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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (92)

  • 惚れる言葉に必ず出会える『エモい古語辞典』

    引用元:朝日広告賞(2021年度)より せつない、うつくしい、はかない、なつかしい……感情が一気に押し寄せ、言葉にするのが間に合わない。そんなときにエモいというのだろう。昔の人が「あはれ」というのと同じかもしれぬ。 古語辞典で「あはれ」をひくと、かわいい、いとしい、なつかしい、尊い……など、「感動を覚えて自然に発する叫びから生まれた語」とある。推しが尊すぎてしんどくて言葉を失うほど心が揺さぶられるのを略して「語彙力……ッ」と叫ぶときもあるが、根っこは同じだろう。 そういう、エモい、あはれな言葉に出会える辞典がこれだ。 もともと、小説やマンガ、歌詞など創作のために古語を厳選したのだが、パラパラと見ているだけで、胸をうずかせ、心を揺らす言葉が見つかる。まるで宝石箱のような辞典なり。 たとえば、「可惜夜(あたらよ)」という言葉を知った。 「可惜」は、惜しいとかもったいないという意味はなんとなく知

    惚れる言葉に必ず出会える『エモい古語辞典』
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    hyougen 2022/11/08
  • この本がスゴい!2021

    「後で読む」は、あとで読まない。 「後で読む」は、あとで読まない。 「試験が終わったら」「今度の連休に」「年末年始は」と言い訳して、結局読まなかった。「定年になったら読書三昧」も嘘になるだろう。そもそも、コロナ禍で増えた一人の時間、読書に充てたか?(反語) だから「いま」読む。 たとえ一頁でも一行でも、目の前の一冊に向き合う。いま元気でも、一週間後には、読めなくなるかもしれないから。 今年は、死を意識した一年でもあった。「やりたいこと」を先延ばしにしてるうちに、感染して望みが断たれる可能性が爆上がりした。 時の経つのは早い。人生が長いほど、一年は短くなる。体感時間は加速する一方、人生の可処分時間は、短くなる。 だから「いま」読む。 積読を自嘲したりマウント取るのもヤメだ。いま読まない理由を並べ立てて開き直る不毛も捨てよう。そして、ずっと取っておいた、とっておきのを、いま読む。 そんなつも

    この本がスゴい!2021
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    hyougen 2021/12/01
  • 中学のとき国語でやった『最後の授業』は、中年になって世界史を学んだら解釈が変わった

    中学のとき、国語の授業で、アルフォンス・ドーデ『最後の授業』をやった。 フランス領アルザス地方に住む少年の目を通して、ドイツに占領される悲哀を描いた短編だ。明日からフランス語は禁止され、ドイツ語で教わることになる。だから今日は、フランス語の最後の授業なのだ、という話だ。 先生はフランス語の素晴らしさを伝えながら、国語を守ることの大切さを説く。ずっと勉強をさぼっていた少年は恥じ入るが、やがて授業の終わりを告げる鐘が鳴る。先生は蒼白になりながらも、黒板に大きく、「フランスばんざい」と書く…… 少年と同じくらいの年頃だったわたしは、いたく感動したことを覚えている。特に、先生の語る「ある民族が奴隷となっても、国語を守っている限り、牢獄のカギを握っているようなものだ」という一節は、長く記憶に残っている。 ところが、『詳説世界史研究』を読んだら、印象が変わった。 物語の舞台となったアルザス地方は、もと

    中学のとき国語でやった『最後の授業』は、中年になって世界史を学んだら解釈が変わった
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    hyougen 2021/07/11
  • 「30秒で描いた絵に100万ドルは高すぎる」と非難されたピカソは何と答えたか?

    「ピカソの30秒」という小話がある。 ピカソが市場を歩いていると、ある婦人が呼び止めた。彼女はピカソの大ファンで、絵を描いて欲しいという。 快諾したピカソは、さらさらと絵を描き上げた。婦人は喜び、いくらなら絵を譲ってもらえるか尋ねた。ピカソはこう言った。 「このスケッチは100万ドルです」 婦人は驚き、高すぎると言った。たった30秒で描いた絵が、どうして100万ドルもするのか尋ねた。するとピカソはこう答えた。 「いいえ、30秒ではありません。私は、これまでに30年もの研鑽を積んできました。だから、この絵を描くのにかかった時間は、30年と30秒なのです」 「30年」が「40年」だったり、「100万ドル」が「5,000フラン」だったり、様々なバージョンがあるが、出所が見当たらない。都市伝説みたいなものだと思っていたが、出典を見つけた。 ただしピカソではない。 ピカソの30秒の元ネタ 該当の絵は

