東京女子医科大(東京都新宿区)の同窓会組織で一般社団法人「至誠会」の元職員が在職中、勤務実態がないのに会から給与約2000万円を受けた疑いが強まったとして、警視庁捜査2課は29日、一般社団法人法の特別背任容疑で、関係先の大学本部や大学の岩本絹子理事長(77)が経営する江戸川区の産婦人科医院などを家宅捜索した。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、不記載が5年間で総額約13億5000万円もあった安倍派の幹部4人が出席した1日の衆院政治倫理審査会。いつ裏金づくりが始まり、なぜやめられなかったのか。国民が抱く不信と疑念に対し、4人は「反省」を口にしたが、詳細は「知らない」「存じ上げない」と異口同音に繰り返した。裏金を国会の議員事務所で保管して秘書の判断で支出していたのに、納税を否定するなど、国民感情を逆なでするような責任逃れの弁明が相次いだ。(井上峻輔) 裏金づくりがいつから始まったかについて、安倍派で事務総長を務めた西村康稔前経済産業相は「歴代会長と事務局長との間で長年慣行的に扱ってきたことだ。判然としない」と回答。塩谷立元文部科学相も「二十数年前から始まったのではないかと思うが、明確な経緯は承知していない」と述べるにとどめた。
東京・新宿の高層複合施設「東急歌舞伎町タワー」で、多様性を認める街づくりの象徴として設置された性別に関わらず使用できるトイレが改修されてなくなった。4日、男女別のトイレに変わる。
米軍横田基地(東京都福生市など)で発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS、ピーファス)を含む泡消火剤が漏出した問題で、防衛省は21日、2010~2012年に発生した計3件の漏出を2019年1月に把握していたと発表した。都や周辺市町に伝えたのは今年6月で、漏出の把握から公表まで4年半を要した。同省は「省内の連携ミスで公表が遅れた。速やかに情報提供すべきだった」と釈明した。 PFAS 泡消火剤やフライパンの表面加工などに使われてきた有機フッ素化合物の総称。約4700種類以上あるとされる。PFOS(ピーフォス)やPFOA(ピーフォア)は人体や環境への残留性が高く、腎臓がん発症や胎児・乳児の成長阻害、コレステロール値の上昇、抗体反応の低下などの健康リスクがあるとされ、国際的に規制が進む。 同省によると、2018年12月の漏出事故の報道を受け、2019年1月に米側から漏出についての報告書を入手
東京湾を望む癒やしスポットとして親しまれている東京都立葛西臨海水族園(江戸川区)の樹木が大量に撤去されるのではないか、との懸念が広がっている。老朽化した施設の建て替え計画を巡る都民の情報公開請求で環境負荷計画などの大半が、小池百合子知事がかつて「のり弁」と批判した黒塗りにされたためだ。情報公開の専門家は「公共施設の整備内容は早い段階で公開しないと、神宮外苑のように最終段階でもめることになる」と警告する。(三宅千智)
東京都世田谷区は二十二日、二〇二三年度のふるさと納税制度に伴う区税の流出が前年度比十億円増で、過去最大の九十七億円に達したと発表した。二二年度から対策として返礼品を拡充して寄付を呼び込んだが、その効果も吹き消す損失で、保坂展人区長は「大変ショック。このままなら百億円、百五十億円と進む。耐えられない」と国による制度の見直しが必要と訴えた。 流出額は昨年、区民が制度を利用して他自治体に寄付したことに伴う本年度の区税控除額の総計。一三年度は六千万円だったが、年々、特産品など豪華な返礼品をそろえる自治体への寄付が増え、流出額が膨張。十一年間の流出は累計四百五十八億円に上った。 区は長年、返礼品を福祉作業所で作ったお菓子など社会的意義のあるものに限っていたが、昨年度から区内の名店の商品やクーポン券などをそろえ「返礼品競争」に加わった。果たして二二年度は前年度の倍の二億八千万円の寄付が集まったが、流出
