この連載も、今回が最後となります。ご愛読いただき、まことにありがとうございます。これまで12回にわたってあれこれお話ししてきましたが、まだまだお伝えしたいことがたくさんあります。今回は、こうした「話し足りないところ」を書きたいと思っています。 タイトルに込めた想い 本コラムのタイトルは、「『聞き出す力』で人を動かす」です。このタイトルに決めた真意をお話しましょう。デール・カーネギーが、「人を動かす」という本の中で一貫して説いているのは、「相手を尊重し、理解することの大切さ」です。平たくいうと、相手の立場や思考をわかってあげることです。そこで必要なのは、ただ傾聴するだけでなく、目的意識を持って能動的に話を聞き出そうとする姿勢です。 司馬遷が紀元前91年頃に書いた「史記・刺客列伝」に、「士は己を知る者のために死す」という有名な言葉が出てきます。これが、「知己」の語源になったと言われています。「