昭和初期、「女であること」とその孤独に向き合い、乗り越えようとした詩人がいた。10代で翻訳と詩作を始め、モダニズム詩壇で活躍するも、24歳で病死した左川(さがわ)ちか(1911~36年)だ。 今春、書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)から刊行された初の全集にはちかが残したすべての詩、散文、書簡、翻訳が収められている。叙情性を排し、硬質ながらも熱を帯びた詩語たちは、長く「幻の天才」として伝説化されてきた詩人の声の輪郭をくっきりと描き、今ここに響かせる。 8月上旬、シンポジウム「左川ちか2022~新たに開かれる詩/モダニズム/世界」が立命館大(京都市)で開かれた。 「読者にとって身近なテキストを届けたい。それが研究の進展と普及につながるのではないかという思いで全集を編みました」。同大人文科学研究所研究員で本書の編者、島田龍さんは語った。シンポジウムには日本近代詩を研究するエリス俊子さんや英文学者の
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