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ブックマーク / courrier.jp (24)

  • スイスから世界に広がる「死を気軽に語り合う」カフェ

    英国エディンバラのカフェで「死」をカジュアルに語り合う参加者たち PHOTO: MURDO MACLEOD / GUARDIAN NEWS & MEDIA LTD 近年、「死」について語り合う“デス・カフェ”が世界各国で注目を集めている。 このブームは、およそ10年前にスイスのヴィソワ村在住の社会学者、バーナード・クレッタズ(78)がの死を契機に、「死」についてカジュアルに話す会を開いたことが発端だった。2004年に、彼がスイスのヌーシャテルという街のレストランで初めてデス・カフェを開催したところ、話題を集め、スイス各地で行われるようになったのだ。 さらに、2010年にクレッタズがパリで開いたデス・カフェが英国メディアに取り上げられると、それに触発された英国の社会起業家ジョン・アンダーウッドが自宅でデス・カフェを開催。ウェブサイト「deathcafe.com」を開設し、クレッタズの功績と

    スイスから世界に広がる「死を気軽に語り合う」カフェ
  • 父はなぜ「人種差別主義者のカリスマ」になったのか─父への愛憎を乗り越えるとき | ネオナチのリーダーに育てられた私の人生

    「私の遺伝子を子供に受け継ぐなんて恐ろしい」 のスーザンにしてみたら、夫の父であるウィリアム・ピアースの思想はあまり問題ではなかった。「ありがたいことに、そういう考え方はもう滅んでいくだろうから」と、彼女は考えていた。 ただ今となっては、この予想はあまりに楽観的で、幼すぎたと彼女は思っている。ケルヴィンを苦しめた虐待がどれほどのものだったか推し量るのも、当時の彼女には難しかった。 「父に毎日殴られたんだ」。ある日、ケルヴィンはスーザンに告げた。 「毎日?」。スーザンは信じられない様子だった。 スーザンは、「いつもお互いをハグして、『大好き』と言い合うような家庭」で育ったからだ。スーザンとケルヴィンは、養子を取るならばいいと合意して、子供を持つことにした。「私の遺伝子を子供に受け継ぐなんて恐ろしいと感じていたのです」とケルヴィンは言う。 「私は人間として台無しになり、傷ついていたので、子供

    父はなぜ「人種差別主義者のカリスマ」になったのか─父への愛憎を乗り越えるとき | ネオナチのリーダーに育てられた私の人生
  • シリコンバレーに亀裂 米大統領選がきっかけで大物同士の友情にひび | ハリスかトランプかを巡って異例の舌戦

    ドナルド・トランプ前米大統領の支持者であるイーロン・マスク氏は、ハイテク投資家で民主党員のビノッド・コースラ氏が前大統領を嫌っていることに関して、ソーシャルメディアのXで同氏を「錯乱状態」と評した。 カマラ・ハリス氏の支持者で米クラウドコンピューティング企業ボックスの最高経営責任者(CEO)を務めるアーロン・レヴィ氏は、投資家のデービッド・サックス氏について、トランプ氏を支持するなんて、せき止めシロップを飲んでハイになっているに違いないと示唆した。 マスク氏を称賛していたグリーンテック(資源や環境に配慮したテクノロジーやサービス)投資家たちは今、彼がトランプ氏の側に付いたため、裏切り者呼ばわりしている。 シリコンバレーでは、異例の公の場での舌戦が起きつつある。ハイテク業界で最も知名度が高い人々の何人かが、大統領選を前にかつての友人や同僚を攻撃している。 ハイテク業界はこれまで左寄りだったの

    シリコンバレーに亀裂 米大統領選がきっかけで大物同士の友情にひび | ハリスかトランプかを巡って異例の舌戦
  • 【解説】2つの州議会選挙の結果は「移民に寛容なドイツ」の終わりを示す | 勝利した極右政党の影響力

