るクギを打つ」社会の話

    へんな会社を貫くために、普通の会社のやり方をよく理解しておくというのは必要なんじゃないか、とこれははてなに限らず思う次第。【Kousyoublog | はてな移転で中の人が言うべきことと言ってはいけないことより引用】 この手の発言こそが、まさに「出るクギを打とうとする」行動。近藤さんに関してはそんな心配をする必要は全くないが、他の若い人たちが「やっぱり『普通の会社のやり方』をちゃんと勉強しなきゃ」などと誤解してはいけないと思い一言。 上場している企業と違い、はてなのように、ごく少数の株主が所有している会社の場合、株主・取締役の了解さえ取れれば、大幅な経営方針の変更は自由にしてかまわない。それが非上場であることの大きな利点だ。 今回の場合、「米国からは一時撤退し、多少会社の規模が小さくなっても良いから、京都にもどって落ち着いた環境でもう一度もの作りに専念する会社としてやりなおす」という決定は

  • Life is beautiful: MacWorld Expo: なぜiPod touchのアップグレードのみ有料なのか?

    スティーブ・ジョブズの基調講演でもうひとつひっかかったのが、Apple TVとiPhoneのソフトウェア・アップグレードが無料なのに、iPod touchのアップグレードが20ドルなこと。Apple TVとiPhoneのソフトウェア・アップグレードが無料なことに触れたときは、誇らしげにストップして拍手を受けたのに、iPhone touch のアップグレードに関しては、「これから販売するiPod touchには無料で新しいアプリケーションがついて来るけど、既存のiPod touchに関しては20ドル」と、あっさりと流したことに妙な違和感を感じた人も、「Appleはセコい」と思った人も多いはずだ。 私も「アレ?」と思ったのだが、思いあたるフシがあったので、AppleのAnnual report を調べてみたところ、答えが見つかった。 エンロン・スキャンダル以来、厳しくなった米国の会計基準が理由

  • Flickrスライドショーの作り方

    先日のスライドショーを少し進化させて、Flickrから最新の夕焼けの写真を取り出して順番に表示させる、というものを作ってみた。まずはデモから。 RSSフィードをFlickrに取りに行く部分にはjQueryを使い、スライドショーにはiAnime.jsを使ったのだが、ライブラリの力に大きく頼っているため、このスライドショー自身のコードはごくわずかである。 まずは、フィードを取りに行く部分がinit()。クロスドメインでのアクセスのためにproxyを介してFlickrからフィードを非同期通信で取得し、XMLとしてパースして、各<entry>中の<content type="html">タグの中身を含む<div>を生成して<div id="main">にインサートし、インサートしたdivの数をパラメータとしてstart()を呼ぶ、というかなり複雑な作業が、わずか数行で実現できている。 var tm

  • 優秀なエンジニアは「入社時のスキルを問わない会社」には就職してはいけない

    ちまたで問題になっているIPAフォーラム2007に参加した学生がエントリーを書いているのだが、それが半端じゃないぐらいのエンターテイメント。 ...IT産業というよりSIerの人気がないことについて語りたいだけなんじゃないかという顔ぶれだったし... ...はてなブックマークのコメントを見ている限りでは、パネリストの方々は相当現実の見えていない発言をしているようだ。... ...ITを専攻している学生達からは、「就職時にITスキルが問われないのだとしたら、大学でやっていることには何の意味があるのか」という質問が出ていたのだけど、明確な回答はなかったと思う。その人たちは、ちょっとショックを受けていたような気がする。... ...その流れで、「入社時にITのスキルを問わないというのは、Googleのような企業の方針とは反対であるが、それですばらしいサービスを作ることができるのか」という質問が出

  • 交渉の場にのぞむ前にしておくべき心の準備

    ネゴシエーション(交渉)に関するテクニックにはさまざまなものがあるが、その多くが「いかに自分の欲する条件に近いものを勝ち取るか」をゴールとしたもの。それはそれで役に立つのかも知れないが、私としてはどちらかというと、今読んでいる「Getting to YES(日語訳:ハーバード流交渉術)」というに書いてあるアプローチの方がしっくりと来る。 このの筆者(Roger FisherとWilliam Ury)は、一般に良く使われる「交渉は勝つか負けるか」「相手に手の内を見せない」「自分はできるだけ譲らずに相手に譲らせる」などのテクニックは交渉を長引かせるだけだし、その過程で相手との信頼関係を損ねかねないと警告する。 このにはいくつかの有効な提言が含まれているので何回かに分けて紹介したいと思うが、まず最初に紹介したいのは、交渉の場にのぞむ前に自分がしておくべき心の準備の話。 多くの場合、人は交

  • 「渡された仕様書を実装するサラリーマンプログラマ」の悲哀

    @ITの「業務用途でRubyを使う上での課題 」を読んでなんだか悲しくなった。 チーム開発でRubyを使ったときに今後起こりえる問題として、サン・マイクロシステムズ システム技術統括部 チーフテクノロジストの下道高志氏は、こう指摘する。「他人の書いたPHPコードのメンテナンスはできない。Rubyはどうかといえば、現状はいい。しかし今後“職業プログラマ”ではなく、渡された仕様書を実装する“サラリーマンプログラマ”が増えてくると、コードのスパゲッティ化は避けられないだろう」。 【業務用途でRubyを使う上での課題 − @ITより引用】 これは言語の問題ではなく、日のソフトウェア産業全体が抱える問題。以前にも「ソフトウェアの仕様書は料理レシピに似ている」というエントリーで書いたが、来のソフトウェア作りとは、絵を描いたり、音楽を作ったり、建物をデザインするのと同じ「創作活動」である。ドラッ

  • Life is beautiful: 私のとっておきのプログラミングスタイル

    404 Blog Not Found の「LiveCoding に学ぶプログラミングの三原則」を読んでいたらどうしても書きたくなったので。あくまで私のスタイルなので、参考にするもしないもご自由に。 1. スタードダッシュでできるだけはやくめどをつける 学生時代から夏休みの宿題は7月中に終わらせていた私とすれば、ラストスパートよりはスタートダッシュで勝負する。どのみち、どこかで思いっきり頑張らなければならないのであれば、締め切り間際ではなく、スタート間際に頑張るべきというのが私のポリシー。十週間のプロジェクトであれば、最初の二週間が勝負。そこで八割がたのめどをつけておき、後は流す。最初の二週間がめどが立てられなければ、十週間で完成できる可能性は低いと考える。常にそういう姿勢でいれば、締め切りぎりぎりになって致命的な欠陥が見つかって痛いめにあったり、当は大幅な設計変更をすべきなのに応急処置で

  • 民意とブッシュ政権の意向の間に板挟みになっていれば、誰でも胃が痛くなる

    アマゾンでアフィリエイト広告を出していると、自分が紹介したがどのくらい売れたかというのが分かるのだが、その売り上げレポートの中には私が紹介していないも半分ぐらい混ざっている。その中で気になるがあると、今度は自分のために注文したりする私である。ちょうど今日、そうやって注文したのが「拒否できない日」という。安倍総理の引退声明を読んでいて感じていた違和感に答えをくれそうなだ。アマゾンのページにある読者からのコメントもなかなか興味深い。 ちなみに、私が安倍総理の引退声明を読んで感じた違和感とは、「安倍さんはいったい誰のために働いているんだ?」ということ。小沢さんから言われなくとも、「テロ対策」を最優先課題にすることを国民が望んでいないことは選挙の結果からも明確。それにもかからわず「テロとの戦い」という言葉を何度も繰り返す彼を見ていると、彼のメッセージは国民に向けてのものではなく、ブッシ