リバプール、クロップ監督の戦術「ゲーゲンプレス」の構造とは? その破壊力を生む理論を解説【ゲーゲンプレスの原点 後編】 今シーズンのプレミアリーグで首位を独走するリバプール。南野拓実の加入も決まり注目が集まるこのチームを率いるクロップの戦術「ゲーゲンプレス」の原点を探る。世界的サッカー史家がサッカーの進化を読み解く『戦術の教科書』(ジョナサン・ウィルソン、田邊雅之著/2017年刊)から、一部を抜粋して前後編で公開する。今回は後編。(文:ジョナサン・ウィルソン、田邊雅之) 近年のフットボール界では、ボールポゼッションをひたすら高めていくのではなく、効果的にカウンターを狙うべきだという見方が支配的になってきている。 ところが実際には、カウンターから決まったゴールの割合は、過去10年間で半減しているからだ。つまりデータだけを見るならば、今日のフットボール界に訪れているのは、カウンター全盛時代であ