連日のサイクリングに忙しくて、戦死兵の母親達に面会するヒマがないブッシュ大統領は、イラク戦争の正当性を地方の国民に訴えるために、全米で最も保守的な土地として知られるユタ州で開催される退役軍人大会において遊説を行うことにした。2004年大統領選挙時、住民の71%がブッシュに投票したユタ州では、地元民主党員さえも『共和党穏健派』と揶揄されるほど超保守的な土地柄として知られている。この場所で、しかも退役軍人向けイベントとなれば、勢いを増している反戦運動から、大統領は身を隠すことができるはずだった。 ところが、ブッシュの遊説の知らせを受けてすぐ、ユタ州都ソルトレイク市長のロッキー・アンダーソンは、地元の各市民団体に電子メールで異例の呼びかけを始めた。州都の市長として大統領歓迎の挨拶を述べるはずのアンダーソン市長は、退役軍人と共和党支持者が結集するブッシュ大統領遊説会場の外で、反戦集会を開催しようと