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ブックマーク / mizunotori.hatenadiary.org (16)

  • 七夕ペンタゴンは恋にむかない:壱月龍一 - WATERBIRD

    幼馴染五人組の青春をファンタジー色強めで描いた恋愛物。ええ、五人組です。もちろん一人あぶれるんですよ。かわいそうですね。 主人公は、母性能をくすぐるのが得意そうな、泣き顔と笑顔が似合う可愛い系の少年。こいつがまあ下衆い。優柔不断で八方美人、都合が悪ければ嘘を吐き、嫌な問題は先延ばしにする。ヘタレ主人公かくあるべし。修羅場を生み出すパワーはかなりのものだぜ。素晴らしいぜ。 っていうか最後まであかりは返事をもらえなかったっぽいけど、結局どうなったの。あかりから始まった物語が、いつのまにか伊緒の物語に摩り替わっちゃって、あかりの物語は終わらないまま宙ぶらりんになってしまってる。 青春恋愛物として及第点以上ではあるんだけど、主人公の性格とかヒロインの性格とかで好き嫌いが分かれそうな感じ。

    七夕ペンタゴンは恋にむかない:壱月龍一 - WATERBIRD
  • 原点回帰ウォーカーズ2:森田季節 - WATERBIRD

    二巻目にして短編集。 「天之下芝蘭よ、愛を描け。」。超美形アイドルのフェロモンにやられて動けない芝蘭さんが妙にエロい。1巻を読んだときも思ったけど、「芥川賞も直木賞も受賞した天才小説家」というキャラを小説家が書くのって、かなり冒険というか危険だよなぁ。しかも芝蘭さんが実際に書いたその作品が作中作として登場してるわけで。どんだけ挑戦者なんだよ森田季節。あと、芝蘭さんってそれこそアイドルの洗脳を一発で解くような小説を書くくらいの天才だと思ってたんだけど、今回の話を読んだかぎりではわりと普通の「すごい作家」レベルの人のようで、そのギャップに萌える。 「渡会竜太朗は呪い殺す。」。物理さんが竜太朗を押し倒すくだりが妙にエロい。つか結局デレるのかよ。ひたすら回りくどく長ったらしい惚気話を聞かされた気分だよ。ひどいよ。しかも既に『ああっ女神さまっ』状態で同棲中かよ。なんて勝ち組なんだ。1巻の扱いから可哀

    原点回帰ウォーカーズ2:森田季節 - WATERBIRD
  • あまがみエメンタール:瑞智士記 - WATERBIRD

    母親を求めてココちゃんの身体を噛みまくるリコちゃんと、その行為に快感を覚えて噛み跡の写真集まで作っちゃったりするココちゃん。小中高一貫の女子校という特殊な環境で育まれる二人の共依存関係を描いた作品。なんと素晴らしい。百合である。基的には小学一年から高校二年までの二人の営みが綴った短編連作のような形。キャラの病みっぷりと比して軽妙な語り口で、さくさくと読み進められる。 ただ百合としては詰めが甘いと言われているのは、つまり閉鎖性が低いからなんだろうな。個人的に思ったのは莉子ちゃんのお母さんのことで、せっかく閉鎖的な舞台を用意しているのに、彼女らが抱える問題の根が学園の外にあり、しかもそれを解決するために学園の外に出ていってしまう、というあたりがもったいない。外に問題があれば内に篭る、というのがセオリーではないだろうか。 とはいえこれはあくまで「完璧とするには惜しいところがある」という程度の

    あまがみエメンタール:瑞智士記 - WATERBIRD
  • リビングデッド・ファスナー・ロック:瑞智士記 - WATERBIRD

    は地方都市を舞台にした伝奇物なんだけど、吸血鬼やらファスナーやら性転換やら近親相姦やら百合やらグロやらエロやら混ぜまくりの捏ねまくり。凝った設定が好きなわりにそれを消化するのはあんまり上手くないと思いきや最後まで読むと意外に綺麗にまとまっているような気もする、みたいなこのもどかしい読後感が瑞智士記の真骨頂だよね。 まあしかし冬梧さんはかっこよすぎる。妹を守るために己の肉体を封じ、しかし抑え切れずに暴走してしまった哀しき男。…なんというかここまでリアルに性犯罪者っぽいキャラってのはすごいな。合掌。 全体を覆うエロティックな雰囲気と、モチーフとして使われている民話の『姥皮』が、絶妙にマッチしている。やっぱあのあたりの話はエロすぎるよな。千匹皮とかな。でも原話では「動物の皮を被った美少女」であるのに対して、この作品では「美少女の皮を被った変態」であるのが違っていて、そのあたりはトランスジェン