    独テューリンゲン州で投票する有権者 Photo: Martin Schutt / picture alliance / Getty Images 歴史的な結果 9月1日におこなわれたドイツ東部のザクセン州とテューリンゲン州の州議会選挙は、歴史的な結果となった。 いずれの州でも、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が単独で3分の1以上の票を獲得。テューリンゲン州では第一党に躍り出た。ナチ支配以後、初めて極右が勝利した形だ。 また、東ドイツで事実上の独裁を敷いていた社会主義統一党をルーツの一つに持つ「左翼党」の元幹部ザーラ・ヴァーゲンクネヒトが離党して新たに結成した左派ポピュリズム政党「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)」も、両方の州で政権樹立のキャスティングボートを握れるほどの票を獲得した。BSWも移民制限を掲げるほか、ウクライナへの支援に後ろ向きで、AfDと政策が共通する部分も

    【解説】2つの州議会選挙の結果は「移民に寛容なドイツ」の終わりを示す | 勝利した極右政党の影響力
  • トランプ支持のイーロン・マスクは「米大統領選」にどこまで干渉できるか? | 所有する「X」上の言論操作は可能

    虚偽情報を垂れ流すX 8月30日、ブラジル最高裁判所は米ソーシャルネットワーク「X」のブラジル国内におけるサービス停止を命じた。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、その背景にあったのは、2022年の大統領選挙で敗れたボルソナロ前大統領に関する偽情報がX上で溢れていたことだ。前大統領は犯罪捜査を受け、選挙への出馬も禁じられている。しかし、2年前の選挙での敗北には不正があったなどの嘘がX上で流れ、ボルソナロ陣営は勢いづいていた。 ブラジル最高裁のアレクサンドル・デ・モラエス判事は、偽情報を拡散する数十のアカウントを停止するように4月からXに求めてきた。しかし、Xを所有するイーロン・マスクは、それを「言論の自由」に対する攻撃として命令に対応せず、ブラジルのオフィスを閉鎖し、裁判所と対立してきた。

    トランプ支持のイーロン・マスクは「米大統領選」にどこまで干渉できるか? | 所有する「X」上の言論操作は可能
  • ジョセフ・スティグリッツ「トランプが勝てば、資本主義は“自滅”しうる」 | 「悪魔」と取引する米国の億万長者たち

    2001年にノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ(81)。長年異端とされる主張を繰り返してきた彼は、自らを「改革が必要な資主義を支持する進歩主義者」と呼ぶ。 いまも世界で大きな発言力を持つ彼は、著書や講演会を通じ、40年間続く新自由主義による悪影響を批判し続けている。講演のためにマドリッドにやってきたスティグリッツから、スペイン紙「エル・パイス」が話を聞いた。 「トランプ現象」とはなんなのか ──2024年は世界各地で選挙がありますが、争点になっているのはどこも経済政策ではなく、スキャンダルや文化戦争です。 経済はそうしたものの背景にあります。新自由主義が40年間続き、多くの人々は大変な困難を強いられました。グローバリゼーションや技術の変化によって、脱工業化が進んだのが原因です。新自由主義において取り残された非常に多くの人々が守られず、絶望するようになりました。これは特に米

    ジョセフ・スティグリッツ「トランプが勝てば、資本主義は“自滅”しうる」 | 「悪魔」と取引する米国の億万長者たち
  • 気鋭の人類学者、項飆「中国の若者はかなり悲観的になっている」 | 英国オックスフォード大元教授が語る、不景気下の中国の若者たちの思想とは

    1972年浙江省温州市生まれで、英国オックスフォード大学の社会人類学の元教授で、現在ドイツのマックス・プランク社会人類学研究所員である項飆(シャン・ビャオ)。気鋭の人類学者である彼が、不景気のなかにある現代の中国の若者たちが何を考えているのか、また、今後の中国にどのような影響を与えるのかを語る。 ──中国の若者は景気後退にどのような影響を受けているのでしょうか? 若者たちは高齢者に比べてはるかに大きな影響を受けています。高齢者たちは過去40年間の高度成長の恩恵を受け、貯蓄や不動産を持っているような人々です。 一方、いまの新卒の若者たちは、将来に大きな期待を持って育った世代です。彼らにとって現実とのギャップは非常に厳しい。仕事もキャリアアップの機会も少ない。また、就職できたとしても、IT業界のように、企業は激しい競争を繰り広げているため、条件がより厳しくなっているのです。 もちろん、社会集団

