<世界の注目が集まるバングラ政変の陰で、イスラム教徒の少数民族がミャンマー内戦に巻き込まれ、多数の犠牲者が出ている> 8月上旬の深夜、バングラデシュのシェイク・ハシナ首相(当時)国外逃亡のニュースが世間をにぎわせていたのと同じ頃、筆者の携帯に不穏な写真が届いた。映し出されていたのは、雨でぬかるむ田舎道に突っ伏した女性や老人、子供の無数の遺体だ。送り主であるロヒンギャの青年がこう訴える。 「誰もがバングラデシュの政変に気を取られ、僕らのことを忘れてしまった。ミャンマーはひどい状況だ。多くのロヒンギャが戦闘に巻き込まれ、村で、道端で死んでいる」 仏教徒が多数派を占めるミャンマー(ビルマ)で長年、迫害を受けるイスラム教徒の少数民族ロヒンギャが、軍事政権と仏教系少数民族の戦闘に巻き込まれ、さらにバングラデシュ側に避難した難民までもが強制徴兵されて戦場で「人間の盾」にされている。6月にバングラデシュ