大学教育は、このままでいいのか 昨年、京都大学を退職した溝上慎一元教授が、『大学生白書2018 いまの大学教育では学生は変えられない』(東信堂、2018年)というショッキングなタイトルの著書を刊行し、2018年9月25日に日本記者クラブで記者会見を行った。周知のように、2008年、大学設置基準改正でFDが義務化された。結果的にみれば、過去10年余り、FDは大学改革に貢献しなかったことになる。なぜなら、この改正には構造的欠陥があった。それは、FD義務化が担当教員に対してではなく、大学に対して行われたため、大学間で格差が生じ、FDの重要性が末端の教員まで周知できなかったからである。アメリカにおけるFDの歴史を顧みれば、日本が2008年にFD義務化に踏み切ったとき、アメリカはFDに代わる次世代型CTL(Center for Teaching and Learning,以下、CTLと略す)に舵取り