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ブックマーク / honz.jp (107)

  • 想像以上に広くて複雑な深海という世界──『深海学―深海底希少金属と死んだクジラの教え』 - HONZ

    深海は調査が進んでおらず、海底よりも月の表面の方がわかっていることの方が多いとさえ言われる世界だ。だが、近年深海用の潜水艇などの高性能機材が開発され、深海が想像されてきたより広く複雑な世界であることが明らかになってきた。書はその書名通りに、深海にまつわるさまざまなトピックを扱った一冊だ。 生物の話からはじまって、地球温暖化と深海の関係性、深海底ビジネスが深海に与える深刻な影響とその対抗策など、深海の実態を明らかにしている。特に、著者の専門は海洋生物学で、深海の生物を扱っている章の筆致は飛び抜けている。深海は地上と異なる常識が展開する世界だから、そこで起こる出来事の描写は信じがたいものばかり。あまり表に出ることのない世界だが、だからこそ、多くの人が楽しめるだろう。 深海に住む生物たち なぜ深海が地上と異なる常識と情景が展開するのかといえば、その大きな理由は「水圧」と「暗さ」にある。たった1

    想像以上に広くて複雑な深海という世界──『深海学―深海底希少金属と死んだクジラの教え』 - HONZ
  • ウンコするならこれを読め!『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ―人糞地理学ことはじめ』 - HONZ

    いきなりだが、問題です。さて、あなたは「ウンコ」という言葉を聞いて、どんな言葉をイメージされるだろうか。「汚い」あるいは「臭い」だろうか?「嫌い」という人はいても「好き」という人はおられないかもしれない。しかし、このを読めば、「好き」とまではいかなくとも、「偉い」、いや、「偉かった」くらいにまでイメージアップするはずだ。 まずは第一章「ウンコとはなにか?」という、人間にとって根源的な問いかけから、このは始まる。 もしかすると、ウンコに対して「汚い」というイメージを持つのは人間、それも大人だけで、こどもは案外ウンコが好きなのかもしれない。でないと、「うんこドリルシリーズ」が累計で400万部も売れたりはするまい。 しかし、それはイメージとしてのウンコであって、リアルウンコは違うという意見もあるだろう。確かにそうだ。しかし、チンパンジーやウサギ、犬は喜んでウンコをする。探検家・角幡唯介によ

    ウンコするならこれを読め!『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ―人糞地理学ことはじめ』 - HONZ
    kamei_rio
    kamei_rio 2020/11/13
    排泄物と文明 https://honz.jp/articles/-/40481 もオススメ
  • 『美術館の不都合な真実』新聞社やテレビ局が主催する現状 - HONZ

    フェルメールを歩きながら観るような企画展がまかり通っている。 正確にいうと新型コロナウイルス以前は、話題の企画展が開催されれば連日混雑していた。2018年に開催されたフェルメール展は産経新聞の一面に《牛乳を注ぐ女》の絵とその会期が掲載された。日の企画展は新聞により大々的に宣伝され、1日平均6千人もの入場者を動員する。実際に足を運んでみると1日3千人という数字は、国立美術館の広さでも混んでいる印象を受ける。加えて人気の企画展などは最終日に近い土日だと1日1万人をこえる。そうなると入場するのに1~2時間はかかってしまう。 ところが1日あたりの入場者数は、ロンドンで発行される美術月刊誌「アート・ニュースペーパー」(2019.3.24)によると、1位『運慶展』・3位『ミュシャ展』・5位『草間彌生展』など10位までに3がランクインする。日の企画展における入場者数は世界でも特に多い。だが年間入場

    『美術館の不都合な真実』新聞社やテレビ局が主催する現状 - HONZ
    kamei_rio
    kamei_rio 2020/09/08
    "広告収入が激減している日本の新聞社にとっては、展示会が本業を補う収益事業と位置づけられている" そんなに儲かるんだろうか?と思ってしまった
  • 『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』世界はくだらない仕事にあふれてる - HONZ

