粟津潔(1929-2009)というクリエイターの肩書を1つ挙げるなら、グラフィックデザイナーになるでしょう。しかし、その表現の領域は、絵画やポスターから、マンガ、映画美術、さらにパフォーマンスや空間設計まで、一人の人間がここまで? と驚くほど多岐にわたります。関連するキーワードをランダムに挙げてみても、『サンパウロビエンナーレ』『大阪万博(日本万国博覧会)』「天井桟敷」、メタボリズム、出雲大社、高速道路の標識フォント(!)まで、重要にして多様な並び。 そんな粟津の活動のうち、これまで未調査だったパフォーマンスの世界にあらためて注目し、その全体像に新たなかたちを与える意欲的な展覧会『粟津潔、マクリヒロゲル1 美術が野を走る:粟津潔とパフォーマンス』が金沢21世紀美術館で開催中です。そこでは鷲尾友公、環ROY、スガダイローら気鋭の表現者たちも、粟津のジャンルを超えた開拓精神に共鳴した「パフォー