ーー市民の大半が反対する安倍元首相の国葬。差し止めと国賠を求める訴訟の他、9月27日国葬当日に向け、各地で反対集会も予定されている。「アベノミクス」の実態について経済学者の松尾匡さん(立命館大学教授)に聞いた。(編集部) 編集部…安倍氏の最大の功績とされる「アベノミクス」への評価をお願いします。 松尾…私は、「アベノミクス」が何を指すのか曖昧なので、あまり使わないようにしているのですが、安倍元首相の目的は、明確です。①景気を良くして支持率を上げ、②選挙で勝つ。そして、③改憲へと突き進むことでした。決して「庶民の生活向上」を目的としたわけではありません。 そのうえで、「3本の矢」を「アベノミクス」の内容とするならば、それは、①大胆な金融緩和、②機動的な財政出動、③従前から引き継いだ新自由主義的構造改革である「民間投資を喚起する成長戦略」でした。これを検証してみます。 ①は、日銀による大規模な