◇増設にコストの壁/政府ビジョン、財源触れず 「鬼ごっこだよ」「ワー、逃げろ」。マンションの谷間にある保育所の園庭に子どもの歓声が響く。 東京都江東区。近年、大規模マンション開発が相次ぎ、人口が急増している。子どもの数も増え、待機児童の解消が大きな課題だ。 「保育所を増やしても増やしても、待機児童が減らない」。同区の堀田誠保育計画課長は頭を抱える。 09年度、区は新たに四つの認可保育所を開設し、08年度より定員を400人増やした。08年4月1日時点の待機児童は219人。400人分増やせば「09年度当初の待機児童は、ゼロとはならないまでも、100人程度まで減るだろう」と見込んでいた。 だが、ふたを開けてみれば、09年度当初の待機児童数は312人。減るどころか逆に増えてしまった。堀田課長は「秋口に景気が急激に悪化したのが誤算だった。働きたいという保護者が予想を超えて増え、保育需要の伸びを見誤っ