地域活性化のモデルとして、国内外からの視察が多い福井県鯖江市。実は市民が真っ二つに分断されて、非難中傷合戦が起きた時期がある。市はいかにして変わったのか、同市在住のオフィシャルコラムニスト、竹部美樹さんによるレポート。 2020年10月16日、福井県鯖江市役所の玄関で起きた光景は、知らない人が見たら「異様」に思えたかもしれません。市の職員と市民合わせて約500人が集まり、市長の退庁を見送りました。 「私たちにとって最高の市長様でした」とメッセージを書いた手作りののぼり旗を持った年配の男性たち。「鯖江の宝」「ありがとうございました」「感謝」と一文字ずつ書かれた装飾したうちわを持つ老若男女。これまでを振り返る替え歌をみんなで歌い、市民と職員で作る花道を歩く市長に向けて、「市長―!」「ありがとうございました!」と止むことなく声を上げ、市長が乗り込んだ車が見えなくなるまで手を振り続ける。4期16年