コンテンツの供給、加えて広告ビジネスは、「過剰性の経済」ともいうべき段階に突入している。 「過剰性」の対極は、「希少性」だ。希少性を原理とした経済の仕組みは、私たちが慣れ親しんできたもので分かりやすい。需要があり、かつ供給が潤沢でなければ、対価は基本的に下落しない。 だが実際には、その逆の現象にわれわれは向き合い続けている。コンテンツ、あるいはメディアビジネスが、過剰性(つまり、同様のコンテンツが十二分に供給されている状態)の経済の下にあるのだとすれば、メディア運営者、コンテンツクリエーター、周辺の事業者は何をすべきだろうか? 希少性の価値が揺らぐビジネス環境 本稿では、メディアと業界を異にするビジネスに、その解を見い出そうとする論を紹介する。そこからコンテンツの潤沢な供給が引き起こしているのかもしれない、価値下落から反転していく理路を考えてみたい。 ※本稿は、2012年に執筆した拙稿「コ