    待ちに待った邦訳がようやく出た。 デヴィッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ』である。 「ブルシット・ジョブ」とは、「クソどうでもいい仕事」のことだ。 もう少し丁寧に説明すると、「なんのためにあるのかわからない、なくなっても誰も困らない仕事」のことである。 近年、私たちの身の回りでブルシット・ジョブが増えている。 そして、確実にこの手の仕事は、働く人々の心身を蝕んでいる。 多くの人がこのことにうっすら気づいていたようで、2013年に著者があるウェブマガジンで「ブルシット・ジョブ現象について」という小論を発表したところ、国際的な反響を呼んだ。書はこの小論をベースに、その後の調査や考察を加えて一冊にまとめたものだ。コロナ禍でエッセンシャル・ワーカーに注目が集まる中、時宜にかなった出版といえる。まさにいま読むべき旬の一冊だ。 著者のデヴィッド・グレーバーは、イギリスの名門大学、ロンドンスクー

    『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』世界はくだらない仕事にあふれてる - HONZ
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    kamei_rio 2020/08/26
  • 日本の科学は失速状態 『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』 - HONZ

    の科学は失速している。一昨年の3月、ネイチャー誌に掲載されたレポートは大きな反響を呼んだ。一般の人たちには驚きを持って迎えられたようだが、多くの研究者にとっては、やはりそうかという感じであった。 『誰が科学を殺すのか』は、企業の「失われた10年」、「選択と集中」でゆがむ大学、「改革病」の源流を探る、海外の潮流、の4章から構成されている。毎日新聞に掲載された「幻の科学技術立国」シリーズが元になっただ。 大学に関しては、行きすぎた選択と集中、地方国立大学の疲弊、若手研究者の待遇の悪さ、博士課程進学者減少などが紹介されており、内部で実感していることと完全に一致する。 どのテーマについても、客観的かつ冷静な記述と考察がなされている。わかっているにもかかわらずマスコミがなかなか書かなかったiPS細胞関連予算の問題点についても、果敢に踏み込んでしっかりと書かれている。 ネイチャー誌の記事以来、論

    日本の科学は失速状態 『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』 - HONZ
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    kamei_rio 2019/12/13
  • 『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』日本経済再生のカギは「中小企業神話」の克服にあり - HONZ

    『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』日経済再生のカギは「中小企業神話」の克服にあり 書の「中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか」というサブタイトルは非常に刺激的で、早くも各所で物議を醸している。 著者のデービッド・アトキンソン氏は、英オックスフォード大学で日学を専攻し、米ゴールドマン・サックスの経済アナリストとして、1997年からの金融危機とその後の銀行大再編を予測して名をはせた、「伝説のアナリスト」である。 今は、縁あって文化財修復最大手の小西美術工芸社の社長として活躍する。またゴールドマン退社後も、日経済ウォッチャーとして、日を救うための数々の提言を行ってきた。 その著者が、先進国中最下位にある日の生産性を高めるための具体的な方法を示したのが書である。 日の「少子・超高齢化」はもはや否定しえない事実である。他方、日人は人口減によってこ

    『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』日本経済再生のカギは「中小企業神話」の克服にあり - HONZ
    kamei_rio
    kamei_rio 2019/12/02
    大企業は悪、町工場や中小企業は善なる弱者、みたいな認識を平成の間に改めておくべきだった。ブラックだけど利益出せないので法人税も納めないとか有り得ない
  • 天才プログラマーにして闇社会の帝王、超大金持ちにしてドケチ。その男の名はル・ルー。ドラマ化決定の『魔王: 奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男』は超弩級のノンフィクションだ! - HONZ

    天才プログラマーにして闇社会の帝王、超大金持ちにしてドケチ。その男の名はル・ルー。ドラマ化決定の『魔王: 奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男』は超弩級のノンフィクションだ! 海賊が跋扈するため、ソマリア沖ではマグロ漁ができなくなっていた。そこで漁をすれば一網打尽、一攫千金だ。しかし、そのためにはロジスティクスも安全も確保しなければならない。巨額の資金による、飛行場付き、傭兵が警護する完全武装の漁業基地建設が始まった。 全米で多くの医師や薬剤師がオンライン薬局での処方薬販売にかかわっていた。違法ぎりぎりの取引に気づいた麻薬捜査官による捜査が始まった。巧妙に操作されたインターネットサイトの裏側で、たったひとつの会社、RX社が巨額の取引を仕切っていた。 腐乱死体を乗せた難破ヨットがトンガの環礁で見つかった。当局が捜査したところ、その船室の壁には末端価格は9000万ドル以上にもなるコカインの塊

