ニューアルバム『In These Times』が大きな評判を集めているマカヤ・マクレイヴン(Makaya McCraven)。ジャズ・ドラマーであり、コンポーザーであり、プロデューサーでもある彼の音楽は「ジャズとヒップホップ」もしくは「生演奏とポスト・プロダクション」の共存の最先端にあるもので、そこには様々な文脈を見出すことができる。 まずは拠点・シカゴとの繋がりでいうと、彼はアート・アンサンブル・オブ・シカゴから続く同地のジャズ史や、日本でシカゴ音響派と呼ばれてきたポストロックの系譜を継ぎ、所属レーベルのInternational Anthemがここ10年で築き上げたコミュニティを象徴するような存在といえるだろう。 かたや「ジャズとヒップホップ」の関係に目を向けると、マカヤは以前から影響源として、マッドリブとJ・ディラの名前を挙げてきた。彼は(多くのジャズ奏者と同様に)J・ディラのビート