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ブックマーク / ekrits.jp (11)

  • 永原康史「夢の終わり」 | ÉKRITS / エクリ

    2019年11月のブラックマウンテン訪問から、もう1年も経ってしまった。これを書いているのは2020年の11月半ばである。来であれば今ごろ4度目のアッシュビルから戻り、第6回の執筆にかかっているところだが、コロナ禍でそれも叶わなかった。 前回訪問の目的は、主に1948年から52年にかけての夏期美術講座について調べることにあった。ジョン・ケージとマース・カニンガムが初めてBMCを訪れた48年から、ハプニングのはじまりとして名高い「シアターピース No.1」が行なわれた52年までのことだ。その間、バックミンスター・フラーのドーム建設があり、ルース・アサワやアーサー・ペン、ロバート・ラウシェンバーグ、サイ・トゥオンブリー※1らが入学し、デ・クーニング夫やM.C.リチャーズ、ビューモント・ニューホル、ベン・シャーン※2らが教鞭をとった。美術史的にはもっとも実りの多い、その5年間を重点的に調べた

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  • 永原康史「伝説の夏期講座、前夜」 | ÉKRITS / エクリ

    2018年の夏、アッシュビル滞在中は毎日雨だった。「雨が続くね」とアーカイヴセンターの司書に話しかけたら、「夏は毎年よ。それを理由に夫は9月までペンキの塗りかえをしないの」彼女はたしかにそう言った。 なのにBMCのサマーインスティテュート(以下、夏期講座)が続いたのはどうしてだろう。雨期なら避けるはずだが、夏期講座の写真を見ても雨の気配はない。 不思議に思って調べてみた。2018年の7月と8月をみると、晴天は少なく曇りがちで、にわか雨も数えれば二日に一度程度の降雨。一日中降っている日は1ヶ月通して7〜8日ほどだった。東京の梅雨と比べてすこし少ないぐらいだろうか。毎日が曇天でいつ雨が降ってもおかしくないような天候だったが、実際に降っている時間は短かったのかもしれない。 気温は15度を下ることはなく、30度を超えることもない。湿度は50%程度で過ごしやすい。そういえば、エデン湖キャンパスはもと

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  • 永原康史「奇跡の夏」 | ÉKRITS / エクリ

    1948年6月、ドイツの米英仏占領区域でドイツマルクが導入され、ソ連によるベルリン封鎖が始まった。いわゆる冷戦の始まりである。アメリカでは1940年以来の平時徴兵が復活する一方、トルーマン大統領が軍における人種差別禁止の大統領令に署名した。7月29日、第二次大戦で繰り延べになっていたロンドンオリンピックが開幕、敗戦国の日は参加を認められなかった。同31日にニューヨーク国際空港(のちのJFK空港)開港。8月には大韓民国(韓国)が、9月には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が相次いで成立した。日では5月に美空ひばりがデビューし、7月に風営法公布、8月には渋谷ハチ公銅像再建除幕式が行なわれた。第二次世界大戦が終結して3年目の夏に、ブラックマウンテンで起こったことをお話ししたい。 2つのインタビュー 「私がブラックマウンテンに着いたのは1948年の夏だった」バックミンスター・フラー※1はインタビ

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  • アッシュビルに旅して – ブラックマウンテンカレッジ考 #1 / 永原 康史 | ÉKRITS / エクリ

    ブラックマウンテンカレッジのことを書いてみようと思い立ったのは、縁あってジョセフ・アルバースの“Interaction of Color”の監訳作業※1をしていた2016年春のことだ。それから2年たった今、ようやく手をつけることができた。 ブラックマウンテンカレッジ(以下、BMC)は、1933年から1957年の25年間、アメリカ東南部ノースキャロライナ州ブラックマウンテンにあったリベラルアーツスクールだ。芸術教育が目立ったがためにアートスクールと思われていることが多いが、それは大いなる誤解である。 BMCの芸術教育を先導したのはジョセフ・アルバース※2で、バックミンスター・フラー※3がドーム建築を試み、ジョン・ケージ※4が最初のイベント「シアター・ピース#1」を実行し、マース・カニンガム※5が舞踏団を結成、そして後期にはチャールズ・オルソン※6の下、ブラックマウンテン派と呼ばれる詩人たちが

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  • 永原康史「エデン湖をめぐって」 | ÉKRITS / エクリ

    2018年11月3日朝、ぼくは再びシャーロット空港に降り立った。夜に着いて夕べ損ねた前回の反省から、今度は早朝に着くナイトフライト便を選んだのだ。雨期の夏から3ヶ月、どうしても秋のブラックマウンテンを見たかった。ジョセフ・アルバースが世界一美しいと言ったあの紅葉の季節である。 新BMCミュージアムの開館展 前回と同じアッシュビルのダウンタウンの端っこにあるモーテルに宿を取っていたが、チェックインまで時間があるのでフロントに荷物を預けて街に出た。目指すは開館25周年を記念して新しくなったBMCミュージアム※1。Google Mapsをたどりながら街を歩く。地図が不要なぐらいわかりやすい場所に新しいミュージアムはあった。なかに入って全体を見る。展示室は広くなり、階下に図書室兼資料庫ができていた。 まずは、前回いろいろ教えてもらった学芸員のアリスにお礼を言わなければならない。すべては彼女か