    天才プログラマーにして闇社会の帝王、超大金持ちにしてドケチ。その男の名はル・ルー。ドラマ化決定の『魔王: 奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男』は超弩級のノンフィクションだ! - HONZ
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    kamei_rio 2019/11/28
  • これが実話だなんて!『大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件』 - HONZ

    ロンドンの王立学院に通う20歳の音大生が、あの大英自然史博物館から、死んだ鳥の羽を盗んだ――なぜ、前途有望な若者が300羽近い鳥の美しい羽根を? 世にも不可思議な盗難事件の顛末を追った犯罪ルポ。ページをめくる手が止まらない、思いがけない快作登場! 世界でも有数の音楽院にアメリカから入学したフルート奏者。裕福で、整った品のいい顔立ちの20歳の青年。その青年が、世界に冠たる大英自然史博物館の分館に、夜間に忍び込み、約300羽分の鳥の羽を盗んでスーツケースに詰め込み、誰に追われることもなく電車に乗って帰宅した。 これが事件の顛末だ。 ニューヨーク、マンハッタンから、10歳の頃、北方200キロの街に移り住んだエドウィン・リストは、家の中で勉強したりフルートを演奏したり、弟と遊んだりするのが好きだった。両親はアイビーリーグ大卒で、フリーランスで執筆業に携わり、子供たちに自宅教育(ホームスクーリング、

    これが実話だなんて!『大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件』 - HONZ
    kamei_rio
    kamei_rio 2019/09/15
  • 時間とはいったいなんなのか?──『時間は存在しない』 - HONZ

    時間は存在しない、といきなり言われても、いやそうは言ったってこうやって呼吸をしている間にもカチッカチッカチッと時計の針は動いているんだから──とつい否定したくなるが、これを言っているのは、一般相対性理論と量子力学を統合する、量子重力理論の専門家である、職のちゃんとした(念押し)理論物理学者なのである。 名をカルロ・ロヴェッリ。彼が提唱者の一人である「ループ量子重力理論」の解説をした『すごい物理学講義』は日でもよく売れているようだが、書はそのループ量子重力理論から必然的に導き出せる帰結から、「時間は存在しない」ということをわかりやすく語る、時間についての一冊である。マハーバーラタやブッタ、シェイクスピア、『オイディプス王』など、神話から宗教、古典文学まで幅広いトピックを時間の比喩として織り込みながら、時間の──それも我々の直感に反する──物理学的な側面を説明してくれるのだが、これが、と

    時間とはいったいなんなのか?──『時間は存在しない』 - HONZ
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    kamei_rio 2019/09/05
  • 『クロード・シャノン 情報時代を発明した男 』情報時代の本質とその未来を考えるために - HONZ

    私が中学生だった頃、数学の先生が1と0だけで数を表現する二進法を教えてくれた。この1と0を電流が流れている状態、または切れた状態に対応させると、全ての数を電流のオンオフ組み合わせで表せるという。これを利用したのがコンピュータだと聞いて、私はいたく感動した。 その考え方を世界で初めて提示したのが、書の主人公シャノンである。現代社会に不可欠のパソコン、携帯電話、DVDの全てが、彼なしにはありえなかった。 二進法の最小単位はビットと呼ばれ、文字や画像などの情報はビットの組み合わせで表現できる。情報量の単位としてビットを初めて導入したのがシャノンで、現代のデジタルコンピューターはビットを8個集めた8桁分の巨大情報をバイトという単位で扱う。 書は「情報理論の父」と呼ばれる天才数学者の評伝で、著者はハフィントン・ポスト元編集長などを務めた名うてのジャーナリストである。シャノン以前にも情報という概念

