講談社創業100周年記念企画として2006年秋から刊行された「興亡の世界史」全21巻の学術文庫版がこのほど完結し、好調な売れ行きを示している。 各巻でとりあげる地域や時代区分が従来の世界史全集とは大きく異なっており、しかも、それぞれの執筆者の視点を前面に出したスタイルは、刊行当初から注目を集めた。 原本(ハードカバー版)の刊行開始から十数年、この間にも世界は大きく変動している。そんな中、人類が歩んだ歴史を概観しようという試みは、どのような意義をもつのか。 また、全巻の統一性よりも、各巻ごとの特色を出した意図はどこにあったのか。編集委員で執筆者のひとりでもある青柳正規氏にお話をうかがった。 異色の歴史全集ができた理由とは ──さまざまな歴史シリーズや美術全集に携わってこられたご経験からすると、このシリーズはかなり異色の世界史全集といっていいのではないでしょうか。 これまで歴史全集といえば、巻