    永原康史「エデン湖をめぐって」 | ÉKRITS / エクリ
  • アッシュビルに旅して – ブラックマウンテンカレッジ考 #1 / 永原 康史 | ÉKRITS / エクリ

    ブラックマウンテンカレッジのことを書いてみようと思い立ったのは、縁あってジョセフ・アルバースの“Interaction of Color”の監訳作業※1をしていた2016年春のことだ。それから2年たった今、ようやく手をつけることができた。 ブラックマウンテンカレッジ(以下、BMC)は、1933年から1957年の25年間、アメリカ東南部ノースキャロライナ州ブラックマウンテンにあったリベラルアーツスクールだ。芸術教育が目立ったがためにアートスクールと思われていることが多いが、それは大いなる誤解である。 BMCの芸術教育を先導したのはジョセフ・アルバース※2で、バックミンスター・フラー※3がドーム建築を試み、ジョン・ケージ※4が最初のイベント「シアター・ピース#1」を実行し、マース・カニンガム※5が舞踏団を結成、そして後期にはチャールズ・オルソン※6の下、ブラックマウンテン派と呼ばれる詩人たちが

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  • 浅野紀予「アクセシビリティという意味への問い」 | ÉKRITS / エクリ

    哲学における「アクセス」 いかなる必然性にも確率にも従わず、先行する状態にまったく含まれていない状態を創発させることができる時間。そのような時間を考えるとき、現在は未来をはらんでいるわけではなく、過去の経験から未来を予測することもできない。それは人間にとって厳しい現実となるかもしれないと同時に、わたしたちの未来が、充足理由律から解き放たれることを意味している。浅野紀予「思弁的世界とコミュニケーション」 去年の春に書いた「思弁的世界とコミュニケーション」という記事を、わたしは当初、「詩と経験と因果律」と題していました。記事のなかに「因果」の二文字は出てきませんが、そこで試みたのは、あらゆるものごとに必然的な因果関係があるとする「充足理由律」を疑ってみることでした。 わたしたちは、何かが起きるとその原因を知りたくなりますし、それを次の結果に結びつけようとするものです。つまり、悪い結果が起きた場

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  • 永原康史「エデン湖をめぐって」 | ÉKRITS / エクリ

    2018年11月3日朝、ぼくは再びシャーロット空港に降り立った。夜に着いて夕べ損ねた前回の反省から、今度は早朝に着くナイトフライト便を選んだのだ。雨期の夏から3ヶ月、どうしても秋のブラックマウンテンを見たかった。ジョセフ・アルバースが世界一美しいと言ったあの紅葉の季節である。 新BMCミュージアムの開館展 前回と同じアッシュビルのダウンタウンの端っこにあるモーテルに宿を取っていたが、チェックインまで時間があるのでフロントに荷物を預けて街に出た。目指すは開館25周年を記念して新しくなったBMCミュージアム※1。Google Mapsをたどりながら街を歩く。地図が不要なぐらいわかりやすい場所に新しいミュージアムはあった。なかに入って全体を見る。展示室は広くなり、階下に図書室兼資料庫ができていた。 まずは、前回いろいろ教えてもらった学芸員のアリスにお礼を言わなければならない。すべては彼女か

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  • 浅野紀予(2015.06.08)「デザイン・フィクションとデッドメディア」 | ÉKRITS / エクリ

    最近、「デザイン・フィクション(Design Fiction)」という言葉を目にすることが多くなった。大手企業が製品/サービス開発に活用したり、MITメディアラボやカーネギーメロン大学で専門の研究グループや教育課程ができるなど、さまざまな方面で注目が高まっている。 このデザイン・フィクションとは、そもそも何のことなのだろうか? デザイン・フィクションという言葉を生んだSF作家ブルース・スターリングは、それをSF(サイエンス・フィクション)のような物語世界にリアリティを与えるためのプロトタイプ(試作品)として捉えていた。この「スターリング的デザイン・フィクション」は、フィクションの中に制作物として具現化されたデザインのことだ。 一方、製品/サービスのデザインの現場や、HCI(Human-Computer Interaction)のようなデザイン関連の研究分野では、デザインのアイデアに説得力を

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  • 上野学「エントロピーとデザイン」 | ÉKRITS / エクリ

    働くということは唯意志するということではない、物を作ることである。我々が物を作る。物は我々によって作られたものでありながら、我々から独立したものであり逆に我々を作る。しかのみならず、我々の作為そのものが物の世界から起る。西田幾多郎『絶対矛盾的自己同一』 デザインの獲得 イギリスの有名な童話に「3びきのくま」というのがある。ゴルディロックスという女の子が森で一軒の家を見つける。中に入ると誰もいないが、テーブルに3つのスープがある。1つめは熱すぎ、2つめは冷たすぎ、3つめがちょうどよかったので、それを飲んでしまう。同じように椅子やベッドも3つずつあり、そのうちの1つがちょうどよい。最後にクマの家族が帰ってきて、驚いた女の子は慌てて逃げ帰る。 この話が元になって、物事が多すぎず少なすぎずちょうどよい具合である範囲のことを、ゴルディロックスゾーン※1という。 宇宙はその一般的な傾向として、エントロ

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  • ÉKRITS / エクリ

    久保田 晃弘 / Akihiro Kubota 情報が多すぎる時代にアーカイブから未来を予言する方法。可逆デザインは、わたしたちがいつの日からか信じ込んでいる「少ないほど良い」というデザイン理論の逆を行く。

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