    『クロード・シャノン 情報時代を発明した男 』情報時代の本質とその未来を考えるために - HONZ
    kamei_rio
    kamei_rio 2019/08/28
    情報を確率から定義して理論を構築した偉大なるシャノン様を崇めよめよめよ
  • とまどわないペリカン 『ハシビロコウのすべて』 - HONZ

    「動かない鳥」として、大人から子どもまで人気があるハシビロコウ。しかし、意外にも、そのは世に少ない。書は待ちに待った「一冊まるごとハシビロコウ」である。日の動物園で会える13羽の性格や名前の由来などを写真とともに紹介。『ざんねんないきもの事典』の今泉先生監修のもと、謎に満ちたその生態をイラストで徹底解説している。 ハシビロコウという鳥は、眺めているだけで想像力をかきたてられる鳥だ。書もまた然りである。を開いて、最初に目に入った写真(下)では、その個体差に陶然となった。様々な顔つきの人がいるように、彼らも個体ごとに顔つきが相当違うのだ。その顔つきを見比べるのは、ことのほか楽しい。 その後に続く章では、野生のハシビロコウの写真をもとに、出会いから巣立ちまでをストーリー仕立てで紹介している。ジッとして動かない写真はもちろん、大空をはばたく貴重な写真や、お辞儀して求愛している写真などが

    とまどわないペリカン 『ハシビロコウのすべて』 - HONZ
    kamei_rio
    kamei_rio 2019/06/10
    あとでプリパラの北条そふぃさんに教える、とコメントしに来たら最初の2枚の画像にノックアウトされた
  • 『ネコ・かわいい殺し屋 生態系への影響を科学する』野良ネコへの愛情はリスクを孕む - HONZ

    書を読む少し前、環境省による奄美大島のノネコ(野生化したネコ)への対策が議論を呼んでいるとのニュース記事を読んだ。ノネコが国の特別天然記念物であるアマミノクロウサギなどを捕するため、昨年夏から捕獲が始まり、引き取り手が見つからなければ殺処分される。そのために動物愛護団体との対立が深まっているというものだ。野良とはいえ、あんな気ままでのんびり屋のネコがそこまで脅威になるのかと思っただけだったが、このを読んでから、考えを改めねばならないと感じている。 増加するペット由来の野放しネコ(イエネコ)が生態系、環境、公衆衛生に及ぼす影響を、科学的根拠に基づいて丹念に示したのが書『ネコ・かわいい殺し屋』である。訳者あとがきによれば、ネコを生態系の外来捕者としてとらえた初めてのであるという。著者のピーター・P・マラはアメリカのスミソニアン動物園で渡り鳥の研究をする鳥類学者で、もう一人のクリ

    『ネコ・かわいい殺し屋 生態系への影響を科学する』野良ネコへの愛情はリスクを孕む - HONZ
    kamei_rio
    kamei_rio 2019/05/07
    "強調するまでもなく、ネコの最強の味方は人間である。" わかるわ
  • 何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史──『世にも危険な医療の世界史』 - HONZ

    現代でもインチキ医療、危険な医療はいくらでも見つけることができるが、過去の医療の多くは現代の比ではなくに危険で、同時に無理解の上に成り立っていた! 書『世にも危険な医療の世界史』はそんな危険な医療史を、元素(水銀、ヒ素、金など)、植物と土(アヘン、タバコ、コカインなど)、器具(瀉血、ロボトミー、浣腸など)、動物(ヒル、人、セックスなど)、神秘的な力(電気、動物磁気、ローヤルタッチ)の五種に分類して、語り倒した一冊である。 実のところ、このは何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史を、簡潔にまとめたものだ。言うまでもなく、「最悪の治療法」は今後も生み出されるだろう。 単なる事例集にすぎないともいえるのだが、それでダレるということもなく、出てくる例があまりにもトンデモでひどいことをやっているのでなんじゃこりゃ! と笑って驚いているうちにあっという間に読み終わってしまう。たとえば、ペス

    何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史──『世にも危険な医療の世界史』 - HONZ
    kamei_rio
    kamei_rio 2019/04/26
    瀉血に比べたら砂糖玉はまだマシだけど、砂糖玉に比べたら現代医療は比較しようがないくらい正しい
  • 『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』地球レベルの悲観と、事業レベルの楽観と - HONZ

