本稿では、大学職員の主体性を尊重した職務遂行能力形成のあり方について考察する。近年、大学運営における大学職員の役割の大きさとともに、職務遂行能力の形成機会の確保の重要性が、大学関係者の間で認識されている。能力形成活動は、国公私立を問わず、各大学で多様な内容・形態を取りつつ実施されている。そのあり方には、以下のような問題点と特徴を指摘できる。1) 国立大学の法人化の前後で、能力形成活動は文部科学省主導から各大学主導へと変化した。活動の実態は大学の教職員数や予算規模等により多様である。2) 大学職員の勤務実態から判断すると、職務遂行に必要な能力の具体的内容を特定することは困難である。担当部課の職務の遂行に必要な能力を把握する立場にある各部課の管理職にとっても事情は同じである。3) 各大学による研修として一般的な集合研修は、テーマや内容が一般的なものになりがちで、個々の職員のニーズに必ずしも対応
本稿においては、まず、先行研究によって、アメリカの研究大学においては、すでに大学運営集団が確立されていることを確認した。大学運営集団の特徴は、権限に恵まれ、専門性が高く、役職者としての経歴が長いこと、そして、大学間の流動性が高いことである。また、アメリカでは、大学運営集団と教育研究集団の権限が明確に区別され(分離管理)、教員の大学運営への参画は、評議会によって確保されている(共同統治)。その上で、全米で上位100 位以内にランクされる東部6 大学において、13 名の役職者に対してインタビュー調査を行い、統計調査では表わされていない点を明らかにした。それは、大学運営集団は権限やトップ・ダウンを可能にする制度に恵まれながらも、それらに依存せず、教員間の合意形成を図っていることである。これは、教育研究と経営という二元的な権威が衝突する大学においては、制度面での整備は必要であるが、実際の運営におい
本稿の目的は、国立大学を例に、我が国の大学におけるティーチング・アシスタント(以下、TA)制度の問題点を、事務的側面から明らかにし、今後のTA 制度改革への一つの示唆を与えることである。TA に関する先行研究から明らかにした問題点は、TA の事務的取り扱いが多くの国立大学において限定的かつ画一的ともいえる運用になっていること。TA 制度自体が、一方的に各大学に与えられた制度であり、それに対する大学の姿勢が受身になっていることなどである。TA 制度の歴史的変遷をみると、TA の従事に対する意義が、「労働」 から「TA への教育効果」へ変化している。また、現在の制度にとらわれない新たな制度の設計が可能であることもわかった。新しいTA 制度を設計するには、各大学がTA の意義を再確認し、TA に対する教育効果を明確にすることが求められる。そしてTA への報酬の在り方を見直し、時間給制度にとらわれ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く