ある会社が、事業再編の一環として、子会社の一つを売却する場合、その子会社株式を譲り受けることがプライベートエクイティの投資機会を作るのだが、企業金融の働きに着目すれば、これは売却側の企業の資金調達なのである。 プライベートエクイティ投資というと、普通は、出資先の企業への資金の供給が目的であるように思われる。しかし、子会社の譲り受けのような場合は、当該子会社へ資金が供給されるわけではない。資金は、売却した企業のほうに入るのである。 プライベートエクイティというのは、投資対象の議論である以前に、企業金融の一つの社会的機能なのである。しかも、常態におけるものではなくて、起業、事業再編、破綻と再生というような、通常の融資等の仕組みでは柔軟に対応できない状況における企業金融の機能なのである。 重要な点は、特殊な状況というところにある。より具体的にいうと、時間が読めない状況、あるいは時間の不確実性を許