格安航空会社(LCC)の就航や円安などの影響で、関西国際空港の旅客数が伸びている。空港に接続する鉄道やバスの昨年度の利用者総数も前年度より15%増え、この10年で最多の1935万人に達した。こうした追い風を受け、鉄道、バスの各社はこれらの客を囲い込もうと、通訳案内係の配置や割安切符の発売、路線の新設などサービス強化策を次々と打ち出している。 通訳や割安切符などサービス強化策続々 LCC、円安…乗車15%増 新関西国際空港会社によると、国際・国内線の旅客数は2012年度で約1680万人。前年度より約290万人増えた。 近畿運輸局の集計では12年度、交通機関のうち、最も利用者が多いのはJR西日本の760万人で、南海電鉄621万人、リムジンバス516万人と続く。いずれも前年度比20~13%伸び、03年度以降では最多。12年度の総数は、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)が猛威を振るった
関西電力は6日、節電要請期間2週目となる、来週の「週間でんき予報」(9~13日)を発表した。大飯原子力発電所3号機(福井県おおい町、出力118万キロ・ワット)の再稼働で供給力が増強されることから、電気使用率は85~88%の「安定」で推移する見通しだ。 日本気象協会によると、大阪市内の最高気温は30~31度と平年並みの見通し。予想気温や直近の需要を基に、需要は2080万~2170万キロ・ワットにとどまると見込んだ。 供給力は、大飯原発3号機が9日未明にもフル稼働に達することで、2421万~2466万キロ・ワットを確保できるとし、最大8基の火力発電所(計384万キロ・ワット)の運転を停止する計画だ。 また、経済産業省が6日発表した9~13日の電力需給見通しによると、各電力会社の最大電力使用率の中で高いのは、北海道電力の91%(10日)、四国電力の85%(11、12日)、九州電力の84%(10日
60億キロ・メートルの宇宙の旅から7年ぶりに帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。太陽系の初期の姿をとどめる小惑星「イトカワ」の砂などが入っている可能性がある耐熱カプセルの回収に、パナソニック製電池=写真=が大きな役割を果たした。機械トラブルなどで帰還が3年も延びたが、地球着陸後に居場所確認のための電波信号を正常に発信した。過酷な宇宙旅行後に実力を発揮しただけに「後継機にも搭載を」と期待が高まっている。 ガスメーターの電源などに利用されているリチウム一次電池で、一般に使われる電池では最も劣化しにくく、低温でも使えるのが特徴だ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)から12年前の1998年、はやぶさへの搭載を打診され、単2サイズなど容量が異なる2種類のリチウム一次電池を提供し、2003年の打ち上げの際に搭載された。 JAXAからパナソニックに再度連絡が入ったのは昨年2月。当初、帰還まで4年の計画が7年
「プロイテレス」は、約30センチ・メートルの立方体で重さ約10キロ・グラム。「Project of OIT Electric‐Rocket‐Engine onboard Small Space Ship(大阪工業大・電気推進ロケットエンジン搭載小型スペースシッププロジェクト)」の頭文字を取って名付けられた。神秘的な雰囲気を出したという。 これまで大学などで開発された小型衛星は、地球観測が主な目的だったが、「プロイテレス」ではエンジン動力に挑戦することにした。 エンジンはドーナツのように内部が空洞となった円筒形(直径約2〜1センチ、奥行き約1・5センチ)で、電気でフッ素樹脂を加熱して推進する。太陽電池パネルで作られた電気を蓄電器に充電。ここから電気を点火装置に送り込み、火花を起こすと加熱してエンジン内に取り付けられたフッ素樹脂がガスになり、高温で膨らんだガスが外に押し出される仕組みだ。噴射は
宇宙航空研究開発機構は後継機「はやぶさ2」の計画を進めている。文部科学省は昨夏、今年度予算の概算要求に17億円を盛り込んだが、政権交代を受けた予算削減で3000万円に縮小。製造に着手できなかった。 はやぶさ2は、目標とする小惑星と地球の位置関係などから、2014〜15年に打ち上げないと、次の機会は10年以上も先になる。来年度には製造に着手しないと間に合わない。川端文部科学相は11日、「(はやぶさの実績が)次につながるようにしたい」と述べた。 ただ、財政状況は厳しい。宇宙開発の今年度予算は3390億円で前年度比2・6%減。今後も大幅増は見込めない。はやぶさの快挙をどう生かすのか、注目される。
天文ファンでつくる「日本流星研究会」の上田昌良さん(58)(大阪府羽曳野市)ら2人の〈隕石(いんせき)ハンター〉が、宇宙航空研究開発機構の要請で、6月13日に小惑星探査機「はやぶさ」が豪州に投下するカプセルの捜索に参加する。カプセルには小惑星「イトカワ」の砂が入っているとされ、月以外の天体から砂や石を持ち帰るのは、人類初の試み。上田さんは「太陽系誕生の手がかりとなるプロジェクトで、夢のよう」と意気込んでいる。 天文少年だった上田さんは高校卒業後、同会に入会。約40年間、流れ星の観測を続けてきた。2003年からは、流れ星の映像を自動録画できるソフトを活用。会のメンバー約30人で宮崎県から青森県までに観測カメラ約100台を設置、光の軌道から隕石の落下地点を割り出す「流星の自動カメラ観測網」を作り上げた。 昨夏、同機構が開いた「はやぶさカプセル再突入における地上観測研究会」で、上田さんと同会会員
