2022年の欧州鉄道界はさまざまな出来事があったが、中でも人々の度肝を抜いたイベントは「世界最長旅客列車の新記録挑戦」だっただろう。 ギネス世界記録の認定をも目指したこのイベントは10月29日、スイス東部の山岳鉄道・レーティッシュ鉄道(RhB)が実施した。同社が保有するシュタドラー(スイス)製の電車「カプリコーン」4両編成25組を連結し、100両編成で山を下るという試みで、先頭から最後尾までの長さは1910m、つまり約2kmに及ぶ奇想天外な挑戦だった。それまでの最長旅客列車記録だったベルギーの70両編成、全長1773mを上回り、世界最長の旅客列車記録となった。 「氷河急行」で有名な鉄道 RhBは、スイス東部のグラウビュンデン州を中心に約400kmのネットワークを持つスイス最大級の私鉄だ。沿線には世界的な山岳リゾート地のサンモリッツや、「世界経済フォーラム」(通称ダボス会議)で知られるダボス