◇ 研究ノート ◇ 表現の自由とヘイトスピーチ 市 川 正 人* 目 次 は じ め に 1 日本国憲法における表現の自由の保障 2 ヘイトスピーチとその規制 3 ヘイトスピーチ規制と憲法 終 わ り に は じ め に 特定の民族や国籍を有する人々などに対する憎悪を表明し,憎悪を煽る表現であ るヘイトスピーチ(hate speech)が深刻な社会問題となっている。在特会(在日 特権を許さない市民の会)などによる在日韓国・朝鮮人を口汚くののしる街宣活動 が活発になされ,それが「ネット右翼」によって拡散されており,ヘイトスピーチ が日本社会において跋扈している感がある。 「ヘイトスピーチ」が2013年の新語・ 流行語大賞のトップテンに選ばれたほどである。 こうした事態は国際的にも関心を呼び,昨年 7 月に自由権規約委員会が, 8 月に は人種差別撤廃委員会が,それぞれヘイトスピーチに対する法
目 次 は じ め に 一 判 例 二 学 説 三 権 利 性 四 人 格 権 性 五 道路開設、道路位置指定の不要性 まとめに代えて は じ め に 本稿は、私道通行権の法的構成を検討しようとするものである。この権利を人格権の一つに挙げる見解とその他の見解で従来から争いがあった。その最中、最高裁平成九年判決は「人格権的権利」という表現で私道通行権を初めて肯定した。以下では、従来の議論を整理しつつ、その上で、この私道通行権が人格権に包摂されるべき権利であると考える理由を示してみたいと考える。数多くの判決の分析に基づきこの権利の具体的な内容についてはすでに多くの研究があるが(1)、本稿は特に法的構成に限って考えるものである。 ところで、私道通行権とはどのような権利であるのかを、最初に述べておく必要がある。建築基準法上の道路として、同法四一条一項五
立命館法学 一九九五年第一号(二三九号) 抽象的危険犯の現代的展開と その問題性 (一) ---近年のドイツの議論を参考にしながら--- 金 尚均 目 次 は じ め に 第一章 抽象的危険犯の機能論的正当化の試みとその問題性< 第一節 問題の概観 第二節 クラッチュの学説 第三節 ミューシックとヤーコプスの学説 第四節 偶然の支配について 第五節 小 括 第二章 抽象的危険犯における法益の問題 第一節 問題状況 第二節 抽象的危険犯における法益論 第一項 ベルツ説の検討 第二項 キントホイザー説の検討 (以上本号) 第三節 環境保護刑法における法益の問題 第一項 問題状況とその特徴 第二項 ミューシック説の検討 第三項 ホーマン説について 第四節 小 括 第三章 抽象的危険犯に対する批判的考察 第一節 ヘルツォークの抽象的危険犯批判 第二節 経済刑法と環境刑法に対するヘルツ
は じ め に 今日の日本では、日本の戦争責任に関する著作・論稿・記録・資料集などの出版は、毎年非常な数に達し、正確なリストを作成することが困難なほどになっている。ところがそれにもかかわらず、戦後日本の戦争責任論の歴史的推移や思想動向を跡づける研究は、なぜか僅かの数に止まっているといってよい(1)。 こうした中で、一九九六年に執筆された石田雄「戦争責任論五〇年の変遷と今日的課題」(石田雄『記憶と忘却の政治学』明石書店 二〇〇〇年所収)は、敗戦後から一九九〇年代までの戦争責任論の展開過程を、五期に分けて論じた唯一の包括的な業績である。その意味で、もしこの問題を論じようとすると、石田論文について言及せざるを得ない。筆者から見て石田論文の特徴を一言で言えば、国際的に連帯する市民運動の立場から、戦後日本の戦争責任論の動向を整理したものといえよう。しかしこの石田論文では逆に、石田氏の共鳴する
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