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2020年3月12日のブックマーク (1件)

  • 古井由吉は日本文学に何を遺したのか 82年の生涯を新鋭日本現代文学研究者が説く

    2月18日、「内向の世代」の小説家・古井由吉が逝去した。享年82歳。 杳子は深い谷底に一人で座っていた。/十月もなかば近く、峰には明日にでも雪の来ようという時期だった。(「杳子」71年) およそ50年前、古井が第64回芥川賞を受けた代表作「杳子」の冒頭。最小限の描写のなかに作品全体をおおう不穏なムードが圧縮された印象的な書き出しである。タイトルにある「杳」という語は〈ヨウ〉と読んで、〈くらい、ぼやけた、さびしい〉といった意味をあらわすという。主人公は「彼」と呼ばれる男性である。精神を病んでいるらしい杳子と山中で出会い、次第に「恋愛小説」的な関係がむすばれていく。杳子の病いをつぶさに観察する「彼」のまなざしはときに暴力的である。だが、その「彼」が杳子に見つめ返されるとき、物語はひとつのピークを迎える。 比較的入手しやすい(たとえば、新潮文庫やKindleで読める)中編なので、古井作品を未読の

    古井由吉は日本文学に何を遺したのか 82年の生涯を新鋭日本現代文学研究者が説く
    hhasegawa
    hhasegawa 2020/03/12
    時代4区分にはほぼ同意できる(『槿』は前期でもよさそう)。「内向の世代」命名については、小田切秀雄は特に古井と川村二郎を日本浪曼派の復活と見ていたようなので、潜在的には「右」を叩く動機があったのでは。