モテたことがないので分からないが、モテる人にはモテるなりに悩みがあるらしい。そういえばテレビで、「僕いつもフられるんすよww」とコメントする俳優なんか見たことがあるような気がする。 そんな彼のことはともかく、モテる男の珍道中を描いた、川上弘美『ニシノユキヒコの恋と冒険』を読んだ。 唐突だけど、俺は文庫本の裏表紙にかいてある短いあらすじ紹介の文章が好きだ。これを書いた人は既に中身を読み切って、短くしかもスッキリと物語を伝えようと心を砕くわけで、そう考えたらなんだか贅沢な文章だ。 『ニシノユキヒコの恋と冒険』の文庫本の裏表紙にはこう書いてある。 「ニシノくん、幸彦、西野君、ユキヒコ・・・・。姿よしセックスよし。女には一も二もなく優しく、懲りることを知らない。だけど最後には必ず去られてしまう。とめどないこの世に真実の愛を探してさまよった、男一匹ニシノユキヒコの恋とかなしみの道行きを、交情のあった