最優秀選手として金栗四三杯を受賞した神野大地。「大地」という名前は、ソウル五輪の時に背泳ぎで金メダルを獲得した鈴木大地から父親が命名した。 photograph by Nanae Suzuki 2010年夏、菅平高原。 2004年に原晋監督を迎えた青山学院大学の陸上競技部は、2009年に33年ぶりに箱根駅伝の出場を果たし、この2010年には8位に入り、シード権を獲得していた。ちょうど、上昇曲線を描き始めたころだ。 青学大はこの夏に長野の菅平で合宿を張っていたのだが、同じ時期に愛知県の中京大中京高校も合宿を行なっていた。原監督は中京大の出身であり、母校の系列校ということもあって、高校生の走りを見に来たのである。 気になった選手がいた。 「ひとりだけ、大きい走りをしとる選手がいたのよ。ウサギみたくピョンピョン走っていてね。もうひと目で気に入ったね」 その高校生は、神野大地といった。