    「30秒で描いた絵に100万ドルは高すぎる」と非難されたピカソは何と答えたか?
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    hyougen 2021/04/25
  • この本がスゴい!2020

    今年の一年早くない? トシ取るほど時の流れを早く感じるのは知ってるけど、今年は特に、あっというま感がすごい。恒例のこの記事、もう書くの!? と思ってる。 毎年、「人生は短く、読むは多い」と能書き垂れるが、今年は、「人生は加速的に短く、読むは指数的に多い」と変えておこう。 そして、昨年と比べると、世界はずいぶん変わってしまった。 基的に外に出ない、人と会わないが普通になり、マスク装備が日常になった。オフ会や読書会でお薦めしあった日々は過去になり、代わりにZoomやチャットでの交流が増えた。 ポジティブに考えると、そのおかげで、読み幅がさらに広がった。わたし一人のアンテナでは、絶対に探せない、でも素晴らしい小説やノンフィクションに出会うことができた。お薦めしていただいた方、つぶやいた方には、感謝しかない。 さらに、今年はを出した。 ブログのタイトルと同じく、[わたしが知らないスゴは、

    この本がスゴい!2020
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    hyougen 2020/12/01
  • 『独学大全』はこう使う

    独学の達人である読書猿が書いた、独学の百科事典。「読書猿って誰?」という人がいたら、[読書猿Classic]を見に行くべし。 787ページ、1kgは、ほぼ鈍器で、そこらの教養芸人を蹴散らすのにピッタリ。 だが、隅々まで読むのは時間がかかる。独学する人は何らかの「学びたいこと」を抱えており、それにまつわる様々な問題を解決したいが故に書を手にするのだから、全読している時間が惜しいかもしれぬ。 そんな人のために書の使い方を紹介するとともに、『独学大全』が、私をどのように変えたか、さらに、どのように使っていくかを書く。 『独学大全』で最初に読むところ 『独学大全』でどう変わるか 『独学大全』をこう使う 1. 『独学大全』で最初に読むところ もちろん始めから読むのが一番だが、てっとり早く掴みたい、という方のために、p.33~39に「書の構成と取説」がある。この6ページを読むだけで使い方が分かる

    『独学大全』はこう使う
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    hyougen 2020/09/30
  • 大好きなマンガが完結したので全力でお勧めする『大蜘蛛ちゃんフラッシュバック』(ネタバレ無し)

    このマンガは、同級生のお尻を見てたら、ひっぱたかれるところから始まる。 ……このシーンは、主人公の実(みのる)の目線ではない。お尻を見てたのは亡き父で、その記憶が、折に触れて、実の脳内に蘇るのだ。 お尻の持ち主は、若かりし頃のお母さん(旧姓:大蜘蛛ちゃん)。つまり、母に一途な父の目線でもって、「女子高生のお母さん」の記憶が、息子にフラッシュバックされる。 そして厄介なのは、実は、お母さんに恋をしてしまっていること。女子高生のお母さん(細身で強気)と、今のお母さん(むっちり無防備)に煩悶する、マザコンラブコメ。 「お母さんに恋してる」なんて、ちょっとヤバくね? その自覚はある。だから実は自問する。 だけど、お母さんとの日常に、父の過去の記憶が入ってくると、女子高生のお母さんの可愛いさに撃たれる。そして、(ここ重要)父がどれほど母を好きだったか、ということを、父の目線で思い知る。だから実は煩悶

    大好きなマンガが完結したので全力でお勧めする『大蜘蛛ちゃんフラッシュバック』(ネタバレ無し)
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    hyougen 2020/08/22
  • 『わたしが知らないスゴ本は、 きっとあなたが読んでいる』という本を書いた

    心を揺さぶり、頭にガツンとらわせ、世界の解像度を上げるは、確かにある。 読前と読後で自分を一変させる、すごい(スゴ)だ。から得られた知は、行動を変え、習慣を変え、人生を変える。これホント、なぜならわたしの身に起きたことだから。そんな「人生を変える運命の一冊」は、実は何冊もある。 このブログは、そうしたを中心に紹介してきた。これに加え、どのように探し、どう読み、何を得て、どんな行動につなげたかをにした。タイトルはブログと同じ、『わたしが知らないスゴは、 きっとあなたが読んでいる』だ。 ここには、あなたにとっての「運命の一冊」を見つける方法を書いた。あなただけのスゴと出会うパーフェクトガイドだ。3行でまとめると、こんな感じ。 を探すのではなく、人を探す方法 お財布に優しく(ここ重要)、スゴに出会い、見合い、結婚する方法 (良書なのは分かってるのに、なかなか読めない)運命の

