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となりあわせに置かれた二つ以上の色彩が、遠くから見ると混じり合ってひとつの色に見える光学現象。色彩の鮮やかさを重視したクロード・モネをはじめとする印象主義の画家たちによって、絵画に応用された。カンヴァス上に並置した鮮やかな色と色が、「眼のなかで溶けあう」ことで生まれる色は、パレット上で絵の具同士を混ぜ合わせてできる色より輝いて見える。ここから、例えば灰色を塗りたいときでも鮮やかな黄緑と赤紫の小さな筆触を並置するという「筆触分割」の方法が生まれ、これはさらに、新印象主義の点描あるいは「分割主義」へとつながってゆく。身近なところでは、この視覚混合の原理は網点スクリーンによる商業印刷に応用されている。そしてこの商業印刷物のパロディとしてのロイ・リキテンシュタインの作品は、網点を誇張することによって、結果として視覚混合の原理の「種明かし」をしてもいる。そのリキテンシュタインに、モネの《ルーアン大聖
『イメージの力』展は、「国立民族学博物館コレクションにさぐる」と付されたサブタイトルからも明らかなように、大阪の国立民族学博物館が収蔵している「民族」資料を、東京の国立新美術館で「芸術」作品として展示する、という試みである。資料なのか、作品なのか。あるいは、学の対象となる「民族」なのか、表現の主体となる「芸術」なのか。今後多くの議論が引き起こされる予感とともに、しかし、まずは現前に出現してくる「もの」たちの存在感に圧倒された。近年、これほどの力を発散する「もの」たちが、その場を訪れた観客たちに向かって迫ってくる展覧会は稀であろう。 まず、会場の入口に据えられた、イアトムル族の三つの「神像つきの椅子」に驚かされる。一体、この造型は何に、あるいは何処に起源をもっているのか。先祖の像であるとともに椅子。しかも、その先祖は人間であるとともに動物であり、さらには植物にも鉱物にも見える。ニューギニア、
2017年は重要な芸術論の邦訳や、多彩なアーティストブックが相次いで出版され、さまざまなかたちで、アートについて「読む」経験に触れる機会の多い年となりました。しかし、そもそも「読む」とはどういった行為なのでしょうか。私たちは普段、本やウェブサイトに載っている文字だけでなく、絵画や身体の動作、ひょっとしたら路傍の石ころから、なにかを「読んでいる」と言えるかもしれません。そこで、2017年にartscapeで取り上げたアーティストの方に、「2017年に印象に残った読みモノ」について質問しました。「読む」経験とは、私たちが思っている以上に豊かな行為なのかもしれません。 執筆者 青野文昭(美術家) 岩崎貴宏(美術家) 志賀理江子(写真家) 砂連尾理(振付家、ダンサー) 野口里佳(写真家) 藤野高志(建築家) 青野文昭(美術家) タンス 《水源をめぐるある集落の物語:東京─吉祥寺・井の頭AD2017
素材や媒体に固有の性質のことを示す美学/批評用語。モダニズムの美術批評の理論的展開において重視され、特に批評家、C・グリーンバーグの言説によって広まった。グリーンバーグは、モダニズム芸術の歴史を自己批判による自己純化の過程として捉え、その過程において絵画や彫刻は、各々の媒体にとって非本質的な要素を次第に削減し、媒体固有の限界を見出すと考えた。グリーンバーグによれば、絵画においては「平面性」が他の領域と共有することのない本質であるとされ、そのような還元主義的な手続きにおいて芸術領域の自律性や「純粋さ」が確保されるという。ゆえにメディウム・スペシフィシティという概念はフォーマリズム批評ともきわめて密接な関係にある。グリーンバーグの影響下に批評家として活動を開始した60年代のM・フリードもまた、絵画に特定の限界を記述することを、特にF・ステラやK・ノーランドの作品分析において重視した。またR・E