    リビングデッド・ファスナー・ロック:瑞智士記 - WATERBIRD
  • ロウきゅーぶ!:蒼山サグ - WATERBIRD

    電撃の新人さん。銀賞。ロリ+スポ根で話題の籠球ラノベ。とはいえ、ロリ系の王道たる「やたらべたべたひっついてくる幼女」とか「先生好き好き光線放ってる幼女」っていうのが少ないので、実はあんまりロリロリじゃないのでは、という気もする。むしろ純愛じゃね? 天才的な能力を発揮するヒロインと、その才能に惚れこんだコーチ(怪我で引退した元プロ選手とかだったりする)、いつしか二人は惹かれあい…みたいなパターン。『円環少女』とか『紅』とかと比べると健全すぎる。さわやかですなぁ。 しかし、ひなたの使われ方がどうにも悲しすぎるんだが。他のキャラにはそれなりに見せ場があるのに。あんな役目しか与えられないなんて。作者は続編を書いてひなたをもっと活躍させてあげるべき。あとひなたは俺の妹。 スポ根としては確実に水準以上であり、個人的にも超満足だったんだけど、さてどうなんだろう、ことスポ根に限ってはラノベ業界は超厳しいか

    ロウきゅーぶ!:蒼山サグ - WATERBIRD
  • アクセル・ワールド1 -黒雪姫の帰還-:川原礫 - WATERBIRD

    電撃の新人さん。大賞。複合現実感なゲームでデブかっけー!という話。読者のコンプレックスがどうだの願望充足がどうだの言われそうな感じの。多人数同時参加型バトルロイヤル物、というと『ソウルソードスーパースター』が思い浮かぶ。雰囲気はかなり似てる。決定的な違いは、SSSSが「現実世界の大人たちの戦い」であるのに対して、アクセル・ワールドは「仮想世界の子どもたちの戦い」であるという点。まあ後者のほうが売れ線ですよね…。 いじめられっ子が超人的な力を手にする、というのはよくある話だけど、それで得意になって暴走してしっぺ返しをくらって…というテンプレをなぞらないのがこの作品の特徴だろうか。ハルユキは頭が良いのだと思う。悪く言う必要もないが悪く言うと小賢しい。加速能力を手に入れても欲望に振り回されない。黒雪姫が思わせぶりな態度をとっても決して期待しない。道を外れた友人に対しては優しく諭す。卑屈と紙一重で

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  • パララバ -Parallel lovers-:静月遠火 - WATERBIRD

    電撃の新人さん。金賞。要するに平行世界もの。“村瀬一哉が殺された世界”の遠野綾と“遠野綾が殺された世界”の村瀬一哉のあいだで携帯電話が繋がる、というSFな設定。二人が協力しあってお互いを殺した犯人を探しはじめる、というミステリな展開。タイトルは「パラレル・ラバーズ」だけど、単に二人がバカップルなだけで、ラブ成分は薄めだと思いますですよ。設定がわりとトリッキーな上に、序盤から伏線らしきものが大量に張り巡らされているんだけど、最後まで読んでみると意外に分かりやすかったと思う。定期的に状況を整理してくれているからだろうか。よくできている。 それにしてもラメルさんの目立たなさは異常。というか不遇。探偵然として登場しておいてほとんど推理をしない。肝心の事件解決シーンに居合わせない。恋愛にも絡まない。いや微かに一哉くんへの好意が感じられるような描写はされているんだけど、それならそれで余計にかわいそうな

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  • 耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳:石川博品 - WATERBIRD

    ファミ通の新人さんだけど、とても面白かった。 このタイトルとあとがきを読めば分かるように、犬とおっさんと世界名作劇場的寄宿舎制学校と中華VS辺境民族的アレコレとを悪魔合体させて2ちゃんねる的ギャグセンスを全編にちりばめたファンタジック学生運動コメディであります。主人公は常に暴走気味のエロ妄想を抱えている変態。やる気が致命的に欠如しているわりにそこそこ能力があるせいで、中途半端なかっこよさを見せてくれるナイスガイ。そしてヒロインであるネルリ様が必死こいて主人公とフラグを立てようとしているのに、主人公はナナイさんやカミレさんやイ=ウさんとイチャついているという、超ヒロイン蚊帳の外ストーリーが展開される。その場のノリだけで意味不明な行動が繰り出されまくるも、背景設定がしっかりしているおかげで、話がとっちらかったりしない。番ではアドリブしまくりだけど裏ではめちゃくちゃ練習してるお笑いコンビみたい

    耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳:石川博品 - WATERBIRD
  • ベン・トー3 国産うなぎ弁当300円:アサウラ - WATERBIRD