    『わたしが知らないスゴ本は、 きっとあなたが読んでいる』という本を書いた
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    hyougen 2020/02/23
  • この本がスゴい!2019

    人生は短く、読むは多い。 毎年この時期、自分のリストを振り返るのだが、読みたいが尽きることはない。読むほどに、知るほどに、知識と理解と表現の不足を痛感する。 それでも読むし、ここに書く。読むことで豊かになり、書くことで確かになるというのは当で、読んでいるときに何を知りどう考えていたかは、書くことでハッキリする。 つまり、自分で分かるために書いているのだ。フランシス・ベーコンは、話すことで機敏になるとも言ったが、わたしの場合、話すことで世界が変わった。[スゴオフ]や読書会、[冬木さんとのSF対談]や、読書猿さんとの知をめぐる対談[1][2][3]で、世界の見え方が変わった。 読書会や対談は今後もしていくが、そこで紹介されたや、2019年に出会ったの中から、わたしにとってのベストを選んだ。これが、あなたにとってのスゴとなれば嬉しい。そして、このリストを目にしたあなたが、「それがス

    この本がスゴい!2019
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    hyougen 2019/12/01
  • ノンフィクション100

    すごいノンフィクションは、一冊で常識を一変させる。目から鱗を叩き落とし、世界の解像度を上げる。積み重ねた事実の上に立たせ、偏見という壁の向こうを見せてくれる―――ノンフィクションには、そんな力がある。 ここでは、常識をアップデートし、偏見をとっぱらい、世界をクッキリと見せてくれる、「これはスゴい!」というノンフィクションを100選んだ。 選んだベースは以下からだが、選んだのがわたしだから偏りと不足がある。だから、「それがスゴいなら、これなんてどう?」とお薦めいただけると嬉しい。消費物ではなく、何度も読み継ぎ、語り継げるようなノンフィクションに出会いたいんだ。 『ノンフィクション新世紀 世界を変える、現実を書く。』石井光太責任編集 『東大教師が新入生にすすめる』文春新書 『kotoba』 27号 (2017年春) 「このノンフィクションが凄い!」 『kotoba』 37号 (2019年秋)

    ノンフィクション100
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    hyougen 2019/11/01
  • 知的冒険の書『ウンベルト・エーコの世界文明講義』

    知の巨人ウンベルト・エーコの、十余年にわたる講義録。 美と醜、虚構と陰謀、絶対と相対など、抽象的なテーマを俎上にのせ、フルカラーの図版を通して、具体的に迫ってゆく。ニュースやメディアで馴染んだネタから、ネットを駆使して追いかける必要のある美術作品まで、知的に振り回されるのが楽しい。 たっぷり知的興奮を味わったあと、見知ったはずの世界にある、見知らぬ裂け目に気づいたり、まるで異なる時代なのに、そこを貫く原理原則があったことを発見する。世界はもっとつながり合っているし、時代はもっと重なり合っている。人の営みは、かくも美しく、かくも醜いことを、あらためて知って驚く。 美とは何か たとえば、「美」について。 「美とは何か?」と概念で問われると、答えに窮する。イデアのように「美しさ」そのものを指し示されたとしても、それが(他の言葉でいう)何であるかなんて、分かるはずもない。せいぜい、わたしが美しいと

    知的冒険の書『ウンベルト・エーコの世界文明講義』
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    hyougen 2019/02/04
  • この本がスゴい!2018: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    まとめ すごく長くなったので、まとめる。まず、今年のベスト。 このがスゴい!2018のラインナップ。 このがスゴい!2018の一覧は以下の通り。 ◆フィクション 『ランドスケープと夏の定理』高島雄哉(東京創元社) 『舞踏会へ向かう三人の農夫』リチャード・パワーズ(河出書房新社) 『寿司 虚空編』小林銅蟲(三才ブックス) 『直線』ディック・フランシス(ハヤカワ文庫) 『ブッチャーズ・クロッシング』ジョン・ウィリアムズ(作品社) 『槿』古井由吉(講談社文芸文庫) 『平家物語』古川日出男(河出書房新社) ◆ノンフィクション 『知の果てへの旅』マーカス デュ・ソートイ(新潮クレスト・ブックス) 『愛とか正義とか』平尾昌宏(萌書房) 『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』吉川浩満(河出書房新社) 『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』ふろむだ(ダイヤモンド社) 『文学

