動物を追う、ゆえに私は〈動物で〉ある (単行本) 作者:ジャック・デリダ 筑摩書房 Amazon 1997年に行われたデリダの名高い講演の記録。 ここでは、デカルト、カント、ハイデガー、レヴィナス、ラカンという人々の思想が、人間中心主義的なものとして批判されている。 デリダが人間中心主義の思想を批判する根本的な理由は、それ(人間中心主義)が人間のなかの「動物的生」と呼べるようなものを否定(否認)し、いわば「有限の生」ならざるものに、支配者・優越者としての人間の根拠を置こうとする思想であるからだと思う。 つまりそれは、(動物のような)「有限の生」という人間のあり方を否認するような思考への批判であり、グノーシス主義(最近の用語でいえば「反出生主義」)的なものに対立する態度だといえると思う。 そのことは、次の箇所によく示されている。 『先決的かつ決定的な問いは、動物が、苦しむことができるかどうか