作品の形式的諸要素(線、形態、色彩など)を重視する美学的な方法のこと。美術作品独自の物質的な条件に関わり、その視覚的特性へと偏向することで、他ジャンルからの弁別と美術作品の史的展開の自律性・連続性がしばしば強調される。古くはK・フィードラーの純粋可視性の議論やH・ヴェルフリンらの美術様式論、ブルームズベリー・グループのC・ベルとR・フライの批評理論などがあり、ニューヨーク近代美術館の館長を務めたアルフレッド・バーJr.の自律的な抽象芸術の系統的・発展史的理解やC・グリーンバーグによるメディウムの純化と戦後アメリカ美術の擁護、M・フリードのメディウム・スペシフィックな議論などが登場し、美術史のみならず、現代美術の批評と実作の双方にも大きな影響力を及ぼした。フォーマリズムに関しては、誕生、発展、衰退などの擬生物学的なメタファーから美術の線的かつ統一的な展開を暗黙裡に前提とする様式史的立場や、内
身体芸術の分野で昨今目立ってきている諸傾向のうち、筆者が興味を抱いているのは、第一に劇場中心的な劇空間の概念を捉え直す動きであり、第二に新作という概念に囚われず過去の遺産を見つめ直す動きである。これらはたんに身体芸術の分野に限った事象ではなかろう。むしろ、インターネットの普及にともない私たちの暮らし全般が変化していることと深く関わる事柄に違いない。先に挙げた二点をここではとくに、「1:フラッシュモブないしフラッシュモブのシミュレーション」「2:アーカイヴへの関心」として特徴化し、それぞれ見ていくことにしたい。 1. フラッシュモブないしフラッシュモブのシミュレーション フェスティバル/トーキョー(以下F/T)は、2012年に「F/Tモブ」を、2013年に「F/Tモブ・スペシャル」を行なった。2012年には小野寺修二、白神ももこ、KENTARO!!!、井手茂太、ジェローム・ベルが、翌2013
ピナ・バウシュが逝去した。享年68才、死因はがんだった。 師事していたクルト・ヨースの提唱するタンツ・テアターの代表的存在だったバウシュは、しばしば、20世紀ドイツを代表する表現舞踊の継承者としてとらえられがちである。そうした点は無視できないとしても、彼女の確立した方法論は、モダンダンスというよりむしろその後のポスト・モダンダンスの水脈に繋がっていたと考えるべきだろう。単一の日常的な動作を執拗に反復し、そうすることで彼女は、既存の演劇ともダンスとも結びつかない独自のダンスを生み出した。 揺れ続ける解釈 例えば、『コンタクトホーフ』(初演:1978)では、スリップドレス姿の女の周りにスーツ姿の男たちが群がると、女の体の部位をあちこち、つねったりなでたりしてひたすらいじってゆくシーンがある。女は抵抗することもなく、男たちのしたいようにさせている。痛々しくて、一瞬、セクハラの実演?なんて思わされ
1982年生まれ。おもな活動に、「食事」の「おみくじ」=「おしょくじ」をつくっていくプロジェクト、顔面に建築を組み立てていく《顔面建築》、ヒゲ・メガネ・ボウシのセットをつけ地元出身の画家に扮する《クニヨシ再来プロジェクト》、展示会場にマイチャリで入場することができる展覧会《Others》など。 この著者が書いた記事 第5回:かじこ出航までのこと/これからのこと@遊戯室[ディスカッション] コンテンツカテゴリ:Dialogue Tour 2010 [2011年01月15日] 第5回:かじこ出航までのこと/これからのこと@遊戯室[プレゼンテーション] コンテンツカテゴリ:Dialogue Tour 2010 [2011年01月15日] 第5回:かじこ出航までのこと/これからのこと@遊戯室[概要] コンテンツカテゴリ:Dialogue Tour 2010 [2010年11月01日] 第2回:かじ
1984年生まれ。大阪在住。2007年から3年間、築港ARC(アートリソースセンター by Outenin)のサブディレクターを務めた後、大阪の文化行政や子ども、地域などアートの分野にとらわれず、プロジェクト型のアート/デザインワークを 行なう。現在、ソロ活動として、2010年7月開設する中之島4117でのプログラムディレクションや大阪市港区で子ども共同プロジェクトを開始。 2007年からNPO法人remoによるAHAprojectメンバー。大阪の安治川倉庫FLOATを音楽家たちと共同運営。 この著者が書いた記事 第5回:かじこ出航までのこと/これからのこと@遊戯室[ディスカッション] コンテンツカテゴリ:Dialogue Tour 2010 [2011年01月15日] 第5回:かじこ出航までのこと/これからのこと@遊戯室[プレゼンテーション] コンテンツカテゴリ:Dialogue Tou
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