    イノベーションが加速する条件とは何か? 先端テクノロジーの開花か、組織の多様性か、それともポテンシャルのある市場環境か。様々な要素が考えられるが、最も重要なのは人間離れした男たちの、人間らしい競争意識ではないかーーそんなことを痛感させられる。 書は宇宙ビジネスの最前線を描いた一冊である。数多ある類書と一線を画すのは、イーロン・マスクとジェフ・ベゾスーーこの二人にフォーカスを絞っている点だ。二人の胸のうちに肉薄し、対抗意識を物語の構造に織り込んだ。論争、訴訟、そして心理戦による駆け引き。なにより二人のアプローチが対照的なのである。 宇宙への挑戦は、革新と停滞の物語でもある。全世界を熱狂させたアポロ11号の月面着陸から約半世紀。その間、ロケット技術の進歩はほとんどなかったといっても過言ではない。21世紀初頭にロシアと米国で打ち上げられたロケットは、アポロ時代のものと大差なかったという。それだ

    『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』地球レベルの悲観と、事業レベルの楽観と - HONZ
    kamei_rio
    kamei_rio 2019/01/11
  • 『美酒復権』NEXT5のその先へ - HONZ

    「NEXT5」というグループをご存じだろうか?日酒が好きな人ならきっと一度は耳にしたことがあるだろう。ゆきの美人の小林忠彦。白瀑(山)の山友文。福禄寿(一白水成)の渡邉康衛。新政の佐藤祐輔。春霞との栗林直章。秋田の蔵元5人が2010年に結成した蔵元集団である。共同で醸造酒をつくり、酒造りを研究し、技術と精神を切磋琢磨している醸造家集団だ。 2014年からは各界の著名クリエイターとのコラボも展開し、アーティストの村上隆や建築家の田根剛らとコラボレーションした共同醸造酒を販売してきた。今年は「NEXT5 hyougemono2018」と銘打ち、山田芳裕の漫画『へうげもの』、『へうげもの』スピンオフ「激陶者集団へうげ十作」with friendsの三位一体コラボという形で、酒杯と共同醸造酒のセットを販売した。どの酒杯がついてくるかわからない、大人のガチャといった趣で、私もついつい器欲しさに

    『美酒復権』NEXT5のその先へ - HONZ
  • 『海の歴史』未来は宇宙よりも海 - HONZ

    海から眺める人類史を一冊にしたで、海好きにはたまらない内容だ。海については、生活・科学・文化・物流・軍事などの様々な視点から数多くの書籍が出版されているが、これまで海の歴史を網羅的かつ包括的にまとめた書物はほとんどなかった。今回その壮大な歴史をまとめあげたのが、知の巨人ジャック・アタリ。壮大な世界観の歴史書を書かせれば彼ほどの適任者はいない。 書は、130億年前の宇宙と水の誕生という地球科学から始まり、動物や人類の誕生という生物史、ローマ帝国や中国王朝という権力者による海の支配史、蒸気船やコンテナ船という海を舞台にしたビジネスイノベーション、海を中心に広がる環境汚染問題と多岐にわたる題材を取り扱う。それぞれのトピックで一冊のが仕上がるほどの内容が、一冊に詰まっているのだ。 「人類の将来にとってより重要なのは、宇宙の探査よりも海だ」と著者は強調する。たしかに書のように海という視点から

    『海の歴史』未来は宇宙よりも海 - HONZ
  • 医師にも患者にもバイアスだらけ 『医療現場の行動経済学』 - HONZ

    京都大学の庶佑特別教授のノーベル医学生理学賞受賞が決まり、日中が湧いている。この素晴らしい快挙の一方で、医療現場では混乱も生じているようだ。がん治療の現場で、医師が手術を選択したにも関わらず、患者側からオプジーボを使用したいと相談があるようなのだ。なぜ、患者側はそう考えるのか。書は、その「なぜ」に答えるである。 当然のことだが、医師はオプジーボの存在は知りつつ手術を選択している。冷静に考えれば、患者もそれはわかるだろう。しかし、生きるか死ぬかの瀬戸際で、毎日のように「オプジーボで命を救われました」という報道を目にしている患者の気持ちもわかるような気がする。 このような医療現場の意思決定について、現在の医療ではインフォームドコンセント(説明と合意)という手法が一般的にとられている。しかし、情報さえ提供すれば、患者は合理的な判断をできるのだろうか。書の執筆チームは、ここに昨年ノーベル

