倉本聰さん(左)と箭内道彦さん(撮影/遠崎智宏)この記事の写真をすべて見る 脚本家の倉本聰(くらもと・そう)さんが、東日本大震災で被害を受けた福島の原発事故をテーマに書き下ろした演劇「ノクターン」を来年1月以降、全国公演する。公演を前に、福島県出身のクリエーティブディレクター箭内道彦(やない・みちひこ)さんとの対談で「福島の人たちの思い」について語り合った。 * * * 倉本:ボランティアが被災地に入ったとき、そのリーダーが「がれきという言葉を使わないで」と言ったという話も、ひどく印象に残っていますね。 箭内:「フクシマ」とカタカナで書かれるのも、福島の人にはとても苦しい。終わってしまった場所の象徴としてレッテルを貼られたように感じてしまう。 倉本:僕も言われました。あのヒロシマ、あのオキナワ、あのフクシマ……。一つの差別です。現地の人は「カタカナのフクシマは俺の故郷(くに)じゃねぇ」