    心に傷を負った双子姉妹が変態との交流を通してリハビリする話。おバカな姉とクールな妹。良いコンビだ。 著莪との絡みがエロすぎるなぁ。なんの気恥ずかしさもなく一緒の布団に入って、肌を重ねて、脚を絡ませたりして。彼らにとってはそれが自然になっている。すごいナチュラルエロ。これまで目立ってなかった槍水先輩がついに反撃に転じたのも見所。主人公のお見舞いに来て優しい姿を見せてくれ、それで風邪をもらって今度はしおれた姿も見せてくれるという黄金コンボ。オルトロス相手に完全な敗北を喫したのも、これまで完璧さが先に立っていた槍水先輩がそのイメージを壊しにかかった感があり、いよいよ著莪vs槍水先輩の舞台が整いつつある。その他の参戦候補といえばあせびや二階堂あたりか。今回登場した沢桔梗も“変態さん”を憎からず思っていそうだし。修羅場が期待できそうだな。 それとやっぱ地味に弁当の描写がすごい。というか、惣菜のサラダ

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  • 電波女と青春男:入間人間 - WATERBIRD

    いつも上半身に布団を巻きつけて(被っているのではなく文字通り巻きつけて)いる引きこもり電波美少女とドキドキワクワクの同居生活、と見せかけて実は二十三歳年上のちょっと頭のネジが外れた叔母さんとキャッキャウフフの新婚生活な話、だったりするような気がしないでもないけど、まあやっぱり電波美少女のほうがヒロインだわな。そういや従姉妹とは結婚できるけど叔母とはできないんだなぁ。フラグ立ってもダメじゃん、叔母さん。 あっち側へ逝っちゃいそうなヒロインをこっち側へ引き戻す話。あるいは電波系より中二病患者のほうがいくぶんかマシだろ、みたいな話。『AURA』あたりと同じタイプのスタンドか? ちょっと違う気もする。 流子さんとか前川さんとかけっこう魅力的なのに、エリオ(と叔母さん)が強すぎてあんまり印象に残ってないなぁ。エリオみたいな生活能力ゼロのダメダメヒロインって、なんかこう、スタンダードになりきれないけど

    電波女と青春男:入間人間 - WATERBIRD
  • Gunning for Nosferatus 1 此よりは荒野:水無神知宏 - WATERBIRD

    吸血鬼退治の西部劇。上手くてかっちりしてて、いかにも実力派という感じ。頼りない主人公、頼れるヒロイン、トリックスター的に振舞うお姉さん、主人公を慕うロリっ娘、というカルテットで、世にも恐ろしい吸血鬼やアンデッドに立ち向かっていく。とはいえ主人公はヘタレだし、ヒロインはそっけないし、お姉さまは戦えないし、ロリっ娘はかわいいしで、誰が味方で誰が敵かも分からないような状況が続く。そんな中で主人公がいっぱしの男になるまでを、400ページ近い作品とはいえたった1冊の中で描き切っているのはすごい。おもしろい。 ステラさんといい、サンディといい、年上のかっこいいお姉さんが魅力的に描かれているなぁ。ステラさんが鞭でサンディが飴って感じ。ステラさんの圧倒的な実力、冷酷にも思えるほどの厳しさ。対するサンディの溢れんばかりの色気、姐御と呼びたくような面倒見の良さ。ああ、ジョゼたんかわいいよジョゼたん。 「1」と

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  • C3-シーキューブ-V:水瀬葉月 - WATERBIRD

    おお、けっこう白めの水瀬だ。拍明兄さんがわりあいまともだったというか、ビブオーリオ家族会の皆さんみたいに「会話が成り立たないくらい狂ってる」わけじゃないのが意外だった。物分りもいいし、普通に良いお兄ちゃんじゃないか。…と思ってしまうのは、この作品が読者の中のなにかを麻痺させるからか。 今回は文化祭を舞台に、春亮くんのハーレムと拍明兄さんとビブオーリオ家族会の残党が三つ巴で戦ったりする話。もちろん主役はいんちょーさんである。やたらツンデレツンデレしていたり、愛情が歪みまくってるキャラが多い昨今、ここまでストレートに「恋をしている」ヒロインはなかなか珍しい。そりゃ拍明兄さんもニヤニヤを抑え切れませんわな。ここまできたら後は告白するだけだなぁ。もうとことん恥ずかしいやつをひとつ頼みますよ。ああいんちょーさんかわいいよいんちょーさん。 アリスさんがマゾになって帰ってきたのはともかく、家族会に関して

