propertyという言葉を聞くと、僕が最初に思い浮かぶのは(もちろんプログラミングタームにおけるそれは別として)所有権あるいは財産権という訳語だったのだが、その思い込みを晴らしたのは、代理母関係でちょっと言及した*1以下の吉田邦彦「民法解釈と揺れ動く所有論」の記述だった: なお、…用語法について念のため一言しておきたい。propertyを「財産権」と訳する(原文ママ)ことは、既に定着している(憲法二九条参照)が、若干注意が必要だからである。すなわち、この議論の源となっている英米の私法体系は、わが民法体系とは違っていて物権・債権の区別を知らず、従って、contractでもpropertyとして観念されて保護を受ける(債権(契約)侵害法理)。しかしそれにもかかわらず、propertyとして主に語られるのは、所有権を中心とする物権法及び賃貸借法であり、わが民法上言われる「財産法」ないし「財産権