日本で漫画家になるにはどうしたらいいだろう? 一般的には、「持ち込み」だ。漫画雑誌を扱う出版社を訪ね、編集者に会って自分の作品を見てもらう。見込みがあれば担当者がつき、デビューを目指して執筆する――。1人の漫画好きとして、筆者の認識はそんなところだ。 しかし、作家の育成は出版社にとって先行投資。新人が、人気作品を生み出し書籍が売れて、アニメになって関連商品が売れて……と、投資以上を回収するまでのプロセスが確立しているからこそ成立する。漫画産業は、手塚治虫や藤子不二雄といった漫画家や、彼らを支えた編集者という先人たちが築いた礎の上にある。 「ベトナム」に話を転じる。この国には日本のような漫画家を育てられるほど余裕のある、成熟した産業は存在しない。しかし、だからこそ、いまITを使ったアプローチで新しい形の漫画業界が生まれようとしている。 ITなしではありえなかった、現代のベトナムまんが道 「C