前回、ペソアとその恋人オフェリアとの文通に、ペソアの別人格アルヴァロ・デ・カンポスが割って入る、ということを書いたので、その実例を見ておきたいと思います。 いったん交際が途絶えて、ほぼ十年のブランクののち、再び手紙のやりとりをするようになった時期のものです。例によってポルトガル語は読めないので英訳からの重訳・意訳です。 「1929年9月25日 親愛なるオフェリア・ケイロス嬢。 わが親愛なる無二の友、フェルナンド・ペソアなる惨めにして哀れむべき人物から、貴女に以下のことを伝えるよう頼まれました。というのも、あの人物は目下精神状態最悪にして、干しえんどう豆(従順と修練の注目すべきお手本)に対してさえ、何一つ伝えることができないありさまなのであります。 すなわち、 ここに貴女が: (1)体重を減らすこと (2)少食で済ませること (3)眠らないこと (4)発熱すること (5)前述の人物のことを思