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    hyougen 2018/12/01
  • 『ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇』はスゴ本

    ウィトゲンシュタインののなかで、これが最も分かりやすい&面白い(当社比)。 数学という存在を、人の知性の産物である「発明」と捉える人がいる。いっぽうで、人が見出した世界の質である「発見」と見なす人がいる。この議論は、[『神は数学者か』はスゴ]にて語ったが、いずれの場合にせよ、数学の限界が(仮に)あるとしたならば、それは人の理性の限界であることは了解していただけるだろう。なぜなら、「発明」であれ「発見」であれ、主語が人である限り、その限界も人に属するからである。 ウィトゲンシュタインの講義は、数学の限界を見極める一方で、数学の底(もともとの了解事項)を明らかにしてくれる。 数学の底? そんなのユークリッド幾何学やヒルベルトの基礎付けを見るまでもなく、「定義」と「形式」でしょうに(あるいはそこから定義づけられる公理系といってもいい)。書を手にするまでは、そう考えていた。だが、「発明」で

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    hyougen 2018/02/18
  • 『土木と文明』はスゴ本

    土木から見た人類史。めちゃくちゃ面白い。 土木工学とその影響という切り口で世界史を概観する。テーマは、都市、道路、橋、堤防、上下水道、港湾、鉄道などに渡り、テーマごとに豊富な事例で紹介する。土木技術の発展なしには文明も発達せず、また文明の発展につれて土木技術も発達してきた。そうした土木工学と文明の関わりを歴史的に串刺しで見ることができる。 大きなものから小さなものまで、人が手がけてきた土木事業は、それこそ星の数ほどある。それをどうやって整理するか。書は、そのとき直面した問題(治水、防衛、流通、疫病対策等)と、利用できるリソース(人・技術・時間)、そして成し遂げられた結果(土木事業)という観点で整理しているのが素晴らしい。 面白いことに、問題と対策という視点で眺めると、時代や地域を超えた普遍性が現れてくる。異なる時代・地域の人々が、それぞれに知恵を絞り、そのときに手に入るリソースを駆使した

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    hyougen 2017/09/01
  • 『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』(西原理恵子)は、娘の幸せを願う全ての親に伝えたい

    これは重要な一冊。これを娘に伝えられるかどうかが、娘の幸せを左右することだから。年頃の娘を持つ全ての親に渡したい。 中身はいつものサイバラ節と、ちと違う。「母」という立場から反抗期の娘に宛てた手紙のような、それまでの半生を振り返って「いろいろあった」とつぶやくようなエッセイなり。さらりと書いてあるくせに、幸せの勘所というか、不幸を避ける考え方のようなものがきっちりとまとめられている。 過去作を読んできた方には、目新しいものはないかもしれぬ。だがこれは、西原理恵子が伝えてきた「金の話」「男との関係」「幸せへの近づき方」の、いわばエッセンスを凝縮したものになる。一番重要なところを引用する。 大事なのは、自分の幸せを人任せにしないこと。そのためには、ちゃんと自分で稼げるようになること。 そのために、最低限の学歴は確保する。できれば、資格もとって、スキルアップしておく。結婚するときは、夫に内緒の貯

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    hyougen 2017/06/15
  • 数学と数学論のあいだ『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』

    数学の良いところは、待っていてくれること。 もう授業も受験もないので、時間制限は残りのライフのみ。時代の風に翻弄される政治経済歴史と違い、「新しい=良い」教に染まった物理化学生物と異なり、好きなときにやり直せるのが嬉しい。前回のセーブポイントから始められ、学んだだけ進められるのも数学の良いところ。 そして、前回攻略できなかった、ゲーデルの不完全性定理に再挑戦する。8年ぶりの再再読だが、「数式と少女のときめき」は健在で、読み物としても入門書としても抜群に面白い。さらに「数学に苦労していたわたしの高校時代」と「『数学ガール』に没頭していた8年前」を重ね、二重の意味で懐かしい。 全10章に分かれ、最終章(ゲーデルの不完全性定理)に取り組むための伏線が張り巡らされている。嘘つき者のクイズに始まり、ペアノの公理やラッセルのパラドクス、そしてイプシロン・デルタと対角線論法で「数学数学する」準備をする

