文化庁長官裁定制度による明治期地方紙のインターネット公開 福井県文書館(福井県立図書館兼)・長野栄俊(ながのえいしゅん) 福井県文書館・田川雄一(たがわゆういち) ●はじめに 2020年4月10日,福井県文書館では明治15年から明治24年(1882年から1891年)の地方紙約1,800日分について,約7,200件の画像データのインターネット公開を開始した。地方紙は当該地方の近代史研究にとって高い有用性を持つため,世界各国の図書館等で画像のインターネット公開が進んでいるが(CA1577,CA1750参照),日本ではこうした取組みはほとんど見られない。 本取組みは,著作権保護期間が満了した記事だけでなく,著作権者不明等の記事も文化庁長官裁定制度(CA1873参照)を用いて公開するものであり,これだけまとまった量の一括公開は全国的にみても初めてのものと言えよう。以下,公開までの手順を紹介したい。
2020年8月27日、日本学術会議は、提言「博物館法改正へ向けての更なる提言~2017年提言を踏まえて~」を公表しました。 この提言は2017年の提言「21世紀の博物館・美術館のあるべき姿―博物館法の改正へ向けて」を背景に作成されました。2017年の提言発出後の法改正や中央省庁の組織改編により、文化財保護法と博物館法の一元化に向けた議論の素地が生まれた一方、公立博物館の地方独立行政法人化の加速が見込まれることから、博物館法改正による多様化が進む博物館の現状との乖離を解消、及び、学芸員資格制度や公立博物館における人事・予算・運営の窮迫の改善の必要等を指摘しています。 新たに発出された提言では、「登録博物館制度から認証博物館制度への転換」、「学芸員資格制度の改革及び研究者としての学芸員の社会的認知の向上」、「博物館の運営改善と機能強化」の3点を来るべき博物館法改正とその後の展望として示し、文化
2016年4月25日付のBoston Globe紙が、マサチューセッツ州の州図書館委員会のデータを用いて、州内の地域ごとの図書館の住民1人あたりの貸出冊数を調べ、その分析結果を報じています。 同紙の調査によれば、ケープコッドや島嶼部、ボストン西部郊外の裕福な地域、マサチューセッツ州西部の小規模な地域の図書館の貸出冊数が多いとされています。 その要因として、開館時間や資料購入に影響を与える予算の多寡や、図書館の利用目的に影響を与える裕福度や教育水準(低いほど図書を借りない傾向があるが、就職活動等別の目的で図書館を利用している)が指摘されます。 またスペイン語を話す住民が多い地域の図書館の蔵書に、スペイン語資料が少ないことも課題としてあげられています。 このことから、ミシガン大学の教授(教育学)ニューマン(Susan Neuman)氏は、政策決定者は、貸出統計に基づいて図書館の予算を決めるべき
「全国遺跡報告総覧」の機能と期待される効果 1.はじめに 全国で毎年約8,000件の遺跡が発掘され,その成果は発掘調査報告書にまとめられる。報告書は年間約2,000冊発行され,これまで膨大な成果が蓄積されている。しかし,報告書の流通範囲は限られることから,いわゆる「灰色文献」化しており,実際に成果に触れる機会が限定される。そこで2015年6月,発掘調査報告書を全文電子化しインターネット上で検索・閲覧できるようにした「全国遺跡報告総覧」を奈良文化財研究所(以下奈文研)にて公開した。本稿では,そのシステム構成や機能,期待される効果を紹介する。 2.奈良文化財研究所へのシステム・データ統合の経緯 2008年度から2012年度にかけ,国立情報学研究所の最先端学術情報基盤(CSI)整備事業の委託を受けて,島根大学を中心とした全国の21の国立大学が連携して取り組んだ「全国遺跡資料リポジトリ・プロジ
2015年6月28日、英国の図書館関係のブログ“Public libraries news”に、「悪魔を憐れむ:図書館長ですら気楽に過ごせない訳」と題した記事が掲載されました。なお、「悪魔」とは人々から、自らの経歴ばかりを気にし、利己主義的な官僚のようにとらえられることがある図書館の館長たちのことを指しているようです。 一方で、実際には図書館の館長たちは、選挙の結果などから予算の縮減はまぬかれず、経費削減や収入と利用の増加の方途を探る必要があり、一方で図書館の自由の精神は維持しなければならないという板挟みの状況にあるとしています。 記事の後半では、英国及び国内の図書館の取組みや経費削減の事例、国外ではニューヨーク公共図書館の財源確保の事例などが紹介されています。 Sympathy for the devil: why even chief librarians don’t have it