    気鋭の人類学者、項飆「中国の若者はかなり悲観的になっている」 | 英国オックスフォード大元教授が語る、不景気下の中国の若者たちの思想とは
  • ニック・ボストロム「意識を持っていようといまいと、AIが人類を滅ぼす危険性はある」 | 超絶知能の制御には社会的な変革も必要だ

    スーパーインテリジェンスの登場は近い ──あなたは何十年も前から、人間の知能を凌駕するスーパーインテリジェンス(超絶知能)の登場を警告してきました。怖くなるような考えです。それはいつ頃、実現するのでしょうか。 私はすでに90年代中頃から、21世紀の前半にはスーパーインテリジェンスが登場すると考えてきました。どうやらそうなりそうです。最近、人工知能の開発が急速に進んでいることを考えると、早ければ数年後にも実現するでしょう。 ──いまのところ、アルゴリズムは人間とチャットをしたり、画像を生成したりできますが、その知能には限界があるようです。 長年、AIモデルは枝葉の領域に特化してきました。しかし現在のモデルには、基礎的な学習能力が備わっています。それらはコンピュータのコードを書いたり、詩を作ったり、物理学・医学・法学などの難しい試験に合格したりできるようになっています。パターンを認識し、得られ

    ニック・ボストロム「意識を持っていようといまいと、AIが人類を滅ぼす危険性はある」 | 超絶知能の制御には社会的な変革も必要だ
  • ピーター・ティールが「パランティアの経営」を任せたアレックス・カープという天才 | 「私は極左のユダヤ人の子供でおまけに失読症だった」

    極左のユダヤ人の子供でおまけに失読症でした 「自分がいまだに銃で撃たれたり、窓から突き落とされたりしていないことがなかなか信じられなくてね」 アレックス・カープはニューヨークのミートパッキング地区にあるパランティアのオフィスで私にそう言った。オフィスの窓は防弾ガラスで、近くにはボディーガードが数名配備されている。 もっともカープの言葉は、文字通りに受け取るべきものではなかった。その言葉は、カープを子供時代から悩ませてきた破滅への不安感を伝えたくて言ったものだったからだ。 カープは米国のフィラデルフィアで育った。父親のロバート・カープは小児科医、母親のリア・ジェインズ・カープはアーティストだった。父親がユダヤ人で、母親がアフリカ系米国人である(カープには兄弟が1人、継兄弟が2人いる)。 両親が「二人ともヒッピーだった」ので、子供時代は両親に連れられて政治的な抗議運動に加わる時間が多かった。出

    ピーター・ティールが「パランティアの経営」を任せたアレックス・カープという天才 | 「私は極左のユダヤ人の子供でおまけに失読症だった」
  • 哲学者ハン・ビョンチョル「完全な支配は、人々が遊びに興じることで成立する」 | 「疲労社会」に生きる現代人

    デジタルの世界で、私たちは搾取されている。「よくない」と頭ではわかっていても、実際はスマートフォンを片時も離さず、少しでも暇があればSNSをチェックし、他人との比較に余念がない。現代がモノで溢れかえる一方、私たちは「非物質」に取りつかれ、安定性を失っていると、哲学者ハン・ビョンチョルが警鐘を鳴らす。 私たちが手で触れ、匂いを嗅ぐことができるモノたちの、原子と分子から成る「物質界」は、情報社会つまり「非物質世界」へと、眩暈(めまい)がするように溶解しつつある。 そう指摘するのは、韓国生まれのドイツの哲学者ハン・ビョンチョルだ。私たちは、なおこの「非物質」を求め、購入し、販売しており、それらは私たちに影響を及ぼし続ける。 デジタルの世界は、私たちがまだ現実世界とみなしているものと異種交配して混ざり合い、人間をかつてないほど触れがたく、はかない存在に変えている。 最新の著作『非物質:現代社会の破

    哲学者ハン・ビョンチョル「完全な支配は、人々が遊びに興じることで成立する」 | 「疲労社会」に生きる現代人
  • なぜ柄谷行人は賞金1億円超の哲学賞を受賞したのか─哲学誌「ノエマ・マガジン」編集長に聞いた | 「柄谷は、さまざまな境界を越える独創的な思想家」