    医師にも患者にもバイアスだらけ 『医療現場の行動経済学』 - HONZ
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    kamei_rio 2018/10/10
  • 『サカナとヤクザ』ニッポンの食卓を支える、魑魅魍魎の世界 - HONZ

    裏社会のノンフィクションはこれまで何冊も読んできたが、最も面白みを感じるのは無秩序のように思える裏社会が、表社会とシンメトリーな構造を描いていることに気付かされた時だ。 しかしここ数年は暴対法による排除が進み、ヤクザの困窮ぶりを伝える内容のものばかり。相似形どころか、このまま絶滅へ向かっていくのかとばかりに思っていた。だから彼らがこんなにも身近なところで、表社会とがっちりスクラムを組んでいるとは思いもよらなかったのである。 書は、これまでに数々の裏社会ノンフィクションを描いてきた鈴木智彦氏が、サカナとヤクザの切っても切れない関係を、足掛け5年に及ぶ現場取材によって描き出した一冊だ。 これまでなぜか語られることのなかった品業界最大のタブーを真正面から取り上げながら、一ミリの正義感も感じさせないのが、著者の真骨頂である。そして、もはやヤクザの世界に精通していなければ読み解けないほど、サカナ

    『サカナとヤクザ』ニッポンの食卓を支える、魑魅魍魎の世界 - HONZ
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    kamei_rio 2018/10/05
  • 『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む - HONZ

    一般に、は読めば読むほど物知りになれると思われがちだが、実際は逆だ。読めば読むほど、世の中はこんなにも知らないことであふれているのかと思い知らされる。その繰り返しが読書だ。 「ディアトロフ峠事件」をぼくはまったく知らなかった。これは冷戦下のソヴィエトで起きた未解決事件である。 1959年1月23日、ウラル工科大学の学生とOBら9名のグループが、ウラル山脈北部の山に登るため、エカテリンブルク(ソ連時代はスヴェルドロフスク)を出発した。 男性7名、女性2名からなるグループは、全員が長距離スキーや登山の経験者で、トレッキング第二級の資格を持っていた。彼らは当時のソ連でトレッカーの最高資格となる第三級を獲得するために、困難なルートを選んでいた。資格認定の条件は過酷なものだったが、第三級を得られれば「スポーツ・マスター」として人を指導することができる。彼らはこの資格がどうしても欲しかったのだ。 事

    『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む - HONZ
    kamei_rio
    kamei_rio 2018/09/07
  • 武士は戦さでポニーを駆る 『武士の日本史』 - HONZ

    侍ブルーと一銭五厘。書にあった言葉で私の印象に残ったのは、この二つだった。「サムライブルー」はサッカー日本代表のこと。「一銭五厘」は召集令状の葉書代のことで、兵隊の代わりなど葉書一枚で済むという意味がこめられている。書名にあるとおり、書はわが国の武士歴史をまとめるとともに、「武士道」などの精神史もたどっているだ。 書を読んだ直後にサッカーW杯を観ていたら、選手の口から「日人のメンタリティ」という言葉が出た。そのとき「おやっ」と思った。それは“強い相手に屈しない強靭な精神”を表現した発言だったが、その“メンタリティ”が日人固有のものなのか、私は違和感を覚えたのである。第2次世界大戦の当時によせて、このには、次のような指摘がある。 当時、物質文明は欧米の方が優れているかもしれないが、精神文明では日が優れている、だから日が勝つ、という主張がなされた。物質文明、つまり生産力や科

    武士は戦さでポニーを駆る 『武士の日本史』 - HONZ
    kamei_rio
    kamei_rio 2018/07/10
    拙者ポニーテール大好き侍かと思ったら違った