小説投稿サイト「小説家になろう」での連載当時から繰り返し読み耽り、刊行された書籍をはじめとする資料集を集め、二次創作に手を出すぐらいにのめり込んできた「本好きの下剋上」がアニメ化された。 元はそこまで知名度の高い作品というわけではなく、「知る人ぞ知る名作」といった立ち位置だったのが、アニメ化によって間口が広がり、多くの新規ファンが増えた。そして、その分だけ疑問も広がる。 元々、本作は徹底的に「主人公の視点」から世界を描いているため、客観的な情報が読者に伝わりにくい構造になっている。その上、主人公がいささかエキセントリックで読者の思考が主人公のそれと同期しにくいこともあって、「なぜそうなるのかわからない」ことが生じる場合がある。 また、かなり綿密に「中世ヨーロッパ」を調べた上で書かれているのだが、それが却って「読者ののイメージ」と乖離する面がある(我々は実際の中世について、驚くほど無知だ)。