    ──バーグルエン賞では、選考委員はどんな議論をして受賞者を決めるのですか。 選考委員はバーグルエン研究所から独立して受賞者の選考をしているので、選考委員ではない私は、今回の賞の選考の際にどんな議論があったのかは知りません。毎年、代わり番で6人の有識者に選考委員を務めてもらっています。2022年度の選考委員長は神経学者のアントニオ・ダマシオでした。 この哲学賞の目的の一つは、西洋の思想家だけでなく、西洋以外の地域、とくにアジアの思想家にも目を向けることです。それで選考委員会には、中国人哲学者の汪暉(ワン・フイ)と、香港出身で現在はドイツ在住の哲学者ユク・ホイの2人のアジア系の選考委員もいます。柄谷をノミネートしたのは、この2人でした。 柄谷の思想でとくに評価されたのは次の2点です。一つは、哲学が生まれたのはアテナイではなく、その前の古代イオニアの「イソノミア(無支配)」から生まれたという着想

    なぜ柄谷行人は賞金1億円超の哲学賞を受賞したのか─哲学誌「ノエマ・マガジン」編集長に聞いた | 「柄谷は、さまざまな境界を越える独創的な思想家」
  • 安倍元首相は旧統一教会だけでなく「神道も政治化」した─米研究者が指摘 | 世俗国家・日本の「政治と宗教の癒着」に世界も驚愕

    安倍元首相と旧統一教会とのつながりは国内のみならず、日を「非宗教的な国」だと認識していた世界を驚かせた。だが、日の宗教を専門とするアメリカの研究者によれば、安倍派の政治家は神道の思想や価値観も政治利用してきたという。 安倍晋三元首相を狙撃した山上徹也容疑者は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に安倍が関係していたことが犯行の動機だった、と警察で供述している。旧統一教会は、救世主信仰の新興宗教だ。 1954年に同教会を創設した文鮮明(ムン・ソンミョン)は、家族を救済して世界を平和にするため、イエス・キリストが自分をこの世に送り出したと主張した。文は宗教活動の他、国際的なビジネスや保守系の反共産主義の政治活動にも関与しており、その信者は「ムーニーズ」とも呼ばれる。 安倍元首相と旧統一教会との政治的なつながりは、3世代前の祖父・岸信介までさかのぼり、父・安倍晋太郎と晋三に引き継がれた。安倍は

    安倍元首相は旧統一教会だけでなく「神道も政治化」した─米研究者が指摘 | 世俗国家・日本の「政治と宗教の癒着」に世界も驚愕
  • 米紙「日本政府は損切りし、IOCには『略奪するつもりならよそでやれ』と言うべきだ」 | 日本政府は主権まで放棄したわけではない

    国際オリンピック委員会(IOC)のフォン・ボッタクリ男爵と金ぴかイカサマ師たちの間では、いつの間にやら、日を自分たちの足置き台として使おうということで決まっていたようだ。 だが、日は五輪開催に同意したとき、主権まで放棄したわけではない。東京での夏季五輪開催が国益を脅かすのなら、日の指導者たちはIOCに対し、略奪はよその公国へ行ってしてくれと言うべきである。 中止はつらい。だが、それが弊風を正すことにもなるのである。 フォン・ボッタクリ男爵、別名トーマス・バッハIOC会長とそのお供の者たちには悪癖がある。それは自分たちをもてなすホストに大散財をさせることだ。まるで王族が地方にお出ましになったとき、そこの小麦がべ尽くされ、あとに残るのが刈り株だけになるときのような話だ。 日国民の72%が、このパンデミックの真っ只中に国外から1万5000人のアスリートや五輪関係者をもてなすのは嫌であり

    米紙「日本政府は損切りし、IOCには『略奪するつもりならよそでやれ』と言うべきだ」 | 日本政府は主権まで放棄したわけではない
  • 今年こそ運動で痩せたいという人は「週300分」を目指しましょう | 運動で燃焼した分を埋め合わせようとする“カロリー調整”の壁

