12巻目は、物語の本筋からしばらく離れていた島田開八段が少し顔を見せたところで終わっている。ここで島田さんが出てくるのか、たまらんな、と思った。 私は島田さんが気になって仕方がない。島田さんは、宗谷さんや土橋さんのように将棋がないと生きていけない人ではないし、桐山さんや二階堂さんのような強烈な外的要因があるわけでもない。島田さんには、故郷の人たちがついている。もし島田さんが穏やかな生活をしたいと望めば、いつでもできるに違いない。彼にはその能力も基盤もある。夢の中で「ええんだよ、開、プロになんてなれなくたって」と柔らかく語りかけた「じんちゃん」は、現実でも同じように暖かく迎えてくれるはずだ。逃げ道がある中で戦いつづけるのはどんな心境なんだろう、と思う。その意志の強さが私にはまぶしい。 じんちゃんたちもさぞかし心配だろう。島田さんは、身を削りながら最前線に立っている。シリアスには胃痛、コミカル