現在、「植物工場」は第3次ブームを迎えていると言われている。しかし、その約7割が赤字経営もしくはトントンで、撤退や倒産する企業が相次いでいる。このような中、植物工場における新たな栽培方法で勝負に挑んでいるのが昭和電工だ。同社にその特徴と開発の経緯を聞いた。 成長速度は大幅アップ! でも電気代は半分 赤色や青色のLED(発光ダイオード)照明の下で元気に育つレタスたち――。 これは昭和電工と山口大学農学部の執行正義教授が共同開発した高速栽培法「SHIGYO(シギョウ)法」が用いられた植物工場の様子だ。 「照射する光を制御することでコストダウンと高付加価値化を実現し、より多くの植物工場のオーナーに黒字経営を成功させてほしいと願っています」と、植物工場向けLEDシステム事業を手掛ける昭和電工・事業開発センターグリーンイノベーションプロジェクト(GIP)の営業グループマネージャー、荒博則氏は語る。
植物工場システムの開発を手掛ける「みらい」と三井不動産は、2014年6月2日、1日当たり1万株の野菜を生産・出荷できる植物工場を稼働させた。6月5日、報道関係者に内部を公開した(関連記事)。 植物成長に最適化したLED照明と蛍光灯を組み合わせた人工照明や、閉鎖式の培養液循環システムを使う。天候にかかわらず安定した収穫を期待でき、みらいは補助金などに頼らず事業として成り立たせることができるとする。 三井不動産が所有する建物(千葉県柏市、敷地面積2986m2、延べ床面積1260m2)をみらいが賃借し、同社の植物工場システムを設置した。工場内でパッキングも手掛け、ここは両社などが共同出資する「みらいトレーディング」が担う。 みらいは、レタスなどの葉物野菜を10数種類育成しており、現在の生産量は1日当たり5000株程度である。2014年8月までに日産1万株を目指し、この時の年間売上高は約3億円とな
みらい(本社東京)は、宮城県多賀城市に全ての育成用照明にLEDを採用した人工光型植物工場を建設した。全面的にLED照明を採用した植物工場としては「世界最大規模」(同社)。レタスだと1日当たり1万株の出荷が可能という。
(前編から続く) 千葉大学柏の葉キャンパス(千葉県柏市)内にある特定非営利活動法人「植物工場研究会」(理事長・古在豊樹)の実証施設。そこで野菜を安全で安定的に生産するための研究を進める植物工場研究会の副理事長、丸尾達さん(千葉大学大学院教授)に前編に引き続き、これまでの研究成果と日本型植物工場の可能性について聞いた。 インタビュー・撮影/長坂邦宏 nikkei BPnet編集 構成/宮島 理 オランダ並み高収量のトマト栽培へ ――植物工場研究会では、具体的にどのようなコンソーシアムを設置しているのでしょうか。 丸尾達さん(以下、丸尾) 現在、9つのコンソーシアムがありますが、そのうち、千葉大学柏の葉キャンパスで実証・展示を行っているコンソーシアムは7つです。トマト類栽培を行っている「統合環境制御による生産性向上」など5つのコンソーシアムと、レタス類栽培を行っている「低コスト未来型人工光利用
千葉大学の柏の葉キャンパス(千葉県柏市)内に、特定非営利活動法人「植物工場研究会」(理事長・古在豊樹)の実証施設がいくつも立ち並ぶ。太陽光や人工光を利用してレタスやトマトなどの野菜をクリーンな環境で安定的に高収量で生産するための「植物工場」だ。植物工場研究会の副理事長で千葉大学大学院教授の丸尾達さんに、研究会の目的、「植物工場」の概念やその“意外”な歴史的背景などについて聞いた。 インタビュー・撮影/長坂邦宏 nikkei BPnet編集 構成/宮島 理 住宅展示場をイメージ、いろんなタイプの植物工場が見学できる ――産学連携で研究に取り組んでいる「植物工場研究会」は、2009年10月に勉強会が発足し、その後、特定非営利活動法人になりました。研究会の目的について聞かせてください。 丸尾達さん(以下、丸尾) 勉強会が発足した当時、千葉大学では農林水産省からの補助金で植物工場の実証・展示・研究
植物の生育環境を制御して安全・安心な植物を「生産(製造)」しようという「植物工場」が脚光を浴びている。とりわけ注目されるのは、植物工場を輸出産業として育てていこうという動きだ。リーマンショック以来の不況に製造業が苦しむ中で、新たな輸出産業として期待されている。果たして、植物工場は輸出産業になりうるのだろうか。長年植物工場の研究・普及活動に取り組んできた千葉大学名誉教授の古在豊樹氏に聞いた。 ――植物工場は今、「第3次ブーム」ということですが、なぜブームになっているとお考えですか。 あなたのような工業分野の記者が私のような園芸分野の研究者に取材に来る、ということ自体が今まであまりなかったことで、これも一つの「ブーム」の側面でしょう。逆に聞きたいのですが、なぜ植物工場に興味を持ったのですか。 ――製造業がこれまで日本経済を引っ張ってきたわけですが、新興国の台頭やリーマンショックをきっかけとする
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