    運動しても痩せない。そんな悩みを抱えている人は少なくないだろう。奮起して運動をはじめても、体重はなかなか減らない。やがて気持ちが折れてしまって、元の生活に逆戻り。腹いせにやけいをして、運動前より太ってしまったなんていうのも、よくある話だ。 運動しても、なかなか痩せないのには理由がある。体を動かすと、そのぶん欲が刺激される。健康に良いことをしたという達成感も手伝って、普段より余計に飲みいしてしまいがちだ。つまり、消費カロリーが増えるとともに、摂取カロリーも増えているのだ。 だが、運動にダイエット効果がないと決めつけるのは早計だ。米ケンタッキー州の研究チームは、運動によって引き起こされる“カロリー調整”に関する調査を行い、痩せるために必要な運動量をはじき出している。今年こそダイエットを成功させたいと思っている人は必読だ。 運動すると体はカロリーを埋め合わせようとする 運動はダイエットに効

    今年こそ運動で痩せたいという人は「週300分」を目指しましょう | 運動で燃焼した分を埋め合わせようとする“カロリー調整”の壁
  • “知の巨人”ノーム・チョムスキー「トランプはアメリカ人の精神性をよく知る、熟練の政治屋だ」 | 急進派の大御所が語る「大統領選とこれからのアメリカ」

    言語学・言語哲学の大家でありながら、政治やメディア批評も旺盛におこなってきた米マサチューセッツ工科大学(MIT)名誉教授のノーム・チョムスキー(91)。「世界最高の論客」とも呼ばれる彼は、2020年米大統領選とアメリカの未来、そして今後の中東情勢をどう見ているのか。イスラエル紙「ハアレツ」がインタビューした。 ノーム・チョムスキーは大統領選挙に先んじて、自身がジョー・バイデンに投票するつもりであり、アメリカの革新派の人々も同じことをするだろうと、繰り返し語ってきた。11月3日より前に行われた米オンラインメディア「サロン」のインタビューで、伝説的な知の巨人たる言語学者はこう語っていた。 「私は反トランプ側に投票するつもりですよ。現状の二大政党制では、反トランプ派に投票しようと思ったら、民主党支持に舵を切るしかないという現実的な問題はありますが」 選挙はバイデンの勝利に終わったが、選挙直後に行

    “知の巨人”ノーム・チョムスキー「トランプはアメリカ人の精神性をよく知る、熟練の政治屋だ」 | 急進派の大御所が語る「大統領選とこれからのアメリカ」
  • 感染リスクにさらされる医師たちが「遺言」を書きはじめた | 医療崩壊寸前のアメリカで起きていること

    マスクや防護服が不足する現場でパンデミックの最前線に立つアメリカの医師たちは、自らの感染の危険性と“死”を強く意識しはじめている。彼らは“最悪のシナリオ”に備え、残される家族のために遺言を書き、もう家には帰れないかもしれないと覚悟して、今日も病院へ向かう。 「イラク従軍時よりも死の恐怖を感じる」 アンドレア・オースティン(35)が自分の死を初めて意識したのは、軍のC-130機でイラクに到着する時だった。救急医の彼女は、外傷チームの一員として7ヵ月間赴任する前に遺言書と委任状は準備していた。だが、死と隣り合わせの危険性が現実味を帯びたのは戦地に入った瞬間だった。 それから3年以上がたった今、新型コロナウイルスの感染が驚くべき速さで拡大するなか、ロサンゼルス郡・南カリフォルニア医大病院に勤務するオースティンは、「最悪のシナリオ」を再び考えている。 同僚の医師2人のうち、自分の末期治療をどちらに

    感染リスクにさらされる医師たちが「遺言」を書きはじめた | 医療崩壊寸前のアメリカで起きていること
  • 【全訳】メルケル首相、自宅隔離から復活のスピーチ「“その後”は必ず訪れます」 | 「おかえり!ドイツのおっかさん」

    私がお約束します。連邦政府を頼ってください 国民のみなさん、こんにちは。 今日、こうしてまた首相府からみなさんにお話しすることができるのを嬉しく思います。自宅隔離を終え、体調も万全です。私はいま、14日間一人で家にいること、そして14日間電話やインターネットでしか世界と繋がることができないのは、簡単ではないと確信しています。 新型コロナウイルスにより自宅に一人でとどまらなければならない高齢者や持病のある人にとって、そして私のように隔離を求められている人にとって、この時期はとくにそうでしょう。そうした状況にいる方々に、心からお見舞いを申し上げます。 このウイルスとの戦いにおいて、私と連邦政府にとって何が意思決定の指針となるのか、いま一度みなさんにお伝えします。まもなくイースターが始まります。ふだん教会に通う何百万人ものキリスト教徒にとって、復活祭(日曜日)とは、家族みんなで散歩をしたり、焚き