Europeanaは、2015年5月13日、メタデータの品質に関する報告書を公開しました。これは、メタデータの品質に関するタスクフォースの、2013年12月から2015年5月までの活動の成果とのことです。 Europeanaには3,000を超える機関からメタデータが送信されるが、データの集積機関とEuropeanaの双方が定期的にメタデータをチェックしているにも関わらず、メタデータの品質の調整が切迫した問題であるとして、この報告書では、データ提供機関の動機、技術的要件、メタデータの内容などがメタデータの品質に及ぼす影響について考察し、メタデータの品質改善のための提言をしているとのことです。 報告書では、高品質のメタデータを、 ・信頼できるプロセスを経て作成(Resulting from a series of trusted processes) ・発見可能性(Findable) ・可読性
2015年3月25日、北海道図書館振興協議会が報告書「ゼロからはじめるデジタル化-小規模図書館でもできる-」を公開しました。これは、同協議会の調査研究チームが2013-2014年度に行った研究の成果をまとめたもので、北海道内の公共図書館における資料デジタル化の現状や、函館市中央図書館、札幌市中央図書館の事例なども紹介されています。 ゼロからはじめるデジタル化-小規模図書館でもできる-(PDF:51ページ) http://www.library.pref.hokkaido.jp/web/relation/hts/qulnh00000000ew3-att/vmlvna0000000lza.pdf 報告書『ゼロからはじめるデジタル化-小規模図書館でもできる-』(北海道立図書館 2015/3/25付新着情報) http://www.library.pref.hokkaido.jp/web/news
2015年2月24日、国立情報学研究所(NII)がクックパッド株式会社との協力の下、「クックパッドデータセット」の提供を開始したと発表しました。 提供されるデータは2014年9月30日までにクックパッドで公開された、レシピ約172万品に関するデータと、献立約3万6千件に関するデータです。利用には申請が必要で、提供対象は大学および公的研究機関の研究者のみ、利用目的は研究に限るとのことです。 「クックパッドデータセット」を研究用に提供開始しました(NII、2015/2/24) http://www.nii.ac.jp/news/2014/0224 クックパッドのデータを研究者に公開します(クックパッド開発者ブログ、2015/2/24) http://techlife.cookpad.com/entry/2015/02/24/161915 クックパッドデータセット http://www.nii.
デンマークで1,841,254件の写真、日記、手紙、音源、動画記録などの資料を閲覧できるデジタルアーカイブが公開されました。公開を報じる各紙の記事によると、デンマーク国内の550以上のアーカイブが、1980年代後半から資料のデジタル化を行い、それらの多くが無料で利用できるとのことです。また、毎月25,000件の新しい写真がデータベースに追加される予定とされています。 arkivdk http://www.arkiv.dk/ Denmark’s largest digital archive opens today(Copenhagen Post, 2015/2/20付け記事) http://cphpost.dk/news/new-article.12735.html Danes access nearly two million historic images (BBC, 2015/2/2
図書館単独施設ではなく、ホールやギャラリーなどとの複合施設として大規模な施設整備を計画していた事例や、自治体の財政規模に比較して多額な整備費と考えられるケースなど、「巨額な整備費」と批判された結果、計画の撤回や事業の中止となった事例も見られる。整備が実現した事例においても、施設規模の見直しなどにより整備費の縮減が図られている事例もある。 次に、「建設地」が主な争点となった事例を確認する。表1に挙げた事例のうち、(3)、(10)、(12)、(13)、(19)などが該当する。図書館整備の必要性そのものは認めるものの、建設地が適切でないという批判と考えられる。前述の整備費に関する批判と関連した「用地取得費が高い」という批判や、利便性の高い場所を求める意見、逆に、交通量の多い地域を避けて安全な場所にという意見などが見られる。また、建設予定地が首長の利権に関わる土地であるという批判が出た事例もある。
2014年10月21日、インドの博物館・美術館の国家的なポータル“Museums of India”が公開されました。インドの主要な博物館・美術館10館のポータルで、デジタルリポジトリも兼ねているとのことです。インド先端電算技術開発センター(Centre for Development of Advanced Computing:C-DAC)がインド文化省が承認を得て開発し、提供するポータルで、構築には、Human-Centred Design & Computing Groupが開発したバーチャル博物館ソフトウェア“JATAN”が使用されているとのことです。 それぞれの館から、また、絵画や彫刻等の種類、紙やテラコッタ等の材質、芸術家、水彩や彫刻等の技術、中央アジアのアンティーク等のコレクションからコンテンツを検索することができます。 対象となっているのは、“National Museum
