財政再建のための増税対象として、消費税ばかりが注目されがちなのは、問題であるように思います。 OECDの報告論文(Arnold 2008 “Do Tax Structures Affect Aggregate Economic Growth?”)で示されたデータ分析によれば、「税収中立での増税による国内経済(一人当たりGDP)へのダメージ」は、大きい順に「法人税>個人所得税・社会保険料>消費税>資産税」でした。 つまり、経済へのダメージが最も小さいのは「消費税」ではなく「資産税」(特に固定資産税)だったのです(なお固定資産税は日本では地方税ですが、国税とする国もあります)。 なので増税対象としては、消費税だけでなく資産税も議論すべきです。 ただし資産税は「資産家にとって資産を海外に移すコストよりも増税による負担増のほうが小さくなる」範囲内で少しずつしか増税できないという限界はあります。