「今後については、いまこの状況で考えられません。甲府に帰って少し気持ちを落ち着かせて考えたい。日本にいたいです」 言葉少ない少年の会見は、なんだか無性にせつなかった。ウォン・ウティナン君、16歳。先日、東京高裁から「強制退去処分取り消し請求」を棄却された、甲府で生まれ育ったタイ国籍の高校2年生だ。 ウティナン君の母親は、1995年9月に来日。タイ人ブローカーに「日本で飲食店の仕事を紹介する」と言われて来たものの、実際には全く違う仕事を強要され、やがて不法滞在に。ウティナン君は、母親の来日後に日本で生まれた。 2013年夏、母親とともに東京入国管理局に出頭。「日本で暮らし続けたい」と在留特別許可を申請する。しかしながら、2014年に強制退去処分を受け、母親とともに提訴するも今年6月の一審で東京地裁は訴えを退けた。母親は控訴せずに帰国し、ウティナン君だけが控訴していたのだ。 ウティナン君は幼い