ある日の東シナ海上空。海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋市)を飛び立ち、洋上を監視中だった哨戒機内は緊張感に包まれた。 中国の戦闘機が近づき、追尾されていた。空自の戦闘機がスクランブル出動(緊急発進)で応援に来たが、中国側を刺激してはいけない。しばらくにらみ合いが続き、結局は事なきを得た。「生きた心地がしなかった」。元隊員は明かす。 尖閣諸島を国有化した2012年9月以降、中国の海洋進出は大幅に増えた。別の元隊員は「不審船を追う時は国を背負うような重圧を感じる」と振り返る。 海自幹部は「今の中国軍は量に加え、動きの質も高度化している」と言う。「進出と監視の我慢比べだ。負担はかつてなく重い」 ■□■ 防衛省によると、自衛隊機の緊急発進は年間900~千回、1日あたり2回以上の高い水準が続く。近年は対象機の7割が中国だ。戦闘・爆撃機に加え、無人機が太平洋や尖閣諸島を巡るなど特異飛行も目立つ。 米国防総