    数学と数学論のあいだ『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』
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    hyougen 2017/06/08
  • 読まずに死んだらもったいない48作品

    「こんなに面白いのに、読んでないのは損してる」というがある。「面白い」のところには、「タメになる」「心が洗われる」などが入る。徹夜保証の小説だったり、良く生きるための教養書だったり、完結するまで死ねない漫画だったりする。 5/8締め切りで、シミルボンの[「とワタシ」選手権]で募集している。わたしが選考するので、楽しみでならないのだが、待ちきれなくてスゴオフのテーマにした。スゴオフとは、お薦め作品をまったり熱く語り合う読書会なのだが、まさに「読まずに死ねるか!」級の、とっておきが集まった。 まずわたしから。読書猿『アイデア大全』を強力に推す。考えるヒント集みたいな顔つきだが、今晩の献立から一生を賭すに事業学業の進め方まで、なんにでも応用できる。これは、問題解決のための人類の叡智を結集したもの。即効を謳う安直なサプリメントのようなではない。すぐ効くはすぐ効かなくなる。そうではなく、

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    hyougen 2017/05/02
  • この本がスゴい!2016

    人生は短く、積読山は高い。 せめては「死ぬまでに読みたいリスト」を消化しようとするのだが、無駄なあがき。割り込み割り込みで順番がおかしくなる。読了した一冊に引きずられ、リストは何度も書き直される。 重要なのは、「あとで読む」は読まないこと。「あとで読む」つもりでリツイート・ブックマークしても読まないように、あとで読もうと思って読んだ試しはない。だから、チャンスは読もうと思ったそのときしかない。実際に手にとって、一頁でも目次でもいいから喰らいつく。勢いに任せて読みきることもあれば、質量と体力により泣く泣く中断するもある。かくして積読山は標高を増す。 ここでは、2016年に読んだうち、「これは!」というものを選んだ。ネットを通じて知り合った読書仲間がお薦めするが多く、それに応じてわたしのアンテナが変化するのが楽しい。わたし一人では、数学経済学歴史学、進化医学や認知科学の良を探し出せな

    この本がスゴい!2016
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    hyougen 2016/12/01
  • ファンタジーだった『聲の形』

    映画観てきた。これは素晴らしいファンタジーだ。 『聲の形』は、『シン・ゴジラ』『君の名は。』よりも、荒唐無稽だった。前者は「ゴジラ」、後者は「入れ替え」が虚構だが、『聲の形』の"ありえなさ"は、ほぼ全編にわたる。いじめの描写が辛すぎて、原作は1巻しか読んでいない。そのため、この感想は的外れかもしれない。だが、このモヤモヤを溜めると体に悪いので吐き出す。 『聲の形』は、聴覚障碍者の女の子と、彼女をいじめる主人公とのボーイ・ミーツ・ガールの話だ。彼はいじめたことを後悔し、暗転した人生を送るわけなのだが、数年の時を経て、再び彼女に会いに行く。彼の救われなさが、「×印を付けられた他者」や「水底からのような音声」に表象されており、要所で主観世界がドラスティックに変化するアニメ的な仕掛けは良くできている。特に、「その音を感じているのはどのキャラクターか」によって、わたしの「聴こえ」を使い分けているのが

    ファンタジーだった『聲の形』
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    hyougen 2016/09/20
  • この本がスゴい!2015

    「いつか読む」は一生読まない、いつ読むの? 人生は短いのに、読みたいが多すぎる。残り全部を注いでも、いまのリストは読みきれぬ。己の変化を確かめる、再読リストも増えている。今際に後悔しないため「読んでから死ね」が優先なのに、積まれるスピードさらに上。を通じて出会った人から教わったがまたスゴい。オフ会は危険な場、積読山がマシマシだ。それでも読むしかない、それも今しかない。 「このがスゴい!2015」は、この「今」を積み上げた一年間からピックアップしたもの。ネットや読書会を通じてお薦めされた作品もあれば、書店や図書館で「呼ばれた」もある。非常に愉しいのは、リアルで話し込んでいると、記憶の底からリレースイッチのようにタイトルが"発火"してゆくところ。完全に忘れてた、思いもよらない作品につながってゆく様は鳥肌もの。 世界は対話で拡張する。わたしが知らないスゴを"発火"させる、あなたが凄い

    この本がスゴい!2015
    hyougen
    hyougen 2015/12/01