普通、開閉式の天井は雨の時に閉じる。ところが、2015年に誕生、グッドデザイン賞に加え、アメリカ、中国などの建築賞も受賞した熊本県の「認定こども園 第一幼稚園」では逆だ。雨の日には天井が開くのである。当然、その下、建物中央には水たまりができる。大人は眉をしかめるかもしれないが、子どもたちは大喜び。自分が子どもだった頃を思い出してみれば良い。長靴でじゃぶじゃぶするのは楽しかったはずだ。 そんな子どもたちが夢中になる空間を作り続けているのが日比野設計+幼児の城の日比野拓氏だ。1972年創業の日比野設計はたまたま初期に公立幼稚園の設計に携わったことから、やがて子ども向け施設専業に。横のつながりの強い業界であることに加え、同種の建物を作り続けることで蓄積された独自のノウハウが高く評価されており、これまでに手掛けた幼稚園、保育園などは日本全国に430ヶ所以上。海外でも案件が進んでいる。 だが、日比野