東京都営地下鉄4路線106駅のうち59駅の駅業務が都から外部委託されており、労働者派遣法が禁じる「偽装請負」を招かないか、という懸念が持たれている。法律上、業務委託元は、委託先の労働者に直接指示はできないが、これらの駅では都職員の駅長のもとで委託先の社員である駅員が働いている。都側は「駅長が行うのは指示でなく情報伝達」と説明するが、現場の駅員からは「実態とそぐわない」という声が上がる。(三宅千智) 偽装請負 実質的には労働者派遣なのに、委託契約に見せかける違法行為。通常の委託では、委託された会社の労働者がその会社の指揮命令下で働くが、偽装請負では委託元の指示に従う。事故や問題が起きた際、労働者に対する責任の所在があいまいになるため、労働者派遣法や職業安定法が禁じている。
東京・多摩地域で水道水源の井戸水が発がん性の疑われる有機フッ素化合物(PFAS)で汚染されている問題で、住民の血液検査を実施している市民団体が15日、27市町村に住む551人分の結果を公表した。井戸の取水を停止した浄水施設がある国分寺や立川など7市の住民で血中のPFAS濃度が高い傾向にあり、専門家は「飲み水に使ってきた水道水が主な原因」とみている。(松島京太) 7市の住民(303人)の結果によると、PFASの代表的物質であるPFOSとPFOAなど血中の4種の合計値の平均で、最も高かったのは国分寺市の住民で血液1ミリリットル当たり44.9ナノグラムだった。7市の住民の平均は29.3ナノグラムで、全国平均8.7ナノグラム(環境省の2021年度調査)と比べると約3.4倍高かった。
統一地方選で、議会の勢力図が激変したのが東京都杉並区だ。女性の当選者が男性を上回り、現職や最大勢力の自民党の候補が大量落選。新陳代謝を印象づけた。変化を引き起こしたものは何か。(原田遼)
報告書名は「新時代の日本的経営」。経営で三つの雇用の形を組み合わせることを提言した。このうち契約社員や派遣ら非正規を「雇用柔軟型」と名付け、企業が人件費を抑えるために活用する方向性を示した。 新時代の日本的経営 終身雇用や年功賃金を中心とする日本的雇用の見直しを求める提言。急激な円高や不況を受け、人件費を抑えるのを目的に3種類の雇用を組み合わせる「雇用ポートフォリオ」の導入を企業に促した。正社員に当たる「長期蓄積能力活用型」、専門能力を生かす「高度専門能力活用型」に加え、現在の非正規労働者に当たる「雇用柔軟型」を設定。企業が非正規を増やす方向性を示したとされる。 当時、日本は先進国が協調してドル高を是正する「プラザ合意」(85年)を機に円高が急伸、その後のバブル崩壊で不況に陥った。成瀬さんは報告書の作成について「円高で賃金が上がり過ぎたから下げるしかなかった。このままでは企業がつぶれるとい
世界最大級の古書店街、東京・神保町で大正時代から営業を続ける「古賀書店」が年内で閉店する。クラシック音楽にまつわる資料を大量にそろえた全国でも珍しい店で、研究者や演奏家、愛好家の間では知られた存在だったが、ネットの普及による逆風が高齢になった店主の決断を促した。惜しむ声が上がる。(清水祐樹、宮尾幹成) 店内には、国内外のクラシックの音楽家の伝記や資料、研究書、楽譜などがびっしり。ジャズやタンゴ、シャンソンなど他ジャンルもあるものの、あくまで主力はクラシックで、他のサブカルチャー系の専門店とは一線を画してきた。 「こぢんまりとした店構えながら、音楽大学の図書館にも匹敵する重厚な空間だった」。30年来、月1度のペースで通い続けてきた会社員西原昌樹さん(50)=東京都杉並区=は、店内の様子をそう形容する。「通りすがりの人から専門家まで、幅広い層の客と店主のやりとりを傍で聞くのも楽しかった」と懐か
敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有しても、日本の安全は高まらないと考える。攻撃を受けたときに限って武力行使をするとした専守防衛という長年の宣言政策の信頼が低下し、他国の不安をかき立てる。周辺国との緊張が激化して、さらに軍備競争が加速する「安全保障のジレンマ」から抜け出せなくなるからだ。 例えば、1998年の北朝鮮のミサイル発射実験を受けて日米で共同研究を進め、日本政府は2003年に弾道ミサイル防衛(BMD)システムの整備を閣議決定した。だが、これは相手国のミサイルの軍事的効果を相殺するため、BMDの対応力を超えるミサイル開発への誘因となった。防衛力強化を期待して行ったことが逆効果となり、安全保障環境を悪化させたことを政府・与党は自覚した方が良い。
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