    【全訳】メルケル首相、自宅隔離から復活のスピーチ「“その後”は必ず訪れます」 | 「おかえり!ドイツのおっかさん」
  • 「○○は体にいい!」研究は、企業が高値で仕込んでいた!|癒着を暴く「女戦士」が明かす企業の実名

    ニューヨーク大学教授、公衆栄養学の専門家。著書に『フード・ポリティクス―肥満社会と品産業 』『の安全―政治が操るアメリカ卓』ほか多数 Photo: Neilson Barnard / Getty Images 「カカオに入っているフラボノイドは心臓や脳に良い」から、チョコレートを“ちょっと”べ過ぎても大丈夫。“低カロリー”のアイスクリームなら、ドカいしても太らないはず──。 私たちは「体に悪そうな」ものを口にするとき、どこかで耳にしたことのある都合の良い「研究結果」を言い訳にしていないだろうか。 だが、それはそもそも当なのか? ニューヨーク大学のマリオン・ネスル教授は、巨大品企業が科学研究に影響を与え、その結果をも歪めてきたと主張する。 米国に着いてから24時間も経たないうちに、私は賢明な心の声を無視して、この国の最新の文化に浸ってみることにした。それは「低カロリーのアイ

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  • ピケティさん、「格差が生まれる仕組み」を知れば格差はなくせるんですか? | 【ロングインタビュー】トマ・ピケティの語る新刊『資本とイデオロギー』論点(1)

    フランスの経済学者トマ・ピケティが2013年に発表して世界中の注目を集めた『21世紀の資』は、かの「クズネッツ曲線」を提示したサイモン・クズネッツのテーゼを完全に覆し、長期的に資収益率(r)が経済成長率(g)を上回る(r>g)以上、資主義を放置すれば必然的に経済的不平等が拡大するということを、広範な歴史的データを駆使して実証しただった。 そのピケティが、2019年9月に『資とイデオロギー』を上梓した。この新著が、前著にもまして夥しい資料を引いて明らかにするのは、主として、世界のどの地域を見ても、どの時代に着眼しても、経済的不平等が維持されるのは自然の成り行きではなく、それを正当化する物語やイデオロギーの神話的効果にほかならないという事実だ。ピケティは、とりわけ19世紀の西洋先進国における私有財産の聖域化を厳しい眼で考察している。 しかし、このは、異例の大著だった『21世紀の資

    ピケティさん、「格差が生まれる仕組み」を知れば格差はなくせるんですか? | 【ロングインタビュー】トマ・ピケティの語る新刊『資本とイデオロギー』論点(1)
  • 人類が言語を獲得した「瞬間」にはこんなことが起きていた | 「人類言語のディープ・ヒストリー」

    1 初期人類と言語的人類はまったく別もの 人類がアフリカで生まれたことは、いまや常識である。 だけどアフリカのどこで、いつ、どのように生まれたのかということになると、まだ確かなことはわかっていない。どうしてわかっていないのだろう。 そもそも、人類という言葉(概念)が、広すぎるところに問題がある。ラーメン歴史を知りたいのに、おのおのが自分の好きな麺を論じているのだ。 科学雑誌ですら、「人類の起源」というタイトルで、直立二足歩行する猿人を論ずることもあれば、言葉を獲得した現生人類を論ずることもある。そのために議論が錯綜し、混乱するのだ。人類学者や言語学者も、この問題を放置したまま議論を続けている。 「人類」というひとつの言葉で、「300万年前に直立二足歩行しはじめた初期人類」と、「7万年前に肺の気道の出口である喉頭が道の途中にまで降下して、母音の発声が可能になった言語的人類」とを区別せずに

    人類が言語を獲得した「瞬間」にはこんなことが起きていた | 「人類言語のディープ・ヒストリー」