2015年1月14日から3月15日まで、東京国立博物館にて、特別展「3.11大津波と文化財の再生」の開催が予定されています。 東京国立博物館は、陸前高田市立博物館(岩手県)、岩手県立博物館やその他の機関と協力し、被災文化財の再生に取り組んできたとのことです。この展覧会では、これまでの約4年にわたる成果と現状を紹介し、被災文化財再生への取り組みを伝えるとのことです。 特別展「3.11大津波と文化財の再生」(東京国立博物館) http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1692 参考: 東京国立博物館、被災した陸前高田市立博物館の所蔵美術作品の本格修復へ Posted 2013年3月13日 http://current.ndl.go.jp/node/23075 【イベント】「被災文化財救援活動について考える会 語ろう!文化財レスキュー―
貴重書デジタル化プロジェクトの計画立案時に考慮すべき事項 図書館の所蔵資料のデジタル化は,原資料をより良い状態で保存することに資するとともに,これまで資料へのアクセスが容易ではなかった人からの利用をも可能にする。とりわけ貴重書や手稿などの文化財については,研究利用の観点からのデジタル化への期待が高いものと考えられる。この貴重書等のデジタル化に関し,国際図書館連盟(IFLA)が,2014年9月22日,ガイドライン“Guidelines for Planning the Digitization of Rare Book and Manuscript Collections”を公開した。技術面に焦点を充てた既存のガイドラインを踏まえつつ,計画立案のプロセスに焦点をあて,注意を払うべき重要事項を示したものである。 ガイドラインは,(1)プロジェクトの設計,(2)原資料の選定,(3)デジタルコレク
2014年4月に、図書館、文書館、博物館のための資料保存管理ハンドブック“The preservation management handbook: a 21st-century guide for libraries, archives and museums”が刊行されました。2014年9月14日付のオランダ王立図書館のバーバラ氏のブログに書評記事が掲載されています。 文化遺産の専門家、特にリソースが限られており、専門的な支援がいつも得られるわけではない小中規模の機関の専門家にとっての重要な参考となり、保存について学ぶ学生の教科書にもなりうる幅広いトピックを取り扱った資料とのことです。 多様なコレクションや資料の現実に即して、また、アナログとデジタルの両方のコレクションの課題を対象とした、主要なツールや保存管理プログラムの原則を紹介するものとのことです。 目次情報によると、保存の原則や
2014年8月12日、スミソニアン協会が、デジタル化した資料をクラウドソーシングでテキストデータ化するためのウェブサイトを公開し、協力を呼びかけています。 手書きの日記や文書の文字は機械で読み取ることが難しく、人手による解読が必要になるとのことです。デジタル化画像の文字をテキストデータ化し、検索できるようにすることで、さらなる研究や発見の機会をひらくことを目的としているとのことです。 同協会では、この1年間で、1,000近くのボランティアと試行を行い、13,000ページ以上のテキストデータ化を完了したとのことです。 Volunteers Needed for Massive Smithsonian Digitization Project – New Website Allows Anyone with Internet Connection to Help(Smithsonian, 20
図書館、アーカイブズ、博物館を対象に、コレクションのメタデータをLinked Dataとして公開するためのメタデータ管理についてのハンドブック“Linked Data for libraries, archives and museums: How to Clean, Link and Publish your Metadata ”が米国図書館協会(ALA)から刊行されました。 目次とイントロダクション、索引などがサンプルとして公開されています。 Linked Data for Libraries, Archives and Museums: How to Clean, Link and Publish your Metadata(ALA store) http://www.alastore.ala.org/detail.aspx?ID=10978 Linked Data for Libr
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く