    C3-シーキューブ-V:水瀬葉月 - WATERBIRD
  • 機械じかけの竜と偽りの王子:安彦薫 - WATERBIRD

    電撃冬の戦記ファンタジー祭り第二弾。合言葉は「人類皆ロリコン」。絶世の美少女に「兄様」とか呼ばれて主人公が参ってしまうのは仕方ないにしても、いい歳した大貴族たちが揃って「姫様」「姫様」って、どんだけロリコンなんだよこいつら。リュクサリアってのは変態の国なのかよ。と思ったら、主人公のライバルとおぼしき敵国の機士までもが、戦場で幼女をはべらしているという。どいつもこいつも病気なんですね。いいぞもっとやれ。 戦記物ではあるけど、それ以上にロボット物してる。特別な機体に選ばれる主人公。主役機にもれなく付いてくる美少女。一匹狼を気取るライバル。危機に陥ったとき発動する特殊能力。ロボットの動力やら何やらはさっぱり説明されないけど、そこは「ファンタジーです」ということなのだろうか。 真昼間から妄想に耽るロリコン貴族・エリクソン氏(38)のキャラは立ちすぎているほどに立っているのだけど、それ以外のキャラが

    機械じかけの竜と偽りの王子:安彦薫 - WATERBIRD
    italiajin
    italiajin 2008/11/20
    あぁ、僕もロリコンなので全然気づきませんでした。
  • どろぼうの名人:中里十 - WATERBIRD

    濃厚な百合。姉の頼みで古屋店主の妹になった少女の話。と書くと意味分からんな。 フルスイング百合小説、というか、軟投派投手の巧みな配球を見ているみたい。一見するとシンプル、裏はちょいインテリって感じ。背景に膨大な設定を用意しつつ、一部分だけを切り取って見せる。聞くところによると同人誌の設定が入っているそうで。千葉国とかっていうのはこれかな。この不思議な用語に加えて、あちこちで童話が引用されたりして、幻想的というか、ふわふわした雰囲気が形成されている、と思う。 このヒロインはいいなぁ。やはり百合物の主人公はタラシがいい。中学生にして周囲の美女・美少女を自然と惹きつける魔性。半分計算で半分天然で行動を決定する小賢しさ。素敵。あとはまあ、川井母の心情描写が少ないのと(川井娘はあんなにわかりやすいのに)、地の文の口調(というか文体)が一定じゃないのが気になったかな。後者はなにか叙述トリック的なあれ

    どろぼうの名人:中里十 - WATERBIRD
  • 泣空ヒツギの死者蘇生学:相生生音 - WATERBIRD

    西尾維新系の文章・ネーミングセンス + 電撃お得意の学園異能 + ツンデレ + ヤンデレ。もうてんこもりという感じ。とりあえずどういう作品かを知りたい人はプロローグを読めばいいと思うよ。一発で分かるので。 日常と非日常の対比、ツンデレなメインヒロイン、メインヒロインと幼馴染の対決、という学園異能のパターンを綺麗に踏襲したストーリー。主人公が死ぬところから始まるというのも定番だなぁ。開始早々に撲殺された主人公は、連続猟奇殺人事件の被害者の死体を繋ぎ合わせたフランケンシュタインとして蘇るわけだけども、どうせなら羽鳩戸愛心の胸部に四刀井諦あたりの下腹部をチョイスして性転換物にすればよかったのにと思ったのは俺だけか。ああそれだと顔がきもいか。 幼馴染の性は分かりやすすぎるくらいなんだけど、それでも読んでてガツンとやられましたよ。素晴らしい。ここまでオーソドックスなヤンデレは、ライトノベルでは久し

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  • under2 異界イニシエイション:瀬那和章 - WATERBIRD

    うんでる! うんでる!(←叫びたくなった) オーソドックスな異能バトル物。主人公の成長を描こうとしているところが好印象。主人公の情けないところと強いところ、どちらもきっちり見せている。ただ、落ち込むのが早ければ立ち直るのも早いので、展開が忙しいように感じられるところが、ちょっと惜しい。邪気眼的ではあるんだけど、「…命拾いしたな、もしもコレが暴走すれば俺にも止められん…」というあたりで留まっていて、「…ッ、ダメだ、暴走する…ッ!」というところまでは行ってない感じ。そつなくまとまっていて、面白いんだけど、ワクワクしない。でも、当はこの作者は、もっとやれる人だと思うんだ。だってあとがきがかっこよすぎるんだもの…。 唯人とレムの年少コンビが好きだ。たとえばこの年少コンビと、秋雨&ノインの年長コンビのあいだには、「文化祭のときなんかは一緒に頑張るけど普段はあまり付き合いがない同級生」くらいの壁があ

    under2 異界イニシエイション:瀬那和章 - WATERBIRD
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