宇宙を題材に、プロジェクトの遂行能力を育てる「宇宙教育研究所」が和歌山大に開所し、記念講演会「7年ぶりの地球帰還!小惑星探査機『はやぶさ』の物語」が6日、同大学で行われた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)で、はやぶさの軌道決定などを担う吉川真准教授が説明した。 同研究所は、4月1日に開所。「宇宙観光の企画」や「小型ロケットの打ち上げ実験」などを想定し、企画力などを学ぶことを目的としている。 講演では、DVDを上映しながら解説。2003年に打ち上げられ、小惑星「イトカワ」に到達した05年には、砂の採取を試みた後、交信が途絶えるなどのトラブルを克服し、今年6月13日、オーストラリアに着陸する予定であることを紹介した。 その後、吉川准教授が大型スクリーンを使い、「イトカワは、東京スカイツリーより小さく、これほど小さな惑星を観察したのは世界でも初めて。想定外のことが多かったが、帰還が最大の山場。現
iPS細胞(新型万能細胞)から、実際の腸のようにぜん動運動をする腸管を作製することに、奈良県立医科大の中島祥介教授と植田剛医員らの研究グループがマウスの実験で成功した。iPS細胞から器官を作り出した例は初めてという。 グループは、マウスの皮膚から作ったiPS細胞を球状に培養。粘膜やじゅう毛、筋肉、神経を伴った管状の組織(直径約2ミリ、長さ約5ミリ)ができた。物を絞り出すように運ぶぜん動運動を1分間に10回程度行っている様子が見られ、腸管の運動リズムを調節するペースメーカー役の細胞も確認された。 iPS細胞からは神経や筋肉など、様々な細胞を作れるが、立体構造を持つ器官にまで変化させるのは難しい。グループは、同じ万能性のある胚(はい)性幹細胞(ES細胞)で培った人工腸管作製技術を使い成功させた。 植田医員は、「今後は患者のiPS細胞から腸管を作り、クローン病などの原因不明の炎症性腸疾患や、先天
鹿児島大や鹿児島県内の電子関連機器メーカーなどでつくる鹿児島人工衛星開発部会(部会長・西尾正則鹿児島大大学院理工学研究科教授)が製作してきた小型衛星「KSAT」が完成し、最終試験のため宇宙航空研究開発機構の筑波宇宙センター(茨城県)へ送られた。今年中に、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)で打ち上げが予定されるH2Aロケットで、宇宙に放たれる。 KSATは10センチの立方体で、重さ1・4キロ。地球の上空約300キロを周回し、大気中の水蒸気の分布を調査し、集中豪雨の予測に役立てる。H2Aの主衛星である金星探査機「あかつき」に、早大などが製作した3機の小型衛星とともに搭載される。筑波宇宙センターでは、実際にロケットに搭載しても安全かどうか、などの試験が行われる。 開発部会は、大学側と複数の企業が、全国で唯一、ロケット発射場を持つ鹿児島県で、宇宙関連産業を発展させようと、2005年8月に発足さ
大阪大微生物病研究所の堀井俊宏教授のグループが、マラリアの最大規模の流行地域であるアフリカ・ウガンダで、発症を防ぐワクチンの実用化へ向けた臨床試験を3月にも開始する。2005年に日本国内で行った接種試験で、人体への安全性と、病原体のマラリア原虫を攻撃する物質(抗体)が血液中で増えることを確認しており、現地での試験を踏まえ、来年以降、発症を抑える効果の有無などを調べ、世界初のマラリアワクチン開発を目指す。 堀井教授らは、増殖する原虫の体を包むように現れるたんぱく質「SERA」に着目。抗体がこのたんぱく質を攻撃し、原虫を殺す様子を実験で観察した。過去のウガンダでの調査で、SERAへの抗体を持つ子どもはマラリア特有の発熱がなく、原虫が増殖しにくいことも確認し、これらの成果をもとに阪大微生物病研究会が製剤化に成功した。 今回の現地での臨床試験は、3月以降に4か月かけ、6〜20歳の84人、21〜40
航空機の模型が宙に浮かんでいる。飛行機やロケットの飛行状態を模擬試験する、宇宙航空研究開発機構の「磁力風洞」だ。模型に仕込んだ磁石と風洞本体が発する磁力の反発力で釣り合いをとり、模型が浮かぶ仕組み。欧米の研究機関も開発に挑むが、60センチ四方という実用に耐える大きさの装置実現に、同機構が一番乗りした。 風洞試験はふつう、模型の後端から水平に伸びる棒で支え、前から風を送って行っている。ただ、棒に沿って風の流れが整い、実際の飛行で機体の後ろにできる空気の渦が観察できない。スーパーコンピューターによる模擬実験でも渦は再現できないが、宇宙機構は磁力風洞による実験で渦の様子を世界で初めて解明した。 渦が機体に与える力は無視できず、現在は空気力学の計算手法で推定値を出して設計に生かしている。風洞の開発にあたった同機構の沢田秀夫さんによると、実際の飛行に近い渦を再現できることで、航空機の設計に将来、大き
まいど1号が9月28日に撮影した地球。これが最後の画像となった(中央に見えるのは腕の部分)=東大阪宇宙開発協同組合、宇宙機構提供 町工場のおっちゃんたちの夢を乗せて今年1月に宇宙に飛び立った雷観測衛星「まいど1号」が先月10日、運用を終えた。まいど1号は、20〜30年後に大気圏で燃え尽きるまで宇宙を漂うだけとなった。打ち上げから9か月。開発した東大阪宇宙開発協同組合(大阪府東大阪市)が当初、「信頼性が高く3年は運用できる」と自負していたことを思えば唐突な引退だ。なぜこうなったのか。まいど1号が残したものとは――。 「本来3か月で終わるはずだった」「運用が長々と続いた」。先月16日に開かれた運用終了の記者会見。組合幹部の口から出た言葉は、夢を語った打ち上げ時とはまるで正反対だった。 大阪の中小企業などが「不況で苦しい時こそ夢を」と、組合を設立したのは2002年。翌年、新エネルギー・産業技術総
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く