修学旅行で同じ班になった女を好きになった。 彼女は控えめな性格で、とても地味な生徒だった。それまで話したこともなかった。 旅行中に彼女と親しくなった。 エレクトリックパレードも一緒に見たし、宿の屋上で東京の夜景を見ながらいろいろな話をしたよ。 彼女は俺に毎朝「おはよう」と言ってくれるようになった。はにかんだ表情が印象に残る。 俺はヘボなので何の進展もなく卒業式を迎えた。 彼女は手紙をくれた。「これからも仲良しでいてね」と書かれていた。 それっきりだ。 大学3年のとき唐突に彼女からの電話を受けた。「会いたい」と言う。 喜んで出かけたら、そこにはノーメークで毛玉だらけのニットを着た女がいた。 「久しぶり」と言った口には前歯が欠けていた。 彼女は宗教にはまっていた。 「自分に自信が持てるようになった」し、前歯が欠けたままなのは「大事なのは心」だそうだ。 彼女は俺を雄弁に勧誘した、体を寄せてきた、
![2006-02-28](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/06a15c64ba0ceec233d86d71001ebb29a9dcbf5d/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.blog.st-hatena.com%2Fimages%2Ftheme%2Fog-image-1500.png)